マイクロコピーこそがUXライティングのカギ

Kristin Savage

KristinはBestessayseducation.comやSupremedissertations.comに寄稿しているライターです。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Getting UX Writing Right with Microcopy

UXライターの年収は9万7千ドルにも達しており、コピーライターとして働いている多くの人たちを惹きつけています。ですが問題があります。それは、多くのコピーライターがマイクロコピー(ユーザーインターフェイスのためのコピー)のことを、普段書いているコピーと対して変わらないと考えてしまっていることです。

これもまた真理ではあるだろうとかつては私も考えていました。だからこそ、有効なUXライティングに必要なものが何なのかについて、学んだりリサーチしたりするために莫大な時間を費やす羽目になったのです。実はマイクロコピーは他のマーケティングコピーとは根本的に違うもので、既存のコピーライティングの経験と必ずしも関連するものではありません。UXライティングの分野においてよいスタートを切るためには、既存のコピーライティングのルールとはまったく別の、UXライティングを成功させるために不可欠なルールを知っておく必要があります。

短いコピーの書き方については忘れよう

コピーを書いたり、読んだりしたことがある人なら誰でも、よいコピーとはどのようなものかについての自分なりの考えをもっているでしょう。ここで、あるホテル予約アプリのマイクロコピーを書くことを考えてみてください。

あなたへの依頼は次のようなものです。

期間限定のホテル予約プランについてユーザーに知らせるためのアプリ内の通知文を書いてほしい。その日のうちに部屋を予約すれば、アプリユーザーは10%オフの価格で3つ星ホテルを予約できる、という内容。

プロモーションコードのようなものはなにもないので、ユーザーが予約するためにはただアプリで申し込みさえすればよい。とにかくそのオファーが期間限定であることをユーザーに理解させてほしい。

文字数は英語で40字(スペースを除く)。

初心者には少し難しいタスクかもしれません。ヒントがほしいなら、よい書き方を紹介しましょう。

本日予約すればホテル予約が5%おトク!
Book today to get 5% off your hotel booking back!

このように、シンプル、かつ大事な情報が伝わるように書きます。

マイクロコピーを書くに当たって必要なことは次のようなことだけです。

  • いちばん大事な情報を伝える(この場合は「本日予約すればおトク」であること)
  • ユーザーが知っておく必要がある具体的な情報をシェアする(期限とディスカウント率)
  • 制限文字数内に収める

全体を説明したり、詳細を全て表現したりする必要はありません。そうした説明をするためにはまた別のページがあればよいのですが、いま必要とされているのはアプリ内のプッシュ通知です。ですから、メッセージのエッセンスは残しつつ、できるだけ短くしなければなりません。

AndroidとiOSのそれぞれの端末でのマイクロコピーの好事例をみてみましょう。こちらの例では、メッセージが画面によくフィットしているのでユーザーは間違いなく全文を読むでしょう。

同じアプローチを、Webサイト上のテキストや、アプリ内の通知、メニューの説明、FAQなどに使う細かなコンテンツすべてに適用してください。

忘れてはいけないのは、長すぎるコピーはユーザーをすぐにうんざりさせてしまうということです。

だからこそ、文字が多いことは残念なUIの第一の特徴なのです。マイクロコピーとは、ただテキストをできるだけ短くすることではありません。あなたのデジタルプロダクトのユーザーにとって意味があるものでなければならないのです。

自分のマイクロコピーが理に適っているかどうか、繰り返し確認しよう

UXライターの最大の目標の1つは、ユーザーとデジタルプロダクトとの最初の接点が最後の接点にならないようにすることです。マイクロコピーをぐっと短くすることに加えて、それを有意義で明快なものにする必要があります。

私がおすすめする4ステップのプロセスは次の通りです。

コピーを声に出して読む

これはぜひ実践していただきたいです。黙読するのではなく声に出して読むことで、多くの不整合は格好悪い文、たくさんの間違いに気づくことができます。

他の人に読んでもらう

ライティングのプロセスに関与していない人に読んでもらえば、わかりにくい部分をみつけるのに多いに役立ちます。

Hemingway Editorを使う

言葉の難しさや能動態と受動態の使い方などの指標に基づいて算出された読みやすさのスコアを調べることができます。

実際のユーザーからのフィードバックを得る

UXリサーチャーに実際のユーザーの観察とテストを依頼しましょう。

・・・

最後に、つくったマイクロコピーが期待されるユーザー体験に沿うものなのかどうか、チームメンバーとチェックしましょう。

たとえば、Zoomがユーザーに対して、彼らが始めようとしている通話の種類(ビデオのオン・オフ、画面共有のみ、など)をどのように知らせているかみてみます。マイクロコピーによって通話がどのように行われるのか明確になっているだけではなく、ユーザーは最初の段階からきちんと情報を与えられた上で決断を下しやすくなっています。

このマイクロコピーのおかげでユーザーの期待値が決まるので、後々彼らを混乱させることがありません。

ユーザーに直接話しかけよう

ユーザーとの会話を進めるには、能動態で書くことです。そうすれば、ユーザーがより明確に、力強く、また素早く理解して解釈できるようになります。

能動態の例:「彼はその旅行アプリのマイクロコピーを書いた」

受動態の例:「その旅行アプリのマイクロコピーは彼によって書かれた」

両者の違いがわかりますか?

