先日紹介したオープンソースのオールインワンの高速JavaScriptランタイム「Bun」は、Node.jsもDenoもしのぐといわれるパフォーマンスの高さが話題になっていますが、本当に既存のライブラリを超えるポテンシャルを秘めているのでしょうか。今回、TechFeedの公認エキスパートである古川陽介さんに、Bunについての所見を簡単にうかがってみました。
古川さんから見てBunの第一印象は?
- えっ、 zigで作られてんの!?
- 後ろの依存モジュールとかも全部Boring SSLだったり、picohttpparserだったりとめちゃくちゃモダン
- しかもJSCをバックエンドに据えている
Node.jsやDenoとの違いは? 棲み分けられる可能性はある?
- 今のところプロダクトの完成度でいうと、(Node.jsなどに比べて)まだまだという感触
- Next.js が動くのは驚きだが、その一方で動かすためにだいぶ無理をしている。これをNuxt.js / SvelteKitなども動かすと言っているが、Node.js APIを揃えないと厳しそうな印象がある
- 成熟したらパフォーマンスで違いを生み出せれば可能性がある
Bunのプロダクトとしての完成度は? 将来性は?
- 正直まだプロダクトとしては成熟していないので、これからというフェーズ
- 上述したNode.js / Denoと比較しても、まだ今のところはアーリーアダプターが触って楽しむフェーズ
- 個人的にはもう少ししたら再評価したい
その他、Bunについて思ったことを教えて!
- Next.js を動かすというところがマーケットインになっている
- この部分がユーザー獲得の戦略としてDenoが取ってなかったところ
- 一方でマーケットインではなく、プロダクトアウトする部分の哲学がもう少し欲しい。圧倒的なパフォーマンスで攻めるのか、Node.jsのbetterで攻めるのか
- 個人的にはNodeエコシステムをどうやって次の世代に進ませるのかに興味がある。しがらみがせっかくないのだからもっと攻めたプロダクトがあっていいと思う
プロダクトとしてはまだ未成熟ながら、Node.jsやDenoには見られない独自のアーキテクチャや思想が、TechFeedエキスパートをもってしてもBunを魅力的に見せているようです。古川さんは「もう少ししたら再評価したい」とのことなので、より詳細なレビューを楽しみにしたいと思います。