IoTにおけるセンサーの選び方

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現在、IoTの活用が当たり前となってきている一方で、IoTの肝となるセンサーの選択に悩むシーンが増えてきている。

また、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための換気対策をきっかけに、CO2センサーの注目度があがり(注1)、これまでIoTに興味がなかったビジネスマンにも「センシング」のニーズが認識され始めている。

その結果、センサーやデバイスの「質」が問われるようになってきた。

さまざまなセンサーやデバイスを提供している企業が集まっている「IoTセンサー・デバイスパートナープログラム」の幹事会社である、ぷらっとホームには、「手頃なセンサーを使っていてトラブルが起きた」、「データを取ってみたけれど、データが詰まってしまって放置状態になっている」、「どんなセンサーを選べばいいかわからない」といった問い合わせが増えているという。

そこで今回は、センサーの選び方や、注目度の高いセンサーについて解説していく。

注1: コロナ対策分科会の尾身会長が、「緊急事態宣言解除後の地域におけるリバウンド防止策」について会見し、「二酸化炭素濃度測定器を用いて、二酸化炭素が一定水準(目安1,000ppm)を超えないように換気や収容人数を調整する。なお、二酸化炭素濃度が一定水準を超えた場合に自動的に換気が行われる技術を導入する方法もありうる」と発表したことをきっかけに、CO2センサーの注目度があがっている。

センサーには「質の違い」がある

そもそもセンサーとは、ある対象に関する情報を収集し、データに変換して出力するデバイスのことである。例えば、人間の視覚や聴覚、味覚などの五感に近い。

センサーによって得られる情報には光や音、温度、湿度、速度、加速度、角速度など多種多様な種類がある。

様々な種類があるセンサーだが、まず、センサーは「壊れない」ということが大前提となる。そして、もう一つ重要なことが「正確にセンシングできる」ということだ。

センサーというと、購入すればスペック通りの精度で情報が取得できる、簡単に壊れたりしない、と考えるものだが、実際にそうとも言えない。

Amazon.co.jpなどを調べると、さまざまなセンサーが数千円から販売されており、一見しただけでは良し悪しがわかりづらい。物は試しにと、買ってみると、案外不正確な計測がされていることもあった。

もし、PoC(Proof of Concept:概念実証)の段階で、用途が違っていたり、粗悪なセンサーを選んでしまったりすると、データが不正確になり、プロジェクト自体が進まないこともある。

では、どういったセンサーを選べばよいのだろうか。

信頼と実績のあるメーカーのモノであること。さらに、比較的値段が高いモノであっても、用途にあったモノを選ぶべきである。

そこで、センサーを選定する際のツボを、いくつかの例をあげて紹介する。

通信規格の選択も重要

センサーで取得したデータを、何らかの形でコンピュータに集めるわけだが、その際の通信としてよく利用されるのが、Wi-FiやBLEだ。

Wi-FiやBLEの場合、通信帯域が2.4GHzということもあり、干渉を受けやすいことで知られている。しかし、取り扱いの良さや、初期のIoTにおいて、とりあえずスマートフォンに接続して、インターネットとのデータ通信を行うようなPoCが行われたこともあり、その利用が進んでいた。

しかし、Wi-FiやBLEではカバーできない場所や用途も現場では多々ある。

そこで、他の可能性として「EnOcean(エンオーシャン)」と呼ばれる、通信規格もBLEとあわせて紹介する。

まずBLEの一番の特徴は、幅広く普及しているため「安価」であり、たくさんの人やモノに設置したり大量に配布したりする事が可能であることだ。一方、バッテリーや外部電源が必要なこと、2.4GHz帯のため障害物に弱く通信が短距離(10m程度、注2)であることなどの課題がある。

それに比べEnOceanは、920MHz帯を使うので、BLEに比べると電波到達性が高く(30m程度、注2)、通信範囲が広いため、長距離をセンシングする場合に向いている分コストが高くなる。

コストが高くなる分、振動や圧力、光などを利用して自己発電するため、電源が必要ないという利点もあり、場所を問わずに設置できるが、大量になるとコストも膨大になる。

注2: 障害物の有無や周囲電波状況等の環境による

今知っておくべきセンサー7選

今回、「IoTセンサー・デバイスパートナープログラム」に掲載されているセンサーの中で、特に質へのこだわりや、信頼・実績のあるパートナープログラム参加各社のセンサーを7種類紹介するので、センサー選びの参考にしてほしい。

1. エイブリック株式会社 CLEAN-Boost® バッテリレス漏水センサ(BLE)

IoTにおけるセンサーの選び方

これまで、マンションやアパート、ショッピングモールなどの商業施設の水回りや、下水道の配管設備の水漏れを検知するには、通信配線の敷設工事と電源工事が必須で、大掛かりな準備をする必要があったり、後付けができない、漏水場所を大まかでしか特定できない、などの問題があった。

