連載事業を創る者たち 一流のベンチャーパーソンは何から学んだのか

あのプロダクトのPdMから学べ!
エウレカ金田氏、メルカリUSフリッツ氏など急成長サービスのプロダクトマネジャー5選

「事業は人なり」経営の神様とも称される松下幸之助の言葉だ。事業を創るのも、会社を大きくするのも、そこには「人」がいる。そんな「人」に焦点を当て、次代を担う若きイノベーターたちをピックアップ。成長のエッセンスをお届けする。

今回は、事業成長のカギを握るプロダクトマネジャー(Product Manager。略称PMまたはPdM)の中でも、FastGrowが特に注目する各企業キーマンを5名厳選してご紹介。戦略はもちろん、デザインや開発、広報に集客と、プロダクトに関わる幅広い領域をすべて担っているため、第2のCEOもしくはミニCEOと呼ばれたりもする同ポジション。海外ではすでに一般的で、国内でも目にする機会が増えてきている。

事業の屋台骨となるプロダクトマネジャーとして活躍する、現役のPdMたちは何を考え、どう行動しているのか?彼らの思考を探っていく。

  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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プロダクトマネジャーに関する知識の流通はまだまだ足りない

一口にプロダクトマネジャーと言えど、その役割や業務範囲は多岐に渡る。プロダクト全体を統括するポジションから、華やかな印象を抱いている読者も多いのではないであろうか。先日もDNX Venturesの湊 雅之氏のツイートが話題となったのは記憶に新しい。

キャリア選択の一つとして、プロダクトマネジャーを志している方も以前に比べ増えている。ただ国内では実際のPdM人口も少なく、組織によってもそのカバー範囲が異なることから実態を正しく理解しづらいのも事実。

ビズリーチやメルカリを経てSmartNewsにてTechnical PMを務める森山 大朗氏や、Microsoft・Googleと巨大外資ITをプロダクトマネジャーとして渡り歩いた及川 卓也氏などは、数少ないプロダクトマネジャーに関する情報を発信する人物だ。また、10X創業者矢本 真丈氏や、delyでCXOを務める坪田 朋氏を参考にしている方も多いかもしれない。

それでもプロダクト開発やプロダクトマネジャーに関する情報は、海外と比べてもまだまだ広くされているとは言い難い。そこで、国内スタートアップ・エコシステムの発展のためにも、知の流通に少しでも貢献できればと思い、今回は、「プロダクトマネジャー」として活躍する5名をピックアップさせていただいた。

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金田 悠希(株式会社エウレカ 執行役員VP of Product, Pairs)

ここに注目!

  1. モバイルファクトリー社にて100万DLゲーム「駅メモ」のサービス立ち上げ急成長を牽引。その後エウレカ社にて1,000万人が利用する国内最大級の恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」の成長をリード...20代のうちに、サービスの立ち上げ期、拡大期の両方を経験
  2. これからのプロダクトマネジャーは、拡大期を終え「細分化・専門化」が進む?備えておくべき未来のPdM像を、自身のnoteで公開
  3. PM1年目は、毎日施策案を出せ」「0→1より1→10、10→100を今すぐに経験せよ」20代PdMに贈るTipsを紹介

新卒入社したモバイルファクトリーでは、3つの新規タイトルを立ち上げるも大きな成果には繋がらなかった。当時をFastGrowの取材で「とても辛くて、サービス作りは大変だと思い知る経験となりました。」と語っている。

それでも、毎日施策案を出し続けた努力が実を結び、2年目に立ち上げた「駅メモ」は、社内でトップクラスの売上をあげるゲームへと成長し、上場に貢献した。

その経験を提げ転職したエウレカでは、国内最大級の恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」を会員数500万人から、約2年で1,000万人へと成長させる。

20代で、toCサービスにおける様々なフェーズの失敗や成功を数多く経験してきた金田氏だからこそ語れる、若手PdMの歩むべきキャリア戦略やプロダクトマネジャーの未来をまとめた自身のnoteは、全若手プロダクトマネジャー必見だ。

おすすめの1記事、金田氏のマスターピース

「0→1よりも10→100が難しい」大ヒットゲームプロデューサーは、なぜ「Pairs」の事業責任者に転身したのか?

金田氏のTwitterを見てみる
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栗林フリッツ幹雄(Mercari, Inc.)

ここに注目!

  1. 2011年、創業期のイグニスに参画後、13年よりサンフランシスコに移住。子会社社長として米国支社の立ち上げ、約80ものアプリ開発を経験、事業の世界展開を行う
  2. 「日本のIT企業を海外で成功させる」が自身のミッション。本気で世界を獲りにいっていることに共感し、メルカリに参画
  3. けんすう氏、hey佐藤氏も絶賛するnote「プロダクトの成功に必要な3つのステージと 20のタスクについて」著者。他10本以上ものnoteを公開

日本とドイツのハーフであるフリッツ氏。「フリッツ」とはドイツの昔の王様の名前で、日本でいう「信長」のような意味を示すことから、「ドイツの織田信長」とも呼ばれている

そんなフリッツ氏のnoteで最も界隈を唸らせた「プロダクトの成功に必要な 3 つのステージと 20 のタスクについて」では、役割が広く定義しにくいプロダクトマネジャーのミッションの定義付け、さらに役割を3つにわけた上で20の項目に分割して詳細に説明されているため、新人からベテランまで、幅広い層が理解しやすくなっている。

フリッツ氏のnoteは、プロダクトマネジャーだけでなく、様々なポジションに応用が効くコンテンツとなっているので、PdMとしてキャリアアップしていきたい方に限らず、ベンチャーパーソンであれば一読をおすすめしたい内容だ。また、現在在住中のシリコンバレーの生の情報をTwitterで発信されているので見逃せない。

おすすめの1記事、フリッツ氏のマスターピース

プロダクトの成功に必要な 3 つのステージと 20 のタスクについて:現場の動き方をまとめました

フリッツ氏のTwitterを見てみる
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髙橋 京輔(株式会社ドクターズプライム 取締役 / 共同創業者)

撮影:藤田慎一郎

ここに注目!

