「もっと働かなければ」「貯蓄が足りない」ミレニアル世代の投資家、パンデミックで習慣と戦略に変化


裕福なミレニアル

LeoPatrizi / Getty Images

  •  7月13日にUBSが公開した報告書によると、パンデミックによって裕福なミレニアル世代のお金に対する考え方と投資方法が変化したという。
  • 調査対象となったミレニアルの投資家の多くが、パンデミックによって経済的打撃を受けたと回答した。
  • それにもかかわらず、ミレニアルは他の世代よりも、助けを必要としている家族や友人への経済支援を増加させる傾向があった。

スイスの金融機関UBSが、7月13日に公開した調査報告「UBS Investor Watch report」によると、パンデミックによって裕福なミレニアル世代のお金の使い方が変わったという。

UBSは、5月にアメリカ、イギリス、ドイツ、香港など15カ国から3750人以上の投資家を対象に調査を行った。調査対象は、保有する投資可能な資産額が25万ドル以上の25-30歳、50万ドル以上の31-39歳、100万ドル以上の40歳以上。

調査の結果、パンデミックによる経済の落ち込みに、「経済的打撃を受けた」と回答したのは、ミレニアル(アメリカのシンクタンク、ピュー研究所がミレニアルと定義している、現時点の25-39歳)が73%、ベビーブーマー(56-74歳)は66%で、若い投資家が大きな打撃を受けたことがわかった。

また「パンデミックによりお金に対する考え方が変わった」と回答したのは、ミレニアルが74%、ベビーブーマーは55%だった。ミレニアルの71%が「パンデミックによる経済損失を埋め合わせるために、もっと働かなくてはならない」と感じており、68%が「次のパンデミックに耐えられるだけの十分な貯蓄がない」と感じている。同じ設問で、ベビーブーマーはそれぞれ34%、38%で、ミレニアル世代がより不安を感じている状況が浮き彫りとなった。

若い世代は、パンデミックによる経済的打撃を受けていても、他の人を助けるためにお金を使いたいと思っている

パンデミックが発生したことから、ミレニアルの69%は、サステナブル投資(UBSの定義では「環境、社会、ガバナンスへの配慮を、自身の投資プロセスやポートフォリオの構成に組み込もうとする」投資戦略のこと)に「非常に興味がある」と回答し、60%が「慈善活動」を行いたいと回答した。

また、パンデミックの最中に「家族や友人への経済的支援を増やした」のは、ミレニアルは34%だったが、ベビーブーマーはわずか17%だった。この34%のミレニアルを国・地域別に見ると、ラテンアメリカ49%、ヨーロッパ(スイスを除く)42%で、アメリカは31%だった。

Business Insiderでも以前、パンデミックがミレニアルに与えた経済的影響について取り上げている。6月には、パンデミックによりアメリカが景気後退に入り、5000万人以上が失業するという状況が、ミレニアルの住宅取得意欲を鈍らせるだろうと報じた。また「ヘンリー(Henry:high earning not rich yet=高収入だが、まだ金持ちではないミレニアル)」がパンデミックによって変化したライフスタイルに、どのようにして適応していったのかについても報じた。

高級ホテルでの滞在や海外旅行、クラスパス(ClassPass)のようなサブスクリプションサービスの利用など、ヘンリーたちが好む多くのレジャーが、ロックダウンでできなくなった。そのような中、今後の予期せぬ金融イベントに備え、お金との付き合い方を見直し、よりよい貯蓄計画を立て始めている人々もいると、複数のファイナンシャルアドバイザーがBusiness Insiderに語った。このようなヘンリーたちの考え方は、今回のUBSの報告書で明らかとなったミレニアル世代の投資家の考え方とも一致している。

[原文:Wealthy millennials are rethinking their money habits and investment strategies because of the pandemic

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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