そこで、この課題を払拭するために、エイブリック株式会社から、通信配線工事と電源工事が不要になる無線かつ電源不要の「CLEAN-Boost® バッテリレス漏水センサ」が登場した。

これは、リボン型のセンサー部分が濡れることにより水中の電解質によって自家発電する。そのため電源が必要なく、無線で水漏れを知らせることができるセンサーだ。大掛かりな工事が不要ということで、引き合いも増えているという。

リボンの部分は連結できるので、5mを3本つなげることで最大15mまで連結できる。配管にぐるぐると巻きつけることもでき、使い勝手がよい仕様になっている。

建物にセンサーを入れると何十年も設置されることもあるため、センサーのトラブルを検出する死活監視タイマーがオプションとして用意してあるのも嬉しい。

2. ワッティー株式会社 換気センサ(二酸化炭素センサー)HYCO(EnOcean)

IoTにおけるセンサーの選び方

ワッティー株式会社の「換気センサ(二酸化炭素センサー)HYCO」は、NDIR方式を採用している。

NDIRとは、Non-Dispersive InfraRed(非分散型赤外線)の頭文字を取った名称で、簡略的に説明すると、赤外線を使った特殊な方法でCO2濃度を高精度に測定できるセンサーだ。 

この「換気センサ(二酸化炭素センサー)HYCO」は、温湿度センサーも内蔵されているのが特徴だ。利用シーンとしては、植物工場や映画館、会議室などがある。通信部分に前述したEnOceanが採用されているので、通信範囲が広いのもポイントだ。

ワッティー社のセンサーは耐環境温度にもこだわっており、HACCP(ハサップ)を意識した設計の新製品も出しているため、注目度が高いメーカーである。

HACCPとは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字をとった語で、食品の安全性を確保するための衛生管理のガイドラインである。従来のようにできあがった生産物の安全性を調べるのではなく、原材料の入荷から生産、出荷に至の各段階で、異物混入などの発生する可能性のある危害を分析し、特に重要な工程を管理し、生産物全体の安全性を確保する。日本では、2018年6月に食品衛生法が改正されたことで、HACCPが食品に関わるすべての事業者に完全義務化された。

3. ユニ電子Logtta CO2(BLE) CO2センサ

IoTにおけるセンサーの選び方

ユニ電子のログッタシリーズは、リーズナブルで手が届きやすいためCO2センサとして幅広く使われており、一番ポピュラーなセンサーと言える。最近では、換気情報の見える化の用途で使われていることが多いという。

データのログを取ることができるデータロギング機能がある。電源はUSBケーブルでの供給になるが、短期間であれば電池でも駆動できる。さらにNDIR方式を採用しているため、高精度でのCO2濃度測定が可能だ。

使用用途としては、住宅、オフィス、ビニールハウス、植物工場などにおけるCO2濃度の把握や、屋内の換気状況の「見える化」ができるためバスやタクシーの車内環境の確認などにも使うことができる。

4. オプテックス株式会社 在席検知センサー(EnOcean)

IoTにおけるセンサーの選び方

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、数千人規模の社員が在宅勤務をする時代になった。そのため、これまでのオフィスを解約して、全員分の席を用意せず、フリーアドレス席を大幅に増やす企業が増えてきている。つまり、社内コワーキングスペースの拡張だ。

そこで、在席検知センサーを活用し、自宅や出先から空席状況をスマートフォンで確認してから、オフィスに行く/行かないを判断する、という動きが加速している。なかには数千個単位でセンサーを導入する企業もあるという。

オプテックスの「在席検知センサー」は、同社独自のセンシングアルゴリズムにより、着席している人を高精度で判定するパッシブサーマルテクノロジーが搭載されている。もちろん、配線は不要で、電池交換も5年間不要なので、メンテナンスコスト低減につながる。

5. EnOcean GmbH 928MHz EnOcean対応マルチセンサー EMSIJ (温度、湿度、照度、振動、コンタクト)(EnOcean)

IoTにおけるセンサーの選び方

EnOcean通信方式の技術を開発し基本特許をもつドイツのEnOcean社が開発した、「928MHz EnOcean対応マルチセンサー EMSIJ (温度、湿度、照度、振動、コンタクト)」。

これは、室内の温湿度管理、ドアの開閉による在室検知、振動センサーによる侵入や盗難検知など幅広い分野に使用可能だ。EnOcean方式の強みであるエネルギーハーベスティング技術、超消費電力設計により、ソーラーパネルから室内光程度の光量があれば電池交換不要で動作する事ができる。

最近では、人手不足や後継者不在という問題を抱える農業での活用も増えてきるという。

6. 株式会社 フォーカスシステムズ 業務用薄型Beacon(BLE 製品名:FCS1301)

