世界の労働者の半数が「仕事でAIを使う」と回答した。
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ソフトウエア大手のオラクルと調査会社Future Workplaceは10月15日、「職場でのAIと労働者の関係」についての調査結果を公表した。世界の労働者の50%が何らかの形でAIを利用している一方、導入率や評価には国によって大きな差があることが分かった。
「仕事でAIを使っている」、中国・インドは日本の倍以上
中国ではAIキャスターも登場した。
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調査は日本、中国、アメリカなど10カ国の従業員、管理職、人事リーダー8370人を対象に実施。「業務でAIを使っている」と回答したのは50%で、1年前(32%)から大きく上昇した。
国別では中国人労働者の77%、インド人労働者の78%が「仕事でAIを使っている」と答え、フランス(32%)と日本(29%)を2倍以上、上回った。
また、AIやロボットの“同僚”について、「歓迎している」と答えた労働者もインドが60%と最も高く、中国が56%で続いた。3位以降はアラブ首長国連邦(44%)、シンガポール(41%)、ブラジル(32%)、オーストラリア・ニュージーランド(26%)、日本(25%)、アメリカ(22%)、イギリス(20%)、フランス(8%)の順だった。男女別では、男性の32%がAIの同僚に対し肯定的な見方を示し、女性の23%を上回った。
人間の管理職が優れているのは「感情の理解」と「指導」
漫画やアニメでも早くからロボットと共生してきた日本だが、ロボットが同僚になることには後ろ向き?
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「管理職とロボットのどちらを信頼するか」の問いには、全体の64%が「ロボット」と回答。
国別ではインド(89%)と中国(88%)の労働者が、人間の管理職よりもロボットをより信頼する傾向が強く、シンガポール(83%)、ブラジル(78%)、日本(76%)、UAE(74%)、オーストラリア・ニュージーランド(58%)、米国(57%)、英国(54%)、フランス(56%)と続いた。
また、「管理職よりロボットの方が有能」と答えた人は全体の82%に上った。
ロボットが管理職より優れている点としては、中立的な情報の提供(26%)、作業スケジュールの維持(34%)、問題解決(29%)、予算の管理(26%)などが挙がり、逆に管理職がロボットよりも優れている点は、感情の理解(45%)、指導(33%)、職場文化の創出(29%)が上位に挙げられた。
人間はマネジメントを見直す必要
労働者がAIの使用を嫌がる要因は、セキュリティー(31%)とプライバシー(30%)が最も高かった。世代別では、特にデジタルネイティブのジェネレーションZとミレニアルが職場でのプライバシーとセキュリティーに高い関心を示し、彼らより上の世代のジェネレーション Xとベビーブーマーは関心が低かった。
オラクルの調査責任者は「AIの導入が進むにつれ、管理職の役割も再定義が進んでいることが明らかになった」と語り、労働者の多くが人間の管理職よりAIを信頼する中で、管理職や人事担当者は、従業員を引き付け、引き留め、育成する方法を見直す必要があると指摘した。
(文・浦上早苗)