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AWSの本、どれを買う?著者によるAWS本の比較解説10冊

本屋に行くと、AWSの本が大量にあってわからない

皆さんが、AWSについて勉強しようと本屋さんに本を探しに行ったとします。そうすると、目に付きませんか?「大澤文孝」という名前。
ただでさえ、AWSの本には色々種類があり、どれを買ったら良いかわからないのに、著者まで一緒となると更にわからない!内容は違うのか一緒なのかハッキリしろ!!そんな風に感じるかもしれません。
そんなあなたのために、10冊のAWS本の特徴について解説した記事です。

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まず、我々モウフカブールは、小笠原種高と大澤文孝を中心とした創作ユニットです。技術書典や技書博などで、技術同人誌を出しており、また、サークルメンバーの多くが、商業誌で技術書を執筆しています。つまり、商業誌でも、同人誌でも、我々の書いたAWS本が存在するのです。
そのため、「AWSの本を買おうと思ったら、この大澤文孝って奴が毎回出てくるけど、それぞれの本はどう違うの?」「同人でAWSの本を買ったら、前に商業誌で買った本と同一人物が書いていた。両方買ったので重複?」とわかりづらくなっています。
特に、大澤文孝君の本は多く、AWS初心者には区別が付きません。しかし、どの本も、対象読者や、伝えたい内容は異なっており、著者としては、一番伝えたい人に、その本を読んで欲しいものです。

「他人が絶賛する本=自分が必要な本」とは限らない

AWSでの構築をお客さんに勧める人と、AWSを導入したいお客さん、AWSで構築したいエンジニア、それぞれ立場によって必要とする知識は違います。お客さんからすれば、具体的な手順は必要ないですし、エンジニアには、設定項目についての詳しい知識や手順が欲しいと思うでしょう。
技術書には、「これが定番!」「これは必須」と言われる本がありますが、必ずしもそれが「自分に必要」であるとは限りません。
この解説を読んで、自分が買うべき本は、どの本なのか、ぜひ参考にしてください。
なお、今回は小笠原種高と大澤文孝、浅居尚の関連書籍のみを扱っています。他の著者の方の本は扱っていないので、「ちょっと違うな」と感じたら、ここに無い本を探してみましょう。他にもたくさん出てますよ!
以下長いので、目的の本に目次から飛んだ方が良いかも。比較ポイントとして、対象読者や、必要なAWSの知識などを載せておいたので、そこを中心にザッと見るのもアリ。

■基礎や概要の本

「明後日から使えるAWS入門」モウフカブール(同人誌)¥500~700

明後日TW用表紙

AWSレベル:まったくAWSを使ったことがない人
対象:AWSを使いたい人、AWSを勧めたい人、AWSで構築したい人
本の種類:読み物
オススメポイント:AWSをなんとなく把握、クラウドのメリットわかる

「AWSってものが流行ってるらしいけど、何それおいしいの?」という人向け。AWSが普通のレンサバとどう違うのか、クラウドのメリットとはなど、自分とAWSとの付き合い方がわかる本。一番最初に読んで欲しい本。
AWSを知りたくて、商業誌を買おうと思っても、どれを買って良いかわからない方は、まずこの本で、「自分が」「AWSについて知るべき知識」が何なのかを知りましょう。同人誌なので、イベントもしくは、紙の本はとらのあな、電子版はBoothで取り扱い。

「図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書」

AWSレベル:AWSを使ったことがない~ちょっと使ったことがある
対象:AWSを使いたい人、AWSを勧めたい人、AWSで構築したい人
本の種類:図解
オススメポイント:AWSの主要なところが掴める。メリットが見えてくる

