11月3日、Microsoftが「Raising the bar for 8 GB Windows 11 PCs: what's improved and how to get it」と題した記事を公開した。8GB RAM搭載のWindows 11 PCに向けたメモリ最適化の具体的な改善内容と、その入手方法を詳しく解説している。
特定シナリオのラボテストとはいえ、マルチタスク速度最大40%向上、2GBぶんのデータをRAMに保持し続けられるという数字は、8GB PCユーザーには無視できない内容だ。対象はWindows 11 version 26H2以降で、OSからアプリ、ウィジェットに至るまで多層的な改善が施されている。
「アプリが再ロードされる」のはなぜか——Microsoftが公式に説明
8GB PCを使っていると、しばらく放置したブラウザタブやアプリを開いたとき、最初から読み込み直される経験をした人は多いはずだ。これはWindowsがRAMに収まらなくなったデータをストレージに退避させ、必要になったタイミングで読み戻す動作によるものだ。
Microsoftはこの現象をわかりやすく説明している。「メモリはデスクのようなもので、作業中のものはすべてそこに置かれている。デスクに収まらなくなると、Windowsは引き出し(ストレージ)に移して、必要になったら取り出す。引き出しへのアクセスはデスク上のものを取るより遅い。アプリを再び開いたときに少し待たされるのは、この動作を感じているからだ」。
MicrosoftのCopilot+ PC推奨スペックが16GB以上である一方、現在市場に流通するWindowsラップトップの相当数は依然として8GB構成だ。「8GBでは動作が重い」という声は根強く、ユーザーやメーカーからの改善要望も継続してきた。今回のアップデートはその直接的な答えであり、OSレベルの圧縮チューニングからアプリ単位のメモリ削減まで、多層的なアプローチが取られている。
数字で見る改善幅
今回の変更で公表されている主な数値は以下のとおりだ。
- 最大2GBのデータをRAMに保持:メモリ圧縮のチューニングにより、ストレージへ退避させていたデータをRAM上に留めておけるようになった(Windows 11 26H2 build 26300.9550以降)
- レスポンス最大20%向上:スタートメニュー、検索、右クリック、設定、Snipping Tool、エクスプローラーの応答速度(8GB PC、26H2 build 26300.9550 vs 24H2 build 26200.7628のテレメトリ計測)
- マルチタスク最大40%高速化:Edge 20タブ・4K動画・Word/PowerPoint/Excel大ファイル・Outlook・エクスプローラーを連続起動するラボテストシナリオにて(HP OmniBook 3、Snapdragon X Plus 8コア使用)
- コミット済みメモリ※増加量を最大900MB削減:同マルチタスクシナリオでのメモリ消費増加量の抑制
- Edgeを最大33%高速起動:Edgeがバックグラウンドですでにプロセスとして存在する場合、そちらへ直接接続する(build 26300.9818以降 + Edge 150以降が必要)
- Teams起動最大20%高速化:8GB PCでEfficiency Modeをデフォルト有効化
※「コミット済みメモリ」とは、アプリがOSに対して「使う可能性がある」として予約したメモリ領域の合計。実際に使用中かどうかに関わらずカウントされるため、コミット量が多いと他のアプリに割り当てられるメモリが減る。
40%高速化の数値はHP OmniBook 3という特定機種・特定シナリオの結果であり、汎用ベンチマークではない。実環境での効果は構成や使用パターンによって異なる。
アプリ・機能側の変更
OS側だけでなく、アプリ側にも手が入っている。
Microsoft 365アプリ群(Word、PowerPoint、Excel、Outlook)ではメモリ管理・割り当て方法の改善により、合計約360MBの削減を達成したとされる。MetaのWhatsAppもWindowsプラットフォーム改善に協力する形で最適化を実施し、メモリ使用量を10%以上削減したとしている(原文は「10%台以上」と幅を持たせた表現)。
Windowsの標準機能側では以下の変更が加わっている。
- ウィジェット(Widgets):8GB以下のPCでは開いたときだけ読み込む方式に変更。閉じている間は約200MBのコミット削減
- Microsoft Edgeのスリーピングタブ:非アクティブタブが眠るまでのデフォルト時間を2時間から15分に短縮
今後の予定
Microsoftが今後数ヶ月で取り組むとしている内容も公開されている。
- メモリ圧縮のさらなる改善
- SearchとWidgets、OneDriveとPhotosがWebエンジンを共有し、重複コンポーネントを排除
- WinUI 3ベースのアプリ(エクスプローラー、メモ帳、ペイント、新Windows検索)の起動高速化・省メモリ化
- PCメーカー・シリコンパートナーとの協力によるハードウェア予約メモリの削減
- サードパーティ開発者向けのメモリ効率改善支援
サードパーティ開発者への支援については、Windows Dev Centerにて今後詳細が公開される見込みだ。
適用方法
今回の改善を受けるには、Windows 11 version 26H2、build 26300.9818以降が必要だ。
設定 → Windows Update で「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」をオンにし、「更新プログラムの確認」を選択する。Edge・Microsoft 365・Teamsはアプリ側のアップデートで改善が届くものも含まれるため、これらも最新版に保っておきたい。26H2への早期アクセスはWindows Insider Programから参加できる。
詳細はRaising the bar for 8 GB Windows 11 PCs: what's improved and how to get itを参照していただきたい。