これぞいま最強に旬なスマホ?
みんながフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)ばかり使っていた時代、いちはやくタッチスクリーンのスマートフォンを持っていれば、なんだか個性的な自分をアピールできていただなんて、遠い昔の話。いまや皆がiPhoneかAndroidスマホを使い、かえってガラケーを駆使している姿のほうが、ユニークな自分の姿を打ち出せそうな時代です。でも、忘れてませんか? 物理QWERTYキーボードで一世を風靡したBlackBerryの存在を…。
昨年はBlackBerryが、新モデルとなる「BlackBerry KEY2」を発売し、一部のユーザーから好評価を得たものです。そして、米Gizmodo編集部のEleanor Fye記者も、このほどまさかのBlackBerryデビュー! 意外によかった体験談を熱く語ってくれていますので、これからご紹介いたしましょう。日本でも買えるBlackBerry KEY2へ、急に惹かれてしまうかもよ?
iPhoneからBlackBerryへ乗り換えた理由
CESが始まる1週間前、ついに私の「iPhone 6S」は寿命を迎えました。意を決して、私はSIMカードをBlackBerry KEY2に差し替えましたよ。どうしてBlackBerryに乗り換えることにしたのかって? それは気まぐれと懐かしさとストレスの組み合わせで起きたことであり、だけど、私はこの決断を後悔していません。これまでにしてきた、自分にとってプラスになった決断となんら変わりません。初のBlackBerryの登場から20年が経過して、これを自ら体験してみるべきだって感じたんです。
私のiPhone 6Sは、ここ数か月間は息絶える寸前でして、当然ながら、同じiOSのエコシステムのなかで、カラフルな「iPhone XR」に乗り換えるか、大金をはたいて「iPhone XS」にするかが、もっとも妥当な選択肢であるはずでした。私は2007年にiPhoneデビューして以来、ずっと忠実にiPhoneを使い続けてきたんですから。
以前ならば、新しいiPhoneにアップグレードできると思っただけで、喜びがこみ上げてきたものでした。でも、いまはその同じ喜びや興奮を感じられません。とくに感動を覚えなくなってしまったんです。また多額のお金を注ぎこまなければならないの? おまけにホームボタンもヘッドホンジャックもない新たな世界へ、自分を強いて合わせていかなければいけないだなんて、なんだか苦痛にしか思えませんよ。
Samsung(サムスン)のGalaxyシリーズか、Google(グーグル)のPixelシリーズのスマートフォンにする手もあったはずですが、これまた興味をそそられませんでした。もっともそそられたのはHuawei(ファーウェイ)のスマホでしたけど、購入するまでにはいたらず。ビビッとくるものに欠けていたんですよね。どれも似たような長方形のタッチスクリーンで、カメラの性能をアピールしてばかり…。
前に携帯電話に感動したことなんて、思えば10年以上前のiPhoneデビューが最後だったのではないかしら。その前には、たとえば「Sidekick」や「Motorola Razr」や「LG Chocolate」なんて、そそられる個性的なモデルで賑わった時代がありました。そして、あのころはBlackBerryがあって、私には高すぎて、うらやましがるだけの存在だったんです!
いっそのこと、いままで1度も使ったことがなかった、あの羨望のまなざしで見つめるしかなかったBlackBerryにしてみるのはどう? Obama(オバマ)元大統領だって、BlackBerryを使っていたんだし、Kim Kardashian(キム・カーダシアン)は2016年まで、ずっとBlackBerryユーザーだったのよ~。とうとう私もBlackBerryデビューするのね。最新の忙しい人々のためのスマートホンに興味がない今、昔は忙しい人々なら必ず使っていたBlackBerryにしてみましょうよ。
犠牲にしなければならなかったもの
とうとう私は、2018年モデルで物理QWERTYキーボードを装備したBlackBerry KEY2を購入してしまいました。ただし、BlackBerryとはブランド名にすぎず、現在はライセンスを取得したTCLが製造するスマートフォンです。でも、もし現在でもBlackBerryが、新モデルの製造を手がけていたとすれば、やっぱりこれと似たようなデザインになったのではないかしら?