AWSを図解で説明した本。AWSとはどういうものか?からはじめ、クラウドのメリット、AWSを使う上で知っておいた方が良いネットワークやサーバの基礎知識、AWSで設定する項目の解説など。
AWSを使って構築したいエンジニアはもちろん、AWSをお客さんに勧めたい営業やプランナー、プロマネの人、AWSをベンダーから勧められた導入する企業の人、AWS導入を考える中小企業の技術担当者など、AWSを知りたい人向け。
画面キャプチャはあまりない(どうせすぐ画面が変わるので、載せても参考になりにくい)ですが、設定項目の解説や、設定例などはしっかり解説しているので、実際に構築する時にも参考にしてください。あと、図が好評。
「AWSってサーバのこと?」というレベルの人から、「AWSのメリットは?」「EC2使おうと思ったけど、ここの用語の意味がわからない」「いつもこう設定しているけど、なぜこうするかはわからない」まで幅広く読んで欲しい本です。

「ゼロからわかるAmazon Web Services超入門 はじめてのクラウド」

AWSレベル まったくAWSを使ったことがない人
対象 技術者(実際に手を動かして設定したい人)
本の種類 手順
オススメポイント EC2やS3など主要サービスの実際の手順がわかる

まったくAWSはじめての人が、WordPressサーバーを構築するまでができるようになる本。手順をゆっくり丁寧に説明しています。
AWSでS3を使った静的Webーバーの作り方、仮想サーバーであるEC2の使い方、データベースのRDSの使い方、そして、独自ドメイン名での運用方法まで、代表的なサービスの使い方が、一通り理解できます。

「Amazon Web ServicesではじめるWebサーバ 」

AWSレベル まったくAWSを使ったことがない人
対象 技術者
本の種類 手順

AWSのマネジメントコンソールの使い方から、仮想サーバーEC2の立ち上げ、WordPressを使ったブログサーバーの起動、独自ドメイン名での運用までを説明した書。
A5版でコンパクト、余計な情報がなく、最低限必要な部分だけをコンパクトにまとめ、手順通りにやれば、できるというところを目指します。
残念ながら、発行年が2013年と古く、内容が若干古くなっていることはご容赦ください。

■ネットワーク

「Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築」(改定3版)

AWSレベル AWSを少し使ったことがある人
対象 技術者(インフラを知りたい人、ネットワーク未経験者)
本の種類 手順
オススメポイント ネットワーク全般がわかるようになる

AWSを使ってネットワークやサーバー構築を学ぶための本。ネットワークに対してまったく知識がない人が、AWS上で、実際にネットワークを構築する方法を習得できます。ルーティングやDNSの仕組み、HTTPプロトコルの概要など、ネットワークの基礎知識が学べます。
AWSを題材にネットワーク全般を学びたい人向け。現在改定3版なので、前の版に注意。

「Amazon Web Servicesネットワーク入門」

AWSレベル まったくAWSを使ったことがない~少し使ったことがある人
対象 技術者(VPCを知りたい人。ネットワーク初心者)
本の種類 手順
オススメポイント AWSのネットワーク構築方法がわかる。

AWSのネットワークを構成するVPCについて、詳しく記載した本です、仮想マシンであるEC2を扱う場合、VPCの理解が欠かせません。ルーティングテープルやRoute 53を使ったドメイン名の使い方などがわかります。
オンプレミスにおけるネットワークを、AWSではどのように構成して、どう設定すればよいのかが学べます。
ネットワークの知識は多少あっても、AWSでどうするのかわからない人向け。ただし、ネットワーク知識がなくても大丈夫。

■設計

「Amazon Web Services クラウドデザインパターン実装ガイド」 改訂版

AWSレベル AWSの基本は知っている人
対象 システムの設計や開発をする人、インフラの設計・構築する人
本の種類 手順
オススメポイント AWSのシステムやインフラの設計の基本がわかる

AWSには、さまざまなサービスがあり、それを組み合わせて全体を構成します。組み合わせのやり方の典型的なベストプラクティスを紹介したのが、この書籍です。
AWSは進化が早いため、この書に記載されているものすべてが、いまでもベストプラクティスとは限りませんが、それでも基本で重要なことが、たくさん書かれています。AWSで設計・運用する人には、一通り知ってもらいたい内容が、もりだくさんの定番書です。

