サム・アルトマン氏 CEOに復帰へ ChatGPT開発「オープンAI」

生成AIのChatGPTを開発したアメリカのベンチャー企業「オープンAI」は21日、解任されたサム・アルトマン氏がCEOに復帰することで合意したとSNS上で明らかにしました。解任からわずか5日で復帰が決まり、混乱した会社経営が正常化するかが課題となります。

これは「オープンAI」が21日、旧ツイッターのXで明らかにしたものです。

アルトマン氏がCEOに復帰することやほかに3人の取締役を決めたことで合意したとしています。

SNSで会社は「詳細については協力して対応していく。今回のことではご迷惑をおかけした」としています。

「オープンAI」の取締役会は先週17日、CEOだったサム・アルトマン氏を解任しました。

生成AIのサービスを急速に拡大させようとするアルトマン氏と、AIの安全性を重視する取締役会のメンバーとのあいだで激しい議論があった可能性が指摘されていました。

IT大手のマイクロソフトが19日、アルトマン氏をヘッドハントすることを明らかにする一方、およそ770人いる社員のうち、全体の9割を超える700人以上の社員が、アルトマン氏が復帰しなければ退社し、マイクロソフトに移る可能性があるなどとする書簡に署名し、混乱が続いていました。

解任からわずか5日でアルトマン氏のCEOへの復帰が決まりましたが、混乱した会社経営が正常化するかが課題となります。

アルトマン氏「私はオープンAIを愛している」

サム・アルトマン氏は21日、旧ツイッターの「X」に、「私はオープンAIを愛している。この数日間、私がしてきたことはすべて、このチームとその使命をともに維持するためのものだ。新しい取締役会とマイクロソフトのCEOのサティア・ナデラ氏の支援によって私はオープンAIに戻り、マイクロソフトと強力なパートナーシップを築くことを楽しみにしている」と投稿しました。

ニューヨーク・タイムズが解任の内幕を掲載

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは21日、サム・アルトマン氏がオープンAIのCEOを解任されるまでの内幕を詳細に取材した記事を掲載しました。

それによりますと、アルトマン氏は取締役のひとりで先月発表された論文の執筆に関わった、ヘレン・トナー氏と数週間前から対立していたとしています。

論文はAI=人工知能の開発を進める国や企業の意図をどのように評価すべきかをテーマに書かれています。

しかし、アルトマン氏は論文のなかで、オープンAIの取り組みが競合他社と比べて批判的に書かれているとして、トナー氏に苦言を呈し、ほかの役員たちとトナー氏を解任すべきかどうか議論を進めたということです。

ところがこの過程で別の取締役のイリヤ・サツキバー氏が態度を翻し、ほかの役員とともにアルトマン氏の解任に動いたとしています。

また、おととし2021年に、AIの研究者が会社を退職し、別会社をつくるときにもアルトマン氏を解任しようという動きがありましたが、失敗に終わったということです。

さらに、ことしに入り取締役の人選をめぐる議論がこう着状態になり、アルトマン氏らとほかの取締役との間の溝が深まったことを、今回の解任の背景として挙げています。

アルトマン氏と対立した取締役会のメンバーは、いずれも成長とAIの安全性のバランスを重視し、アルトマン氏の会社の拡大に注力する姿勢に懸念を示していたということです。

記事では今回、表面化した対立について「新しいAIシステムの構築が、人工知能でもうけようとするビジネスパーソンと、人工知能が人類への脅威となることを心配する研究者とが、同調できるかどうかを試していることを示している」と指摘しています。