11月6日、International Business Times SGが「OpenAI Ditches NDAs, Promises to Pay Full Power Costs as US Voters Push Back on AI Data Centers」と題した記事を公開した。米10州で実施されたデータセンター関連の住民投票41件のうち40件が否決という結果を受け、OpenAIはデータセンター建設に関するNDA廃止・電力コスト全額負担などを盛り込んだ「ブループリント」を発表した。地域住民・地方政治家がAIインフラの立地に影響力を持ち始めたという構造変化への対応として注目される。
NDA廃止と電力コスト全額負担が核心
OpenAIが発表した政策転換の柱は2点だ。
第一に、地方自治体関係者との秘密保持契約(NDA)の廃止。これまでデータセンター開発をめぐる地方政府との交渉では、NDAによって議論が非公開とされてきたことが批判を受けていた。OpenAIは今後、セキュリティ情報・営業秘密・競争上機密性の高い情報に限定した保護のみを認め、原則として交渉内容を開示する方針を示した。元記事によれば、Amazonも10月に同様の方針を発表しており、業界全体での流れが形成されつつある。
第二に、電力・インフラコストの全額自己負担。同社は「エネルギーとインフラコストは自分たちで賄う」と明言した。データセンターは地域の電力網に多大な負荷をかける一方、その整備コストを地域住民や自治体に転嫁してきたとの批判が根強かった。
「コンピュート・キャンパス」ごとに地域協定を締結
OpenAIは今後、自社が所有・運営する施設(同社は「compute campus(コンピュート・キャンパス)」と呼ぶ)について、地方政府と「ローカル・コンパクト(地域協定)」を締結するとしている。具体的なコミットメントは以下のとおりだ。
- 建設計画の公開と住民への情報提供
- 全施設での水管理計画・騒音調査の実施
- 住民が選定したプロジェクトへの継続的な投資
- 創出見込み雇用数の公表と採用実績の報告
OpenAIのChief Global Affairs Officer(最高渉外責任者)であるChris Lehaneは「このブループリントで私たちが学んだ最良の教訓を明文化し、今後に適用することをコミットする。これにより、業界全体が前進するための高い最低水準が確保される」と述べた。
元記事によれば、Meta、Microsoft、Google、Anthropicも電力コストや雇用、地域コミュニティに関して同様のコミットメントを既に表明しており、今回のOpenAIの発表はこの流れに追随するものでもある。
中間選挙での「住民の反乱」が引き金
今回の発表の背景には、直近の選挙結果がある。元記事が引用するBallotpediaの分析によると、10州41件のデータセンター関連住民投票のうち、40件で規制強化または開発推進案の否決という結果が出た。元記事はさらに、一部の州で新たに知事選に勝利した候補者が住民の反発に応える形で新規データセンター建設の一時停止を公約していると報じている。
データセンターは膨大な電力と水を消費するにもかかわらず、地域経済への還元が不十分だという批判は、AI産業が急拡大した過去数年で各地に広がった。今回OpenAIが示した政策転換は、単なる企業のコミュニティ対応ではなく、地域住民・地方政治家がAIインフラの立地に影響力を持ち始めたという構造変化への対応とも読める。
※編集部の考察:NDA廃止・コスト全額負担という二点は、いずれも従来の産業インフラ開発では企業側が強い交渉力を持っていた領域だ。OpenAIがこれを「ブループリント」として明文化したことは、業界標準を塗り替えようとする意図を示しており、今後他社への圧力となる可能性がある。
詳細はOpenAI Ditches NDAs, Promises to Pay Full Power Costs as US Voters Push Back on AI Data Centersを参照していただきたい。