11月6日、GamingOnLinuxが「itch.io founder announces the 'return of Flash games' thanks to open source」と題した記事を公開した。インディーゲーム配信プラットフォーム「itch.io」の創業者Leafo氏が、オープンソースのFlashエミュレーター「Ruffle」を採用することで、プラットフォーム上に登録されているFlashゲーム2,581本すべてをプラグインなしでプレイできる状態にしたと発表した。
Flashゲームが静かに戻ってきた
Adobeが2020年末にFlash Playerのサポートを終了してから約6年。ブラウザベンダーも相次いでFlash対応を打ち切り、かつてWebゲームの主流だったFlashコンテンツは事実上「消えた」状態になっていた。Internet Archiveがエミュレーション技術でFlashコンテンツの保存・再生を試みてきたが(同プロジェクトもRuffleを活用している)、現役のゲーム配信プラットフォームが大規模にFlash復活を実装するケースはほとんどなかった。
Leafo氏はプラットフォーム上の全Flashゲームを対象に、追加プラグインなしでブラウザ上から直接プレイできる仕組みを静かに展開した。対応したFlashゲームはitch.ioのFlashゲーム一覧ページからまとめて確認できる。
RuffleとはどんなOSSか
RuffleはRustで書かれたFlashエミュレーターで、WebAssemblyにコンパイルしてブラウザ上で動作する。Adobe Flash Playerのプラグインを必要とせず、現代のブラウザ・OS上での動作を目標として設計されたデジタルアーカイブ志向のプロジェクトだ。コミュニティ主導で開発が続けられており、Internet Archiveをはじめ複数のアーカイブ系プロジェクトで採用実績がある。2026年11月にはRuffleチーム自身が安定リリースと今後の展開についてのブログ記事を公開しており、プロジェクトとして節目を迎えているタイミングでもある。
itch.ioの実装では、従来のswfobject(Flash時代に広く使われたJavaScript製の埋め込みライブラリ)による埋め込みをiframe埋め込みに置き換え、Ruffleのナイトリービルド(2026年11月3日版)を使って.swfファイルを実行する形を採用している。安定版ではなくナイトリーを採用しているのは、互換性カバレッジが最も広い最新ビルドを使うことで、より多くのゲームを動かすことを優先した判断と見られる。
開発者側の対応は「何もしなくていい」
Leafo氏はフォーラム投稿でこう説明している:
もしFlashプロジェクトを持っている開発者なら、何もする必要はありません。古いswfobjectの埋め込みは、あなたの.swfファイルをRuffleの最新ビルドで実行するiframe埋め込みに自動的に置き換えられています。これは古い.swfファイルにも新しい.swfファイルにも適用されます。
既存の.swfファイルをそのままホストするだけで動く設計になっており、開発者側に追加作業は不要だ。ただしサイトロック(特定ドメインでしか動かないように保護された実装)が使われているゲームは追加の対処が必要な場合があると明記されており、動作しないゲームは報告を募っている。
なお、Leafo氏自身が13年前にタイトル画面の音楽を制作したというAntichromaticを試遊作品として挙げており、このアナウンスに個人的な色を添えている。
OSSコミュニティの成果が実を結んだ
技術的には「エミュレーション」だが、ユーザー体験としてはFlashゲームの実質的な復活に近い。Ruffleはオープンソースコミュニティが長年積み上げてきたプロジェクトであり、itch.ioのような主要プラットフォームが実際に本番採用したことは、プロジェクトの成熟度を示す出来事といえる。Flash終了後に「失われた」とされてきたWebゲーム文化の一時代が、OSSの力で現役のプラットフォーム上に戻りつつある。
詳細はitch.io founder announces the 'return of Flash games' thanks to open sourceを参照していただきたい。