メモ

GitLabはオープンソースな製品&完全リモートワーク体制でどうやって大きく成長していったのか?


GitLabは2011年にスタートしたオープンソースプロジェクトで、2014年に法人化、2021年にNASDAQへと上場し、2023年時点では年間の収益が4億ドル(約588億円)を超えるほどの大企業へと成長しました。主力製品がオープンソースであり、完全リモートワークを行うなど一風変わった特色をもつGitLabがどのように成長していったのかについて、コミュニティの力を伝えるメディア「Community Inc.」がまとめています。

Community Contribution at: GitLab - Community Inc.
https://community.inc/deep-dives/contribution-gitlab


GitLabはクローズドソースコードをホストするオープンソースプラットフォームで、スタート直後は「単なるGitHubクローン」と言われることもありましたが、設立から10年経過した現在においては完全リモートのチーム人数は2000人を超え、ユーザー数推定3000万人、年間収益4億ドル(約588億円)の企業へと成長しました。

GitLabは自社のビジネスモデルを「OpenCoreモデル」と呼んでいます。OpenCoreモデルはいわゆるフリーミアムモデルで、製品のほとんどは無料でオープンソースですが一部の機能が収益化されています。収益の大部分は大企業によるもので、多くの企業が完全にSaaSでサービスを提供するなか、長年にわたって自己ホスト型モデルを続けることで「プライベートクラウドやハイブリッドクラウドで自己ホストしたい」という需要に応えて顧客を獲得してきました。一方でGitLabはSaaSサービスも展開しており、2021年時点で年間収益の16%を占めているとのこと。こうしたサブスクリプション料金やライセンス料金のほか、トレーニングや技術サポートでも収益を上げています。

GitLabの市場開拓のやり方は2段階に分かれており、最初に開発者をターゲットにした製品ベースの活動をしてから経営幹部を対象にしたトップダウンの営業活動を行います。それぞれのGitLabインスタンスでは「フリー」「プレミアム」「アルティメット」の3段階の料金がありますが、このうちフリーは開発者をターゲットにし、プレミアムはマネージャーおよびディレクター、そしてアルティメットは経営幹部をターゲットにしています。この価格設定は自社製品を収益化しようとして失敗した多くのオープンソース企業の分析を元に意図的に設定されており、GitLabは開発者のコミュニティに製品を直接販売するのではなく、開発者にまず自分のプロジェクトでGitLabを使ってみてもらい、必要に応じて開発者が雇用主にGitLabを推薦することを期待しているとのこと。


また、GitLabはさらに下記の3つを「オープンソース企業によくある失敗」と述べ、意図的に回避しようとしていると述べています。

・プロジェクトの方向性に関する透明性の欠如
・プロジェクトよりも会社の利益を優先すること
・オープンなコミュニケーションチャネルへの企業の関与やサポートの減少


GitLabは2016年より透明性の取り組みの一環として、企業戦略や製品戦略、マーケティング、営業チームの運営方法など全てのノウハウを書いたハンドブックを公開しています。全てを印刷すると2000枚以上にもなるほどボリューム満点の内容で、さらに公開されているだけでなくマージリクエストを通して変更を提案することも可能です。

このハンドブックでは機能の有料化の基準やEnterprise Editionに組み込まれる機能の基準が記されているほか、「無料の機能を有料化しない」「無料の機能を人為的に制限したり遅らせたりしない」などの約束事や、現在の優先事項と将来のリリースロードマップの概要が説明されており、こうした内容を長年にわたって守り続けることでGitLabはコミュニティとの信頼関係を築いてきたとCommunity Inc.は分析しています。

GitLabはコミュニティ戦略の核として「デュアルフライホイールアプローチ」を唱えています。開発に投資することで機能が追加され、その結果多くのユーザーが集まり、ユーザーの貢献によってさらに機能が増えるという好循環が生み出されるとのこと。


GitLabではそれだけでなく、顕著な貢献をしたコミュニティメンバーを表彰するGitLab Heroesプログラムを行ったり、毎月のリリースにおいて貢献した人をMVPに選んだり、ミートアッププログラムやハッカソンを開催したりすることでコミュニティメンバーを維持・拡大しています。こうしてコミュニティを発展させることで得られるメリットは多数存在していますが、その中で一番大きいメリットは採用で、毎週3000件もの申し込みがあるとのこと。

こうして、開発者たちがオープンソース企業に対して抱いている懸念に正面から取り組み、「貢献体験」を奨励・改善し続けてきたGitLabは「最高のマーケティング資産」「最高の製品インキュベーター」「巨大な競争上の優位性」であるコミュニティを築き上げて成長していったというわけです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
社員全員が世界各地でリモートで働く「GitLab」はなぜ創業2年で160人まで規模を拡大できたのか? - GIGAZINE

リモートワーク導入のガイドラインをGitLabが公開 - GIGAZINE

GitLabがKubernetesをさまざまな課題に直面しながら1年間運用して学んだこと - GIGAZINE

全社員がリモート勤務でも成功できたスタートアップの戦略とは? - GIGAZINE

GitLabが従業員の7%を解雇へ - GIGAZINE

Wikimedia財団がリポジトリをGitLabに移行することを正式に決定 - GIGAZINE

in メモ,   ネットサービス, Posted by log1d_ts

You can read the machine translated English article here.