ソフトウェア

Chromeのシークレットブラウジングは「まったくシークレットじゃない」とGoogle社内でも信頼されていなかった


GoogleのウェブブラウザであるChromeでは、右クリックから「シークレット ウィンドウで開く」を選択することで、閲覧履歴を保存しない「シークレット ブラウジング」が可能となります。このシークレット ブラウジングを利用しているユーザーも多いと思いますが、Google社内では「シークレット ブラウジングは全くシークレットじゃない」「シークレット ブラウジングは完全にプライベートなものではないので修正を施すべき」と議論されていたことが裁判資料により明らかになりました。

Google’s ‘Incognito’ Mode Inspires Staff Jokes — and a Big Lawsuit (GOOGL) - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-10-11/google-s-incognito-inspires-staff-jokes-and-a-big-lawsuit

Google Engineers Joked About How Incognito Mode Isn't Very Incognito
https://futurism.com/the-byte/google-engineers-joked-incognito-mode

GoogleはこれまでにもChromeの「シークレット ブラウジング」でユーザー情報を収集していることが問題視されており、2020年には約5400億円もの損害賠償を求める集団訴訟に直面しました。

Googleに対して約5400億円の損害賠償を求める集団訴訟、「Googleはプライバシーモードのブラウジングからも個人情報を収集している」と原告は主張 - GIGAZINE


その後、2022年5月にも「閲覧履歴や位置情報を追跡しないモードであると宣伝しているにもかかわらず、依然として個人情報を収集している」として、テキサス州の司法長官であるケン・パクストン氏らから訴訟を提起されました。

この訴訟では、Googleが「シークレット ブラウジング」あるいは「シークレット モード」として宣伝しているプライバシー重視のブラウジング機能が、実際は多くのユーザー情報を収集しており、ユーザーを誤解させていると指摘されています。

この訴訟に関する資料として提出された文書の中から、「Googleのマーケティング部門でチーフを務めるLorraine Twohill氏がサンダー・ピチャイCEOに送ったメール」が見つかっています。このメールで、Twohill氏は「シークレット ブラウジングを完全にプライベートなものにします」「現在のシークレット ブラウジングは完全にプライベートなものではないため、マーケティングに力をいれるには限界があります。そのため、よりダメージを与えられるようなあいまいで保険の効いた表現が必要になります」とピチャイCEOに対して語っています。


他にも、Googleではユーザーがシークレット ブラウジングについて誤解していることを示す調査内容が社内で共有されていたり、2018年に社内で行われたグループチャットの中で「シークレット モードと呼ぶのをやめ、スパイアイコンを使用することもやめる必要がある」という提言が行われていたことも明らかになっています。

また、別のエンジニアは「シークレット ブラウジングのアイコンはGuy Incognito(ザ・シンプソンズに登場するキャラクター)であるべきでした……。これによりシークレット ブラウジングのプライバシーレベルを正確に伝えられます」と軽口をたたいていたことも明らかになっています。


海外メディアのThe Byteは「これはGoogleの従業員がChromeのシークレット ブラウジングをどのように見ていたかを示すかなりひどい洞察です」と指摘。

なお、Googleは訴訟に際して「シークレット ブラウジングが完全にプライバシーの保たれたものではないことをユーザーに明確に示しており、Googleがデータを追跡することにユーザーは同意している」と主張しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Googleが勝手にユーザーの位置情報を収集し続けていた件の裁判で123億円支払いへ - GIGAZINE

Googleが5000億円超の損害賠償の棄却に失敗、Chromeの「シークレットモード」でも個人情報を収集している問題を巡り - GIGAZINE

Google ChromeのシークレットモードからGmailやFacebookのパスワードを抜き出す方法 - GIGAZINE

シークレットウィンドウの「新しいタブ」デザインを一新した「Google Chrome 36」安定版リリース - GIGAZINE

in ソフトウェア, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.