IoTにおけるセンサーの選び方

ここまではセンサーを見てきたが、ここからはBeaconを紹介する。

BeaconとはBluetoothの信号を使って、一定間隔で半径数メートルから数十メートルの範囲に電波を飛ばして、位置情報を特定したり、情報を配信したりするデバイスのことである。

フォーカスシステムズのBeacon(製品名:FCS1301)の特徴は、小型で3.5mmの超薄型設計、かつ5gと非常に軽いことである。大量に配布することができるBLEの良さを生かした使い方が可能だ。

薄くて軽いことによって、パスケースに入れたり、モノに貼り付けたりすることが容易にできるので、人やモノの屋内位置測位や出退勤の管理も可能になる。使用用途としては例えば社員にBeaconを持たせることで拠点やフロアが別でも、社員それぞれの居場所を管理している企業もあるという。

海外の認証も取得しており、EU、アメリカ、カナダ、ロシア、韓国、台湾、シンガポール、 タイ、インド、UAE、イスラエルでも使うことができる。

7. オカベマーキングシステム株式会社 マルチアドバタイズ・加速度センサービーコン(BLE)

IoTにおけるセンサーの選び方

オカベマーキングシステム株式会社の「マルチアドバタイズ・加速度センサービーコン」は発する電波の中に、XYZ軸の加速度データが入っているのが特徴だ。

それによって、例えば輸送の管理状態が問われるワインなどの段ボールなどにとりつけておけば、ワインが安全に輸送されたかどうかといったことがわかる。

他にも、通常の揺れではなく、大きな揺れになった場合故障する可能性があるなどの故障予知で使用したり、商品に「マルチアドバタイズ・加速度センサービーコン」を取り付けて、お客様が商品を持ち上げると電波を発信し販売員に接客指示を出したり、という用途が考えられる。

IP67仕様の防塵・防滴性能で屋外でも使用できる。

センサーにはIoTゲートウェイが必要

ここまでさまざまなセンサーを見てきたが、センサーデータを収集し、クラウドにあげるためには、IoTゲートウェイが必要になる。極端なことを言えば、「ゲートウェイまでがセンサー」と考えた方がいいだろう。

そしてIoTゲートウェイもセンサー同様、信頼性の高さが必須である。ハードウェアにトラブルがおきると、実際の現場で人手が必要になる。

例えば山奥でゲートウェイが壊れたとして、そこに人を派遣しなければいけないコストを考えると、ゲートウェイ自体が少し高くても、壊れにくいものの方が良いのは想像に難くない。

ぷらっとホームのIoTゲートウェイ「OpenBlocks IoTシリーズ」は、MTBF(平均故障間隔)を公表しており、業界屈指の故障率の低さがウリだ。例えばOpenBlocks IoT VX2では、理論上1台あたり約50年に⼀度の故障間隔となる。

加えて、ぷらっとホームのIoTゲートウェイには、専用のソフトウェア「FW」を搭載している。Web UIを搭載しており基本設定はブラウザ上で完結し、煩雑なネットワーク設定や、センサーと接続するためのプログラム開発が不要なため、プログラミングレスで、センサーから取得したデータを簡単にクラウドにあげることができる。

また、単にプロトコルを変換しているだけではなく、データが詰まらないよう考慮されたバッファリング機能や、遠隔地からの死活監視・リモートアップデートなど、本番運用を意識した機能やサービスが利用可能だ。

トラブルを回避して運用する方法とは

例えば、OSのバージョンが変わった際にトラブルとしてよく聞く事例が、「SIerが入ってセンサーとゲートウェイの接続を検証しなければいけないが、実はそこまでの契約は結んでなかった」とか、「プログラムを改変しなければいけないが追加コストが捻出できず、システムが稼働しなくなってしまった」などである。

加えて、繋がっているのが当たり前の時代になったせいで、ネットワークまわりの知識を持っている方が減っており、通信が切れたときにどう繋ぎ直せばいいかわからないという問題も顕在化してきている。

そういった問題をクリアしたのが、「IoTセンサー・デバイス パートナープログラム(以下、パートナープログラム)」だ。

パートナープログラムの標準対応として登録されているセンサーやデバイスはすべて、ぷらっとホームのIoTゲートウェイと接続が担保された状態で出荷される。

OSのバージョンが変わった際も、IoTゲートウェイのソフトウェアをアップデートするだけで良い。つまり、センサーとIoTゲートウェイが一体で保守されているのだ。パートナープログラムは、接続も含めたサポートが大前提となっており、アフターサービスがしっかりしているので運用後も安心だ。

「そうは言っても使ってみなければわからない」という方のために、ぷらっとホームではIoTゲートウェイの貸し出しを強化しているということなので、ぜひ問い合わせてみてほしい。

ぷらっとホームが提供するIoTゲートウェイの詳細については、下記の資料をダウンロードしてご覧いただきたい。

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