10月28日、Isabella Machinが「Dutch civil service to cut 25,000 public sector jobs using AI」と題した記事を公開した。オランダ政府がAI活用により公務員2万5,000人を削減し、年間35億ユーロの歳出削減を目指す計画の詳細と、欧州各国での行政AI活用の潮流を伝えている。
公務員の15%をAIで削減、10年計画の全容
オランダ政府は、今後10年間で全政府職員の約15%にあたる2万5,000人を削減する計画を発表した。年間節約額は35億ユーロ(約29億ポンド)に上る見込みだ。警察と防衛部門はこの削減対象から除外される。
削減の背景には、公務員数の急増がある。オランダ政府の職員数は2018年以降40%増加し、新たに4万6,500人が採用されてきた。財政面では、来年度の中央予算から9億ユーロを削減する目標もある。
オランダ内閣は、来年中にAIをどのように活用して行政を「シンプルに、スマートに、コンパクトに」するかの具体的な方針を示す予定だ。元記事ではロブ・イェッテン氏の役職について気候・エネルギー政策相として言及されており、本稿では原文の表記に従う。
エリック・ファン・デル・ブルフ国務長官は次のように述べている。
「私たちはこれまでと同じことを続けることはできない。過剰なルール、例外、手続きによって、問題解決を自ら不必要に難しくしている。省庁、監督機関、実施機関では約60%の職が失われる可能性がある。」
なお、具体的にどのAIツールや自動化手法を行政業務に適用するかについては、内閣が来年示す方針の中で詳細が明らかになる見込みだ。現時点では繰り返し性の高い事務処理・データ照合・申請審査といった業務領域が主な対象として想定されているとみられるが、元記事では具体的なツール名や導入アーキテクチャへの言及はない。
欧州全体に広がる行政AI活用の流れ
この動きはオランダだけではない。欧州各国の政府は、業務効率化とコスト削減を目的としたAI導入を加速させている。
英国では、キア・スターマー首相がAI活用で最大450億ポンドの節約を目指す計画を発表している。昨年実施された政府実験では、12の主要機関にわたる2万人の公務員を対象にAIツールを試験導入し、1人あたり1日平均26分の業務時間削減を達成した。繰り返しの多い事務作業からスタッフを解放できることが示された形だ。
英国の公務員数は過去10年で3分の1以上増加しており、現在は50万人超が在籍している。Brexit対応とコロナ禍での採用急増、さらに国債の金利上昇圧力が財政を圧迫している構図だ。
なお、ブルームバーグの試算によれば、英国がオランダと同規模の削減率を適用した場合、約7万5,000人が職を失うことになる。これはあくまで試算上の数字であり、英国政府が同規模の削減を表明しているわけではない点に留意が必要だ。
「公務員の40%超の業務をAIが代替可能」
トニー・ブレア元首相が設立したシンクタンク「トニー・ブレア・インスティテュート」は2024年7月公開のレポートで、AIが公共部門業務の40%超を代替可能であり、職員の5分の1の時間を節約できると主張している。ブレア氏自身も昨年、英国の公務員組織を「変革への意欲を吸収し窒息させる才能を持つ、惰性の共謀体」と批判した。
政府機関へのAI大規模導入は、技術的な実現可能性だけでなく、労働市場への影響や行政サービスの品質維持という点で今後も議論が続くとみられる。
詳細はDutch civil service to cut 25,000 public sector jobs using AIを参照していただきたい。