9月24日、Googleが「How are developers using AI? Inside our 2025 DORA report」と題した記事を公開した。この記事では、ソフトウェア開発におけるAI活用の現状と課題について詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
AI活用の拡大と生産性向上
2025年のDORAレポートによれば、 ソフトウェア開発におけるAI導入率は90%に達し、 前年から14%増加した。開発者やプロダクトマネージャーを含む技術職の多くが、日常的にAIをワークフローへ組み込み、中央値で1日2時間をAI利用に充てているという。
AIの利用度合いについては以下の通りである。
- 中程度に利用:37%
- 多く利用:20%
- 非常に多く利用:8%
その結果として、以下の効果が確認されている。
- 生産性の大幅な向上:回答者の80%以上がAIによる生産性向上を実感している。
- コード品質の改善:59%がコードの品質向上に寄与していると回答した。
調査結果は、開発者のさまざまなタスクにわたって AI が幅広く採用され、深く依存していることを示している
信頼と生産性のパラドックス
一方で、AIへの信頼度は必ずしも高くない。
- 「非常に信頼」または「かなり信頼」と回答したのは24%(4%+20%)
- 「あまり信頼しない」「まったく信頼しない」としたのは30%(23%+7%)
この結果は、AIが役立つツールとして利用されながらも、人間の判断を完全に置き換えるものではなく、補助的に活用されていることを示している。個人のパフォーマンスは向上するものの、組織全体における成果は依然として複雑な様相を呈している。
今年の調査では、AIの導入がソフトウェアの提供スピードを押し上げ、昨年の停滞傾向を逆転させている点も注目される。しかし、提供前にソフトウェアが正しく動作するかという根本的な課題は残っている。
チームの働き方に与える影響
レポートでは、 AIが「鏡であり増幅器」として機能する ことが強調されている。
- 結束力のある組織では効率を高める。
- 分断された組織では弱点を浮き彫りにする。
この背景を理解するため、DORAは今年、単なるパフォーマンス指標を超えて「7つのチームアーキタイプ」を提示した。たとえば「調和の取れた高業績チーム」から「レガシーに縛られたチーム」まで、多様なチーム像を示すことで、パフォーマンス・幸福度・職場環境の関係を解明しようとしている。
組織におけるAI活用の指針
AI導入だけでは成功は保証されない。今年のレポートでは新たに「DORA AI Capabilities Model」を提示し、AI活用を強化するための7つの重要能力を整理している(DORAモデルについては別の記事で紹介しているので参照していただきたい)。これは技術的要素と文化的要素の両面を組み合わせたもので、組織がAIの潜在力を最大限に引き出すためには、文化・プロセス・システムを進化させる必要があると強調している。
DORA AI機能モデルは、AIを導入する組織にデータに基づいたガイダンスを提供する
AIは開発者にとって変革的なツールである。しかし、真の効果を得るためには、単なる導入にとどまらず、組織全体の在り方を見直すことが不可欠である。
詳細はHow are developers using AI? Inside our 2025 DORA reportを参照していただきたい。