11月6日、The Decoderが「Google's Gemini Omni 1.2 Flash stretches AI video clips to 15 seconds and cuts pricing by 30 percent」と題した記事を公開した。GoogleがGemini Omni 1.2 Flashを一般公開し、動画生成の最大長延長と価格30%引き下げを発表した内容だ。
製品体系における位置づけ
Gemini Omni 1.2 Flashは、Googleが展開するAI動画生成モデル群の一角を担う。Googleの動画生成ラインナップにはテキスト・画像から動画を生成する**Veo 2** および**Veo 3**が存在するが、Gemini Omni 1.2 FlashはGeminiモデルファミリーに統合された動画生成機能として位置づけられており、API・各種Google製品・サードパーティ開発者向けに幅広く提供される点が特徴だ。Veoシリーズが高品質・高コストのプロ向けユースケースに重心を置くのに対し、Gemini Omni 1.2 Flashはコスト効率と開発者の利便性を前面に出した位置づけとなっている。
価格30%引き下げ、動画は最大15秒に
Google DeepMindがGemini Omni 1.2 Flashの一般提供を開始した。前世代から変わった主要な数字は明快だ。
- 動画の最大長: 10秒 → 15秒(最短3秒)
- 価格: 720p換算で1秒あたり$0.07(前世代の$0.10/秒相当から30%減)
提供チャネルはGemini API、Google AI Studio、Google Cloud Console、Flow、Google Vids、Google Ads、およびGemini AppのGoogle AI Ultraサブスクライバー向けと幅広い。生成された全動画には、起源を示す知覚不能な電子透かし「SynthID」が埋め込まれる。SynthIDはGoogleが開発したAIコンテンツ識別技術で、画質を損なわずに透かしを埋め込めるのが特徴だ。
動画AI市場ではSoraやRunwayなど各社が価格競争を繰り広げているが、今回の値下げはその圧力を反映した動きとみられる。
最大の実用ポイント:会話形式での段階的編集
今回のアップデートでエンジニア視点から最も注目されるのが「Conversational Editing」だ。これは生成済みの動画クリップに対し、プロンプトを重ねながら段階的に修正を加えていく編集手法を指す。チャット形式で指示を積み上げるイメージに近く、ゼロから再生成する必要がないため試行コストを大幅に削減できる。
生成済みのクリップに対して、背景・照明・アスペクト比などをプロンプトで逐次修正できる。動画全体を再生成せずに済むため、コストと時間を削減できる設計となっている。
さらに、Googleが推奨するワークフローは次の3段階だ。
- ドラフト生成:360pまたは720pで粗く作成
- 細部修正:Conversational Editingで個別要素を調整
- 最終アップスケール:1080pまたは4Kに引き上げ
最終出力が確定するまで高解像度レンダリングを遅らせることで、無駄なコストを抑える構成になっている。
リファレンス画像による一貫性の向上
モデルへの入力として受け付けるのは、キャラクター画像・製品写真・最大3秒のモーションクリップ・音声キューだ。顔・衣服・パッケージのタイポグラフィ・ブランドカラーがカメラアングルをまたいで維持されることをGoogleは保証している。
Googleが示した具体例はバーチャル試着のユースケースだ。1枚のモデル写真と3着分の製品ショットを入力として、モデルのアイデンティティと各衣装のシルエットを保ちながら360度ターンを含む15秒のシーケンスを生成している。
その他の改善点
- リップシンクと音声: より自然なセリフ生成と複数話者の区別に対応
- カメラワーク: FPVドローン飛行や大きなズームアウトなど複雑な連続カメラ動作に対応。前世代で発生しやすかった意図しないジャンプカットが大幅に減少
- 視覚的一貫性: モーションやカメラトランジションをまたいだ映像の破綻が改善。具体的には「ビジュアルドリフト」(カット間で被写体の外見や色調が徐々にずれていく現象)や「モーフィング」(被写体の形状が不自然に変形する現象)と呼ばれる問題が抑制されている
詳細はGoogle's Gemini Omni 1.2 Flash stretches AI video clips to 15 seconds and cuts pricing by 30 percentを参照していただきたい。