コピーライターもUXライターも間違いなく前者を選びます。

UXライターのBridgette Hernandezは次のように言っています。

受動態の文は長ったらしくなりがちで、むやみに複雑になってしまいます。一方で、能動態を使えば文字の数は少なくて済み、文章はわかりやすくなります。

それに、ユーザーのアクションを引き起こす上でも能動態はよりよいオプションです。

たとえば、こちらはBooking.comのニュースレター登録フォームですが、能動態のおかげでマイクロコピーはユーザーに求める行動が前面に出たものとなり、ユーザーが進むべきステップが明確になっています。

(画像内和訳)
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結果として、ユーザーのアクションを引き起こす可能性が高くなり、ユーザーにできることが何なのかがよりわかりやすくなります。

大事なことは信頼性と、マイクロコピーから読み取れる人間性

たとえばBleacher Reportのアプリはスポーツファンを対象にしたものですが、ここではそんな彼らにとって魅力的で、親しみやすいような言葉が使われています。

(画像内和訳)
チームに参加しよう
コメントや反応をして、お気に入りをフォローしよう。ログインして、ゲームに入り込もう。

こちらのBooking.comもまたよい例です。会話調のテキストと能動態のおかげで、ユーザーを引きつけ、必要な情報を与えて彼らを導くようなコピーになっています。

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ユーザーをこちら側との会話に引き込むためには、平易な言葉を能動態で記すだけではなく、温かみのある、明るいトーンでユーザーに「あなた」と話しかけることも有効です。

ですから間違いなく大事なことは、マイクロコピーはあなたとユーザーとの会話におけるあなたの発言であるということなのです。会話における発言同様に気を遣いましょう。

終わりから始めに向かって書いていく

このテクニックは、アプリのような複雑なデジタルプロダクトのマイクロコピーを書く場合に使います。

つまり、プロダクトにおけるユーザージャーニーの最終段階から始める必要があるということです。たとえば旅行アプリの場合、最終段階はホテルの予約を完了することになるでしょう。

ポイントは、終わりから始めへとステップを逆戻りすることです。こうすることで、ユーザーが目的を達成するためにしなければならないことのすべてを素早く特定することができます。もしまだこれが済んでいないなら、ユーザージャーニーをつくることを考えてみてください。ユーザージャーニーを使えば、ユーザーと、ユーザーの目的を達成するために使われるデジタルプロダクトのタッチポイントを完全にマッピングすることができます。

たとえば旅行アプリのシンプルなユーザージャーニーマップはこんなふうになるでしょう。

ジャーニーマップを使えば、UXライターはユーザーがプロダクトを使ってどのような経験をするのかを理解することができます。そのプロセスの中であなたはまた、ユーザーに固有の動機、目的、ジャーニーの中で経験し得るフラストレーションについても知ることができるでしょう。

たとえば、何らかのUXリサーチを行う場合、そのリサーチは初見のユーザーにとってはちょっと複雑すぎて、直感的ではないということがあるかもしれません。このような場合には、画面上の通知やツールチップのような形での追加の説明が必要になります。

User Journey Resource Listにあるツールを、あなたのUXリサーチツールに追加しましょう。

いつでもマイクロコピーを見直そう

UXライティングというのは時間のかかるタスクです。すべてをきちんと進めれば、マイクロコピーの初版は非常にできのよいものになるはずです。ですがさらにテストを重ねるうちに、もっとそれを向上させる機会に恵まれるでしょう。

ですから、1回きりでマイクロコピーが魔法のように機能するとは思わないでください。ユーザーのニーズはつねに進化し続けるのですから、あなたがどのようなスキルをもっていても関係ないのです。

なのでUXライティングに関しては、つねに改善を志向するマインドセットをもっていてください。UXライターはユーザーの代弁者なのですから、ユーザーが求めているものとは違うとなれば、ユーザーの声に耳を傾けなければならないということを肝に銘じておきましょう。

UXライティングに関するその他のリソース

マイクロコピーを書くためのポイントがわかった以上、あなたはアップデートされたスキルと考え方を武器に、さらなる自信をもって初めてのプロジェクトを引き受けることができるでしょうし、あるいは、いま進んでいる道を進み続けることができるでしょう。

この先のあなたの仕事に役立ちそうな、実践的なヒントを下に挙げておきます。


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