グーグルのAIチームで「頭脳流出」深刻化。トップ研究者たちはどこへ行ったのか?

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REUTERS/Andrew Kelly/File Photo

グーグル(Google)からトップクラスの研究者が競合他社に流出している。このことで、グーグルはAI分野におけるリードを失ったのではないかという見方がなされ、同社は守勢に立たされている。

OpenAIが開発したChatGPTは2022年11月にローンチすると、たいていの質問に対して人間と同じような込み入った回答を返せると話題になり、インターネットを席巻した。ニューヨーク・タイムズが報じたところでは、これを受けてグーグルのサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEOは社内で「コードレッド(非常事態)」を宣言、同社の検索事業が脅かされる危機感を和らげるべく、対応策を取りまとめた。

ピチャイは、グーグルは第一線のAI研究者を採用し続けており、依然として強力な才能を多数抱えていることは間違いないと述べた。だがその言葉とは裏腹に、AI研究に多大な貢献をしてきたトップ人材の多くがグーグルを去り、OpenAIのような競合他社に移ったり自ら起業したりしている。

“検索の巨人”グーグルは、検索クエリに応答できるChatGPTに似たチャットボット「Bard」の限定的公開テストを開始した。また、同社の生産性ソフトウェアにジェネレーティブAIを組み込むことも計画している。

一方、マイクロソフト(Microsoft)はOpenAIに数十億ドルを投資しており、同様のAIを導入した検索機能などいくつかのプロダクトに関する計画を進めているほか、クラウド上でのAIへのアクセス提供も行う。

グーグルは本来、守勢に立たされるはずはなかった。ChatGPTなどのプロダクトを強化する基盤技術の多くをつくったのはグーグル自身なのだから。またグーグルは、その研究をオープンソースとして利用できるようにもしていた。皮肉なことにそれが、OpenAIの飛躍を許してしまったのだ。

グーグルには、ChatGPTに類するチャットボットをリリースすることに長らくためらいがあった。というのも、この技術が自社の事業のレピュテーションを損なう懸念があると考えたからだ。

グーグルの大規模言語モデルLaMDA(ラムダ)を支えてきた2人の研究者、ダニエル・デ・フレイタス(Daniel De Freitas)とノーム・シャイザー(Noam Shazeer)が同社を去ったのは、ChatGPTのようなチャットボットのリリースをためらったグーグルの姿勢に不満を抱いたからだと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている

動きの遅いグーグルに対する不満は、Insiderが取材した元グーグル研究者らからも聞かれた。この刺激的なAI時代、スタートアップに行けばより多くの裁量を持たせてもらえ、よりインパクトの大きな仕事をさせてもらえるだろう、と元従業員の一人は語る。

以下では、AI分野でも特に注目すべき論文の一部を紹介する。論文の筆者はグーグルの元研究者らで、彼らは今もこの分野に留まっている。

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