ひと昔前までAIと言えば、Apple(アップル)のSiriさん、AmazonのAlexaさん、そしてGoogle(グーグル)のOK Googleさんがメジャーな存在でした。
が、今AIと言えば圧倒的にChatGPT。GoogleはBardで対抗し、Appleは冷静に見守っている様子ですが、Amazonは? どうやらApple/Googleの中間を行くようです。
Amazonが提供するAmazon Web Service (AWS) でAI機能の提供がスタート。一般ユーザーではなく、ビジネスユーザー方面から攻めてきました。
3つのAPIを活用
AmazonのAI戦略現状は、自社AIを一般に広く提供するのではなく、一部ユーザー(ビジネス向け)に他社のAIサービスを自社サービスに連携するという方法がメイン。
AWSのAmazon Bedrockと銘打った新サービスでは、AI21 Labs、Anthropic、Stability AIのAPIを活用します。
AI21 Labsからは他言語(スペイン語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、イタリア後、オランダ語)言語モデルのJurassic-2を活用、Anthropicは大規模言語モデルに加えその広大なリサーチ力でAIシステムのトレーニングを、Stability AIからはStable Diffusion含めテキストから画像変化への基盤モデルを活用します。
これらのサービスを組み合わせることで、AWSを使ったリサーチや文書作成、画像やアートワークの制作をサポートするのが狙い。
Amazon Titan発表も慎重な姿勢
一方、Amazon自身も2つの大規模言語モデルを含むAmazon Titanを発表しました
AWSのAdam Selipsky CEOは、WSJの取材にて「生成AIの始まりにすぎない」と語っており、今後さらなる機能・連携が発表される可能性は高いでしょう。
しかし、Amazonとしては、GoogleやMetaほど、会社をあげてAIに全力コミットすることは(今のところ)ないようです。
ネックになっているのは、AIについて回る懸念点。トレーニングデータのプライバシー問題や透明性はもちろんですが、物理的にAI運営は莫大なお金がかかります。
マイニングに膨大な電力を使用することが批判された仮想通貨と同じく、AIのデータセンター運用にも、冷却装置などでこれまた大規模な電力を使用します。
となれば、フルコミットするかどうかはまさに社運をかける決定。
一方AWSは、Amazonの超巨大な売上の50%を占める柱たるビジネスであり、ここで他社から遅れをとるわけにはいきません。流行りのAI機能をつけないわけにはいきません。
そこで、ビジネスユーザーに向けた他社連携しつつの取り組みという形に、とりあえずは着地。超巨大テック企業として、なかなか慎重なステップと言えるのではないでしょうか。
Source: AWS