IPA(情報処理推進機構)は、アジャイル開発を外部委託で行うケースを想定した、アジャイル開発版「情報システム・モデル取引・契約書」を、3月31日に公開した。
経済産業省が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)の時代では、技術的な実現性やビジネス成否が不確実な状況でも迅速に開発を行い、顧客の反応に基づいて素早く改善を繰り返すという、仮説検証型のアジャイル開発が有効となる。同省が2018年9月に公開した「DXレポート」では、DXの進展によるユーザー企業とITベンダー(ベンダー企業)の役割変化などを踏まえたモデル契約見直しの必要性が指摘された。
これらを背景に取りまとめられたアジャイル開発版「情報システム・モデル取引・契約書」では、アジャイル開発を外部委託する際の契約条項とその解説、および補足資料で構成されている。
あらかじめ特定した成果物の完成に対して対価を支払う請負契約ではなく、ベンダー企業が専門家として業務を遂行すること自体に対価を支払う準委任契約を前提としており、ユーザー企業とベンダー企業の間でアジャイル開発に関する認識の齟齬を防げるよう、補足資料として「契約前チェックリスト」と「アジャイル開発進め方の指針」を用意する。
さらに、ユーザー企業がプロダクトオーナーを選任することとし、開発チームが必要とする情報や意思決定を適時に提供することや、ステークホルダーとの調整など、迅速な開発を進めるためにプロダクトオーナーが果たすべき役割を明確化している。
ベンダー企業は、善管注意義務のもと、プロダクトの価値向上に向けて担当業務を行うとともに、ユーザー企業に対しプロダクトの技術的なリスクに関する説明などを行うよう規程する。また、スクラムマスターはベンダー企業が選任することとしている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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