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ほぼすべてのLinuxのブートローダーに脆弱性

 米セキュリティ企業のEclypsiumは7月29日(現地時間)、GRUB2ブートローダーに存在する脆弱性「BootHole」について報告した。

 GRUB2は、多くのLinuxディストリビューションで利用されているブートローダー。そのため、BootHole(CVE-2020-10713ほか)の影響は広範囲におよび、セキュアブートを有効にしている場合でも悪用が可能だという。各ベンダーに事前に通達済みで、同日よりアドバイザリーやアップデートが順次提供される予定。

 設定ファイルである「grub.cfg」をGRUB2が読み出すプロセスにおいて、バッファオーバーフローの脆弱性が存在する。grub.cfgはEFIシステムパーティション内部にあるテキストファイルで、管理者権限を得た攻撃者によってブートローダー本体の整合性を保ったまま変更できる。

 バッファオーバーフローを悪用することで、攻撃者はUEFI実行環境内において任意のコードが実行可能。マルウェアの実行やブートプロセスの変更、永続的かつステルスなブートキットの導入などができるようになる。OSの読み込みより前に攻撃者によるコードを実行できてしまうため、実質的にデバイスを完全制御下に置けるかたちとなる。

 緩和策としては、GRUB2自体の更新などが必要となるほか、セキュアブートではコンポーネントの検証プロセスにおいてMicrosoftによる電子署名が広く利用されているため、同社によるアップデートも提供される見込み。

 ブートローダーはその特性上、更新時のトラブルによってデバイスが起動不可に陥る場合もあるため慎重に進める必要があるが、BootHoleは特権昇格の脆弱性を通じて悪用が可能な脆弱性であることから、EclypsiumではまずはOS自体のアップデートを適宜行なうことを推奨している。