〈独自〉クレカ不正対策全容判明 ネット通販の本人認証厳しく

経済産業省=東京都千代田区
経済産業省=東京都千代田区

増加するクレジットカードによる不正利用対策を検討してきた経済産業省の有識者会議が取りまとめる報告書案の全容が19日、分かった。インターネット通販が普及する中、非対面での不正利用が急増しており、全てのネット通販事業者に、より厳しい国際水準の本人認証システムの導入を義務化するなど当面の対策を列挙した。また、ネット通販事業者が実施しているセキュリティー対策の表示や、改善命令が行える制度の創設など今後の検討項目も示した。

近く有識者会議で取りまとめた上で、2月にも開く産業構造審議会に報告。当面の対策は、関係するガイドラインに反映させるなど順次、対応を進める。

報告書案では、犯罪者の手口も巧妙化していることなどから、決済に関わる全ての当事者の対策強化が不可欠と指摘。セキュリティー対策が不十分な事業者が多いネット通販事業者には、VISA(ビザ)など大手決済カードの国際ブランドが推奨する本人認証システムの導入を義務化する。この仕組みが導入されれば、決済をする際にセキュリティー水準の高いカード会社のパスワード入力画面に移行するなどして本人認証が行われる。

カード会社に対しては、メールなどから偽のサイトに誘導して個人情報を入力させる「フィッシング」対策として、利用者になりすましメールが届くのを防ぐ機能の導入を求める。

一方で将来的には対策をさらに強化する必要があるとして、今後の検討課題も例示。利用者の安心・安全や、事業者の前向きな取り組みを促すため、通販サイトが実施するセキュリティー対策をサイト上に表示する仕組みの導入などを検討する。

日本クレジット協会によると、令和3年の不正利用被害額は約330億円で過去最高。このうち94%がカード番号の盗用による被害で、フィッシングのほか、ネット通販サイトにサイバー攻撃を仕掛けて盗み出す手口が目立っている。

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