  1. 内定者時代に直談判し、単身渡米!CyberAgent America, Incの北米拠点立ち上げから、プロダクト開発まで担当
  2. 2016年メルカリ転職後、US版メルカリの開発を行った後、中学高校時代の同級生である田とドクターズプライムを創業
  3. プロダクト開発からチームビルディング、事業運営まで、プロダクトマネジャーに必要なあらゆるノウハウをまとめた「About Product」は、全プロダクトマネジャー必見

3人目は、過去FastGrowでも取材した髙橋 京輔氏。高橋氏の物語は、サイバーエージェント内定者時代、当時取締役だった西條 晋一氏(現・XTech代表取締役)に直談判し、北米事業立ち上げにインターンとして携わるところから始まる

帰国後もソーシャルゲームの担当として成果を残し、メルカリでのプロダクトマネジャーを経てドクターズプライムを創業。そんな彼のPMやPdMに関する一貫した経験をナレッジに落としたのが、「About Product」である。

新しいサービスを立ち上げる際には、スケールに耐えうるシステムを考える前に、そもそもそのビジネスってスケールするの?という問いに答えなければいけません。

創業時の「作らないものづくり」に関するエントリーなど、実体験に基づく濃密なノウハウは、プロダクト開発や事業立ち上げに携わるものとして読み逃せない。

おすすめの1記事、髙橋氏のマスターピース

PdMはあきらめの悪さがけっこう大事──ドクターズプライム高橋京輔が胸に秘める「執着心」
撮影:藤田慎一郎

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浦 祐介(株式会社ZOZOテクノロジーズ)

ここに注目!

  1. グリーでデータアナリスト、ランサーズで新規事業責任者、ZOZOテクノロジーズでPdM。toC領域で幅広く経験を積んだ実力派プロダクトマネジャー
  2. PMに求められる『なんとかする能力』を分解してみた」「PMの僕が死ぬほどデータにこだわる理由」など、PdMとしてのこだわりやスキルに関するtipsを自身のnoteで公開
  3. ギフトプラットフォーム『TANP』を運営するGraciaに、副業でマーケターとして参画。1年で売上成長率400%に貢献した経験を持つ

グリー、ランサーズ、ZOZOと名だたるプロダクトを持つ企業をフィールドに活躍してきた浦 祐介氏。データアナリストや事業責任者、様々な経験から導き出されたプロダクトマネジメントのナレッジは必見。

特徴的なのは、「組織間コミュニケーション」や「プロジェクトマネジメント」など、組織や事業を動かすための経験やノウハウを、わかりやすく言語化して発信している点だ。マネジメントやチームビルディングに苦労することの多い若手PdMにとっては特に学びの多い情報ではないだろうか。

おすすめの1記事、浦氏のマスターピース

PMの僕が死ぬほどデータにこだわる理由

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中島 功之祐(株式会社メルカリ)

ここに注目!

  1. 2018年メルカリに入社後、1年目から自動車領域の新規事業立ち上げにPdMとして配属
  2. 『LINEマンガ』から学ぶ38のグロース施策」「スマートニュース(SmartNews)から学ぶ30のグロース施策」など、あらゆるサービスからグロースハック術を学ぶnoteを公開
  3. 元メルカリ樫田氏も注目する、期待の若手プロダクトマネジャー

本稿では5名ご紹介させていただいたが、蓋を開けてみればメルカリ出身者(現役含む)の方々の活躍が目立った。そして最後にご紹介する中島 功之祐氏も現役でメルカリに勤めるプロダクトマネジャーだ。

なんと言っても、LINEマンガやスマートニュース、クラシルにABEMAと、急成長しているプロダクトのグロース施策をまとめたnoteシリーズが大人気。またNetflixについてのnoteもUXから技術面まで綺麗にカバーしており読み応えがある内容となっている。

元メルカリで先日Growth Campを創業した樫田 光氏も期待を寄せる、若手プロダクトマネジャーである。

おすすめの1記事、中島氏のマスターピース

『LINEマンガ』から学ぶ38のグロース施策

中島氏のTwitterを見てみる

いかがだっただろうか?イノベーション・エコシステム発展のため、そしてベンチャーパーソンである皆さまに少しでも多く新しい学びをお届けするため、今後も「ベンチャーのプロフェッショナルから学ぶ」ことにフォーカスした情報を発信していく予定だ。

さらに、読者の皆さまの学びをさらに深めるべく、今回ピックアップした5名のPdMに追加で聞きたいご質問を大募集!

もし彼らが追加でFastGrowの取材などお受けいただけた場合に、FastGrow編集部が皆さまの代わりにご質問し、回答を配信する予定だ。会員限定のメールマガジンでの配信も検討しているので、未登録の読者はこちらからぜひ登録しておいてほしい。

こちらの記事は2020年08月24日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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藤田 慎一郎

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