ネオやモーフィアスのいた仮想空間が、マジで現実のものに。
日本の株式会社スペースデータが、人工衛星で撮影した膨大な地上観測データをAIに学習させ、3DCG技術でバーチャル世界に地球を複製するアルゴリズムを開発しています。
このAIは、地上の静止画像と標高データから、構造物を自動で検出・分類・構造化し、石や鉄や植物、それにガラスなどの材質も自動で再現することが可能という凄いもの。しかも! 誰でも無料で使えるよう配布されるのだそうです。
衛星データからバーチャル空間に世界を自動生成するAIを作ってみた(動画は東京の一部地域の再現)。これからAIに全世界の3Dモデルを作らせて、誰でも無料で使えるように配布していく。非営利での研究になるけど、マトリックスやレディ・プレイヤー1の世界観を実現していきたい。 pic.twitter.com/HSovVzbkIw
— Katsuaki Sato (@ka2aki86) May 31, 2021
このちょっとした動画からでも、どれほどの技術なのかが推し量れます。ですが公式サイトでは、「最終的には交通量、人通り、昼夜、四季、気温、植物分布、夜間光量など、この世界のあらゆるデータを学習してバーチャル空間に「世界」を再構築するAIの実現を目指しています」とあります。ホントに『マトリックス』の世界が出来上がっちゃいますね。
渋谷109の屋上からドローンを飛ばしたら見える景色 pic.twitter.com/eA7mHnvZyG
— Katsuaki Sato (@ka2aki86) December 11, 2020
近付いても解像度が高くキレイ
以前には仮想空間で第二の人生を送ったり、広告を出したりできる『セカンドライフ』というゲームがちょっとだけ一世を風靡しましたが…描写のリアルさや、現実世界を丸ごと再現できる拡張性でもこちらは圧倒的ですね。
ドローン視点で上空から見たバーチャル渋谷。人通りや交通量は今はテキトウだけど、今後は統計データを取り込んで現実とほぼ同じ量に調整していく。 pic.twitter.com/EyqufRdqF2
— Katsuaki Sato (@ka2aki86) December 11, 2020
このアルゴリズムは、たとえばGoogleマップの航空写真のように近付いたら画質が粗くなることがなく、3Dモデルが建造物を再変換しているのでキレイなまま。それに企業の看板や広告などは再現されないようになるので、肖像権や著作権を侵害することもないのは安心です。とはいえ運営次第ですが、この世界の中に広告を出す企業とか出てくるかもしれませんね。
どんな使い途がありそう?
もちろんゲームに使っても良いですし、映画撮影の背景にもなるかもしれません。それにどんな人でも一瞬で世界旅行に行けますし、アバターで参加して次世代のSNSになる可能性もあるかなと思います。もしくや自律運転をするEVやドローンなどのシミュレーションに使われるなんてことも? 究極はメタバースでしょうか。
制作者の佐藤航陽さんいわく、「最後はブロックチェーン上に乗せて、自分が死んでも動き続ける自律分散型の並行世界を作っていきたい」なんておっしゃっているので、それも実現するでしょうね。
3DCG技術の可能性を試したくて、色んな方に協力頂きながらバーチャルの渋谷を作ってみた。次は衛星データと機械学習を使って、AIに地上を学習させてバーチャルの地球を自動生成させてみる。最後はブロックチェーン上に乗せて、自分が死んでも動き続ける自律分散型の並行世界を作っていきたい。 pic.twitter.com/wHg67URUxB
— Katsuaki Sato (@ka2aki86) December 3, 2020
うーん、死んでもデジタル世界で存在できる未来。韓国で行なわれた「死んだ娘をVRで復活させた涙のプロジェクト」みたいになるかもしれません。何はともあれ、私たちも早くこのVR世界にダイヴできるよう、公開に期待したいですね。
Source: PR TIMES, 株式会社スペースデータ, Twitter