あなたが何をいいたいのか、私にはわかりますよ。どうしてそんなことしたの? 最悪のスペックじゃないかって…。
でもね、スペックは商品選びの一面にすぎません。多くの人々の買い物なんて、気づいていようがいまいが、衝動的なものです。ある人にとっては、ChevyよりもFordの車のほうがよくって、わざわざBMWではなくAudiを選ぶ人もいるでしょう? あえてTeslaにしてしまう人とか?
その流れからすると、2019年になったのにBlackBerryを使いこなしてみるだなんて、いきなり駐車場にデロリアンで乗りつけるようなものでしょう。やったわねって感じですよ!
こうして私は、わざわざ同僚からバカにされるスマートフォンを購入したというわけです。ただ、けっこう私は、バカにされても好きになってしまった気がしますね。
BlackBerryで手にしたもの
まずキーボードは最高です。ほかにも世には、いまだに物理キーボードやキーパッドを搭載しているスマートフォンはあっても、いずれも使いものになりません。チープな仕上がりではなく、高級感があって使えるレベルのキーボードを搭載したスマートフォンというのは、本当によいものですよ。
BlackBerryによって向上する生産性には、目をみはるものがあります。基本的に私は3つのアプリを多用して切り替えます。コミュニケーションにはSlack、スケジュールに使うGoogleスプレッドシート、そしてノートを取るためのメモアプリです。BlackBerry KEY2のスピードキーでの切り替えは、実に快適ですね。
キーボードのカスタマイズ能力の高さも、やはりすばらしいものがあるでしょう。結局のところ、スマートフォンの利用スタイルなんて、いくつかの特定のアプリを使いまわしているだけです。でも、BlackBerry KEY2ならば、YキーでYouTube、SキーでSignal、FキーでFacebook、HキーでHuluを、直感的に起動できますよ。これは小さなことに思えるかもしれませんが、実によく考えられた仕様だと、個人的には感動しています。キム・カーダシアンは、いろんな過ちをしてきました。そのドレスや日焼け、Kanye(カニエ)との結婚などなど。でも、彼女がBlackBerryを愛し、忙しい仕事をこなしていたのは、決して間違いではなかったんだなって納得してしまっています。
もう1つ、私が気に入っているのは、バッテリーの持ちのよさです。CESでは、同僚のVictoria Song記者といっしょに、ラスベガスのSands Convention Centerで、朝8時から12時間の働きづめでした。どちらもスマートフォンの充電は100%にしてスタートし、ほぼ同じような使い方をして過ごしていたと思います。でも、同僚の使っていたiPhone 6Sは、午後6時の時点で、バッテリー残量が9%にまで落ち込んでいたのに対して、なんと私のBlackBerry KEY2は、まだ85%も残っていたんです! もうApple(アップル)はダメですよね。途中で充電なしに展示会の取材を1日やりきったことなんて、これまで1度もありませんでした。
ほかの新しいスマートフォンと比べるならば、それほどBlackBerry KEY2のバッテリー寿命が優れているというわけではありません。OnePlusやSamsung、Huaweiのフラッグシップモデルなら、BlackBerry KEY2の連続11.5時間という数字なんて、余裕で突破してしまいます。しかしながら、いずれも800ドルから1,000ドル(約8万7700円から10万9600円)はする本体価格なのに対して、BlackBerry KEY2は650ドル(日本では約7万9800円)で購入できますからね。
もちろん、それゆえの弱点だって抱えています。もっとも最悪なのは、BlackBerry KEY2のカメラでしょう。こんなに最悪なカメラは、私が「iPhone 4」を使っていたころまでさかのぼらないと、なかなかないのでは? 我慢すれば使えないわけではないですけど。そもそも私は、レシートを撮影するか、歩道に落ちてる変わったゴミを写すくらいしかしないですし。あっ、それから「iMessage」が使えなくなったのはつらいかな…。
ちなみにBlackBerry KEY2を使いだしてから、見知らぬ人に声をかけられることが増えました。いったいどんなスマートフォンを使ってるんだい? 昔、高校時代にBlackBerryの「BBM」メッセンジャーで、ボーイフレンドにメッセージを送って別れたことがあったなとか、古い自慢話を聞かされたりもします。スマートフォンを使いだすと、人は周囲から孤立して孤独になっていくものですが、BlackBerry KEY2なら、これが会話のきっかけになって、新たな出会いにつながることだってあるのかもしれませんよね。