SAFe(セーフ、Scaled Agile Framework)は大規模向けのアジャイル開発フレームワークである。ソフトウエア開発だけでなく組織活動にまでアジャイル開発の考え方を拡張していることが特徴だ。ここでの組織は、製品やサービスを開発する事業部門から最大で企業全体までを想定している。

 最新版の「SAFe 6.0」が2023年3月に公開された。日本でもNTTデータグループや富士通、NEC、オージス総研、TISといったIT企業などが企業に対して導入支援をしている。デジタル変革(DX)を推進する企業が増える中、事業やサービス開発のスピードを向上させる手法として注目を集めている。

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20年間でビジネス向けに進化

 SAFeが作られたのは2011年ごろ。米IBMに買収されたソフト会社のRational Software(ラショナルソフトウエア)でシニアバイスプレジデントなどを務めていたディーン・レッフィングウェル氏が提唱し始めた。

 SAFeがつくられた当初は大規模なアジャイル開発を進めるための方法論としての意味合いが強かったが、バージョンアップを重ねるたびに、徐々にビジネスアジリティー(事業の俊敏性)を獲得するためのフレームワークへ進化していった。最新版のSAFe 6.0でもビジネスアジリティーを強化するための改訂などが加えられた。

 現在はレッフィングウェル氏が設立した米Scaled Agile(スケールドアジャイル)がSAFeの開発やトレーニング事業を実施している。全世界で2万社以上が導入し、トレーニング受講者数は累計で100万人を超えたという。

 日本でもここ数年でNTTデータグループや富士通、NEC、TDCソフト、TISといったIT企業が相次いでScaled Agileのパートナー企業となり、導入支援サービスなどを販売し始めた。東京電力ホールディングスの100%子会社であるテプコシステムズも2022年にパートナー企業となり、東京電力グループのアジャイル人材を育成している。以前からパートナー企業だったオージス総研や、グローバルでパートナー企業であるアクセンチュアなどもSAFe関連事業を進める。