「シナリオで学ぶパブリッククラウドAmazon Web Services 設計&開発ガイド」

AWSレベル AWSの基本は知っている人
対象 システムの設計や開発をする人、インフラの設計・構築する人
本の種類 手順
オススメポイント 実務での適応例がわかる

AWSのソリューションを多く手がけるサーバーワークス社の技術者が、実際のノウハウから、AWSを使った設計・開発を、どのようにすればよいのかを記した書。実践的なシナリオが豊富に取りそろえられているのが特徴。
とくに、いまオンプレミスで実装している内容をAWSにもっていこうとしたとき、どのようにすればよいのか悩んでいる人には、参考になるところが多いはずです。

■プログラミング

「AWS Lambda実践ガイド」

AWSレベル AWSを一通り知っている人
対象 技術者(プログラマ)
本の種類 手順
オススメポイント サーバレスプログラミングがわかる

AWSのサーバーレスプログラミング環境「Lambda」について記した書。Lambdaプログラミングの基本がわかります。
実際に、「S3に置いたファイルを圧縮する」「Webアプリケーションを作る」「メール受信のタイミングでプログラムを実行する」など、盛りだくさんのサンプルを収録。
プログラミング言語には、Pythonを使っており、PythonからDynamoDBやS3など、AWSリソースの習得方法も学べます。
基本はいまも変わりませんが、少し内容が古いため、本書の執筆時点での懸念点は、現在は解消されている(たとえば、LambdaからVPCへの接続が遅いため、RDSへのアクセスはボトルネックになるなど)点もあるため、最新の情報も合わせて読んでいただけると幸い。

■応用

「10分でわかるAWS全サービス」モウフカブール¥400~500

10分AWS

AWSレベル AWSを使ったことがない人~AWSをある程度使っている人
対象 AWSを使いたい人、AWSを勧めたい人、AWSで構築したい人
本の種類 表
オススメポイント AWSにはどのようなサービスが存在するかわかる

AWSのサービスは、次々と新しいものがリリースされ、変化していきます。その数165くらい。
エンジニアであっても、全てのサービスを把握するのが難しく、どのように使うのか勘所もつかみにくいです。
AWSの公式ドキュメントに説明はあるものの、サービスによっては、どんなサービスなのかわかりにくい説明も多いです。
本書では、ざっくり説明することで、目的のサービスを探しやすくなっています。
AWSを使った構築をしたいエンジニアや、お客さんに勧めたい人、導入を進められている企業の人など、どんなサービスがあるのかを知りたい人向け。
同人誌なので、イベントもしくは、紙の本はとらのあな、電子版はBoothで取り扱い。

「自分に」必要な本を選んでね

さて、如何だったでしょうか。良さそうな本はあったでしょうか。あると嬉しいですが。
最初にも書きましたが、技術を習得する時に大事なのは、「自分に」とって必要な本を選ぶことであり、「他人が」好む本が自分に良い本であるとは限りません。
どんなに良い本であっても、自分に必要な情報でなければ、あまり身にならないので、ぜひ「自分に」あった本を探してみてください。

なお、AWSは、大変進化の早いサービスです。そのため、書籍と情報が異なったり、画面が違うケースもあります。1年以上前に発行された本の場合は、少しネットで情報を補完しながら使うと良いでしょう。
また、当然ながら、ここに載っていない他の方の書かれた「AWSの良い本」は、たくさんあります。そうした本の情報は、本屋さんで現物を見られなくても、Amazonや出版社のウェブサイトに情報が書いてありますから、探してみてください。
そして、読んだ本が良い場合は、Amazonレビューや、SNSで「良かった!」と言ってもらえると、著者としては嬉しいです。


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