ChatGPTのせいでプログラミング系コミュニティのアクセスが減少している

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ChatGPTのせいでプログラミング系コミュニティのアクセスが減少している
Image: Casimiro PT / Shutterstock.com

ネットのコミュニティ。

好きなことの情報を共有したり、悩みを相談したり、議論したり、教えたり教えてもらったりと、現代の社会において1つのコミュニケーションのあり方として大きな役割を果たしています。が、画面の向こうの知らない誰かに話しかけるよりも、もっと簡単な方法があるじゃないかと思っている人もいます。

そう、ChatGPTに聞けばいいじゃないか!と。プログラミング系知識共有コミュニティStack Overflowのへアクセスが減少しています

人に聞くより早くて効率がいい

プログラマーなら使ったことがある人も少なくないであろうStack Overflow。ウェブ解析ファームのSimilarWebのレポートによれば、今年に入っての月別トラフィックは前年と比べ平均6%ダウン。2月と4月は13.9%減少、3月は17.7%も減少していました。SimilarWebは減少理由に関して、GitHubのAI機能CoPilotによるものもあるが、大部分はChatGPT利用が増えたためと分析。Stack Overflow上でコードについて意見を募るのではなく、ChatGPTにデバッグをお願いするプログラマーが増えているということです。

レポートについて、SimilarWeb担当者はこう解説。「Stack Overflowは、お題となるコードにコミュニティメンバーがさまざまな答えをだし、議論をかわし、最適解を投票するというのが定番です。ChatGPTを使うと、議論はできないものの、答えをより効率的に素早く入手できるように感じます。ChatGPTの回答は開発者が求める最適解ではないにしても、多少の手直しで事足りるものが多いのでしょう」

Stack Overflow「逆にチャンスだ」

米GizmodoがこのレポートについてStack Overflowにメール取材を実施。担当者は、ChatGPT台頭でアクセス数が減少していることを認めた上で、ジェネレーティブAIの成長は自社にとって大きなチャンスであるとコメント。コミュニティをより強固なものにするポテンシャルがあるとし、この夏を目処にStack OverflowからもAI絡みの発表があると語り、アクセス減に悲観している様子は見受けられませんでした。

ちなみに、アクセスが落ちているのはStack Overflowだけではありません。この手のサービスはどこも同じ。例えば、アメリカの大学生の間で有名なChegg(レポートやプロジェクトを投稿して意見を募りつつ手伝ってもらうコミュニティ)も、決算報告で収益減少を発表。ChatGPT台頭をその原因にあげており、新規ユーザー獲得に非常に大きな影響があるとCEO自ら語っています。

ChatGPTとコードを共有していはいけないとする企業社員が共有して機密情報が漏れた企業積極的にとりいれる企業。対応は分かれています。

手っ取り早く正解に近い答えを手に入れることと引き換えにするのは何でしょう…。議論の機会の喪失、企業の機密情報リークのリスク増。とくに前者は人間の文化そのものに影響を与えていきそうですが。