2022年7月初旬に公開されて以来、またたくまに”超高速JavaScriptランタイム”としてサーバサイドJavaScriptの世界に大きな衝撃を与えた「Bun」がまたひとつ大きなマイルストーンに到達したようです。Bunを開発するOvenは8月23日、米シリコンバレーの大手ベンチャーキャピタル Kleiner Perkinsなどから700万ドル(約9億5700万円)の資金調達(シードラウンド)をしたことを明らかにしました。Bunのプライベートベータからわずか2カ月弱という短い期間で大型の資金調達を実現したことで、Bun/Ovenはこれから事業拡大のフェーズに入り、エンジニアの積極的な雇用を進める予定です。
Ovenは今後、Bunの開発を中心に、Bunのホスティングやサポートを開始し、エッジコンピューティングにおけるサーバサイドの世界でのシェア拡大に本格的に取り組んでいく意向を示しています。この目標を実現するうえで必要不可欠なのがBunの安定バージョン、すなわち「Bun v1.0」のリリースでしょう。Ovenは「8月23日から起算して6カ月以内に安定版のリリースを行う」と宣言していますが、そのためにはフルタイムで稼働できるエンジニア、それもZigやC++に精通した(低レイヤのシステム実装を得意とする)エンジニアが必要となります。今回のシードラウンドで得た資金をもとに、Ovenはベイエリア近郊またはリモートで働けるエンジニアを募集しており、本格的な開発チーム体制の確立をめざしていくようです。
8月25日時点でBunのGitHubスター数は3万2500を超えており、Bunのdiscordサーバには1万4000人以上のメンバーが集まっているとのこと。オープンソースプロジェクトとしても、JavaScriptランタイムとしても近年まれに見る驚異的なスピードで拡大していることがわかります。さらに700万ドルもの資金を調達できたことで、単なるオープンソースプロジェクトからエッジコンピューティングビジネスへとスケールさせる手腕が問われることになります。Bunの動向は引き続きJavaScriptランタイム界隈にとって目が離せない話題となりそうです。
TechFeedではBunの登場時から注目しており、公認エキスパートの古川陽介さんに解説をしていただいています。以下の記事もあわせてどうぞ。