7月16日、FirefoxがWebGPUを正式に搭載することが発表された。この記事では、Windows版Firefox 141でWebGPUを正式リリースする計画と実装状況、さらなる課題について詳しく紹介されている。
以下に、その内容を紹介する。
WebGPUがもたらすもの
WebGPUはブラウザからGPUを直接扱うための最新インターフェースであり、ゲームやデータ可視化、ローカル計算の上限を引き上げると期待されている。Chromeでは2023年に実装済みで、Safari 26でも今秋に対応予定だ。FirefoxはNightly版で全プラットフォームに提供してきたが、安定版としてはWindowsが最初のターゲットとなった。
WGPUに基づく実装
FirefoxのWebGPU実装はRustで書かれた wgpu を土台にしており、Direct3D 12・Metal・Vulkanといった各OSの低レベルAPIを統一的にラップする。WGPUは独立したOSSプロジェクトとして活発に開発されており、Firefox以外でも幅広く採用が進む。
既知の課題と改善計画
現在の実装は多くのユースケースで動作するとされるが、性能や仕様準拠性を高めるために以下の改良が進行中である。
- GPUプロセス間通信の高速化
- デコーダー出力をGPUが直接読むAPIはまだ未実装
展望
今回の発表によると、Windows版での船出を皮切りに、Mac・Linux、そしてAndroidへと順次展開する計画である。
Firefox 141がWindows版でWebGPUを正式サポートしたことで、主要ブラウザ(Chrome/Edge・Firefox・今秋予定のSafari 26)がすべて同一APIを提供する体制が実質的に整った。これにより、WebGPUは実験段階から実運用フェーズへと踏み出し、グラフィックスとGPGPU計算を要するWebアプリの開発・普及が加速すると見込まれる。
また、ライブラリ・フレームワークの移行促進が進むと考えられ、Three.js、Babylon.js、wgpu-rs などがデフォルトレンダラをWebGPUに切り替える動きが進む可能性が高い。
更に、機械学習分野での活用も大いに考えられる。TensorFlow.js や WebLLM などが WebGPU バックエンドを本格的に推奨し、ブラウザ上のLLM・画像生成が実用速度に近づくだけでなく、Chromeで先行実装された SIMD サブグループ機能もFirefox側で追随すれば、並列演算効率がさらに向上するかもしれない。
詳細はShipping WebGPU on Windows in Firefox 141を参照していただきたい。
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