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GoogleがRISC-V向けAndroidの開発を積極的に行うと発表


Googleが命令セットアーキテクチャ「RISC-V」に最適化したAndroidの開発を行っていることが分かりました。2022年12月開催のサミット「RISC-V Summit」に登壇したGoogleはRISC-Vを「ティア1(最優先)のプラットフォーム」と見なすことを望んでいますが、実現には数年かかるという見方を示しています。

Google announces official Android support for RISC-V | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2023/01/google-announces-official-android-support-for-risc-v/

Keynote: The Android Open Source Project and RISC-V - Lars Bergstrom, Google Director of Engineering - YouTube


この件を報じたArs Technicaによると、Googleが最後にRISC-Vについて言及したのは2022年5月の年次開発者向け会議「Google I/O」でのことでした。このときGoogleは「注目しているが、我々にとっては大きな変化になる」と渋い回答をしていたのですが、今回のサミットで明確にRISC-Vへ言及したため、Ars Technicaは「Googleは大胆な宣言を行った」と評しています。

Androidのエンジニアリング担当ディレクターLars Bergstrom氏が示したスライドによると、Android Runtimeや最適化、Cuttlefish emulatorなどの開発が次の目標として示されています。Bergstrom氏はRISC-Vの品質向上を約束し、「クラス最高のプロセッサ」を目指すとしましたが、RISC-V上で最適化されたAndroidビルドを実現するには多くの作業が必要で、実現には数年かかると述べました。


ロードマップによると、2023年初頭までに初期エミュレータをサポートし、第1四半期中にJavaワークロードのAndroid RunTimeをサポートするとのこと。

GoogleのRISC-V開発について、Ars Technicaはアーキテクチャ設計のArmがもつ「不安定さ」が後押ししていると推測しています。ソフトバンク傘下のArmは2020年以来NVIDIAへ買収話を持ちかけていましたが、世界中の規制当局によりこの取引は停止させられています。買収計画が頓挫すると、Armはチップ設計会社Nuviaの買収をめぐり、最大の顧客の1つであるQualcommを提訴する方向に転じました。


QualcommとNuviaはともにArmアーキテクチャの最高級ライセンスを持っており、Armアーキテクチャに基づくカスタムチップの設計が可能でした。Armは両社が契約違反をしていると主張していますが、Qualcommはすべて問題ないと反論。ArmはQualcommにNuviaのチップ設計を破棄し、ゼロからやり直すよう求めているといいます。

このような不安定な動向のほか、中国のハイテク企業が未来のチップアーキテクチャとしてRISC-Vに結集していることも理由だとし、Ars Technicaは「Googleが公式サポートの扉を開くのは理にかなっていると言えるでしょう」と締めくくりました。

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in ソフトウェア, Posted by log1p_kr

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