9月24日、Googleが「Introducing the DORA AI Capabilities Model: 7 keys to succeeding in AI-assisted software development」と題した記事を公開した。この記事では、AI支援によるソフトウェア開発を成功に導くために必要とされる7つの能力モデル「DORA AI Capabilities Model」について詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。

背景
AIは急速にソフトウェア開発を変革している。しかし単にAIツールを導入するだけでは、必ずしも成果が保証されるわけではない。Googleの調査チームDORAは、約5,000名の開発者を対象とした調査と専門家インタビューを通じ、AI活用を成功させるための具体的な能力を体系化した。
DORA AI Capabilities Model:成功の7つの要素

明確に伝達されたAI方針
組織としてのAI利用に関する立場を明確にし、期待値や実験的利用の許可範囲を伝えることで、摩擦を減らし効果を高める。健全なデータエコシステム
高品質でアクセスしやすく統合された内部データ環境が、AIの組織的効果を大きく増幅させる。AIがアクセス可能な内部データ
社内文書やコードベースと接続することで、AIは汎用アシスタントから、開発者に特化した高度な支援ツールへと進化する。強固なバージョン管理
AIが生成するコード量と速度の増加に対応するため、頻繁なコミットやロールバックの習慣が重要となる。小さなバッチでの開発
少量単位で作業を進めることは、AI環境下でも効果的であり、摩擦を軽減し製品パフォーマンスを高める。ユーザー中心の視点
ユーザー体験を中心に据えることで、AIがチームの生産性を正しい方向へと導く。逆にユーザー志向が欠けると、AI活用が逆効果になる恐れもある。質の高い内部プラットフォーム
共通の機能を提供する社内基盤が整備されていることで、AIの効果は組織全体に拡大する。
実践への指針
Googleは、AI開発を成功に導くためにはツール導入だけでなく、適切な技術的・文化的環境が不可欠だと強調する。記事では次のような具体的な実践が推奨されている。
- AI利用ポリシーを明確にし、開発者に安心感を与える
- データを戦略的資産として扱い、品質や統合性を高める
- AIに内部文書やコードベースへの安全なアクセスを提供する
- 小さな単位での開発を徹底する
- ユーザー中心の戦略を徹底する
- バージョン管理の安全策を強化する
- 内部プラットフォームに投資し、AIの効果を全社的に拡大する
DORAの調査は、優れたツールやチームであっても、適切な組織環境なしでは成果が得られないことを再確認するものとなった。AI支援開発を成功させるには、単なる購入判断ではなく、開発者が活躍できる条件を整える意思決定が不可欠である。
詳細はIntroducing the DORA AI Capabilities Model: 7 keys to succeeding in AI-assisted software developmentを参照していただきたい。