10月29日、The Decoderが「Google Deepmind releases Gemini 4 Carbon just two weeks after Argon with gains across the board」と題した記事を公開した。Google DeepMindがGemini 4 Argonをリリースしてからわずか2週間で後継モデル「Gemini 4 Carbon」を公開し、Artificial Analysis Intelligence Index(v5.0)で59点を記録して総合首位を獲得した。前モデルのArgon(50点)から9点の上昇であり、リリースサイクルの異例の速さと性能向上の両面でAIコミュニティの注目を集めている。
わずか2週間でArgonの後継モデルをリリース
Gemini 4シリーズはGoogleが元素名を順番に割り当てる命名規則を採用しており、ArはArgon(アルゴン)、CはCarbon(炭素)と周期表の順序に対応している。今回のCarbonはその2番目にあたり、前モデルからの進化のペースは業界内でも異例の速さだ。
Google DeepMindはCarbonを「より難易度の高い長期エンジニアリング問題」向けに設計したと説明している。単なるマイナーアップデートではなく、エージェント的な自律稼働を本格的に想定したアーキテクチャ上の判断が含まれている。
「数日間ぶっ通し」で動かせるエージェント設計
CarbonがArgonから最も大きく変わった点は、長時間の自律エージェントワークへの対応だ。Google DeepMindの内部チームはモデルを複数日連続で稼働させ、行き詰まりを自力で脱出しながら大規模コードベースでの根本原因分析やバグ修正を実行させたという。
エージェント知識作業の評価ベンチマーク「AA-Briefcase」では、CarbonはArgonの1,483 Eloから1,609 Eloへ126ポイント向上した。プレゼンテーション品質で+293 Elo、分析品質で+120 Eloという内訳だ。ただしこのカテゴリではKimi K3.1 Pro(1,678 Elo)、Muse Wonder(1,659 Elo)、Grok 4.7(1,638 Elo)に次ぐ4位であり、首位ではない。
WebDev Arenaでは89 Eloポイント上昇して1,769点(4位)を記録。Claude Sonnet 5.5(xHigh、1,770点)と2点差の僅差だ。
独立評価の数字も概ね裏付け
Googleの自社ベンチマークでは16項目中15項目で首位を主張しているが、第三者評価も確認しておく価値がある。
評価プラットフォームVals AIのVals Index v2.2では、Carbonは70.36%の精度でClaude Sonnet 5.5(70.85%)とClaude Opus 5.5(70.18%)の間に位置する。1タスクあたり$10.51、所要時間約48分で、Anthropicの両モデルより安くて速い。法律リサーチベンチマークではArgonと比べて引用ソース数が約45%増加している一方、タスク処理時間は1タスクあたり平均50分超と長い。
Arena.aiではText Arenaで1,528点(Argonの1,520点を超えて首位)。Agent Arenaでは21,900セッション以上で2位、純改善率+16.2%、ステアラビリティスコア+18.6%を記録した。タスクコストの中央値$1.80は、1位のClaude Opus 5.5 Max($5.83)と比べて72%低い。

気になる点も1つある。回答精度はArgonの48%から58%へ上昇したが、ハルシネーション率は4%から11%へ増加した。それでもランキング中2番目に低い水準であり、Claude Opus 5.5 MaxやGPT-6 Astra Maxはともに50%に達している。
セキュリティ評価がとりわけ強い
Carbonで特筆すべきはセキュリティ分野の性能だ。Googleは一部のセキュリティベンチマークでは安全ガードレールを外した状態でモデルを評価している。この手法はモデルの「素の能力」を測る目的で研究者の間では標準的だが、同時にデュアルユース(防御・攻撃両面への転用)リスクの観点から議論を呼びやすい評価方法でもある。攻撃者がモデルを悪用した場合の影響を把握する上では有益な指標である一方、能力の公開自体が悪意ある活用を誘発しうるという懸念が業界でも高まっている。
- SEC-bench Pro(実際のソフトウェアにおける自律的な脆弱性発見):88.2% で全テスト済みモデル中首位
- **ExploitGym(発見した脆弱性を実際のエクスプロイトに転換する能力):54.8%**(10時間の実行時間)
- **CWE-Bench**(脆弱性修正コードの記述):大差で首位
ExploitGymの数値は、「脆弱性を見つける」だけでなく「それを実際に機能する攻撃コードへ変換できる」能力を示す点で、セキュリティ研究者にとって特に注目度が高い。防御側の観点では修正対応の自動化に直結するが、悪用された場合のリスクも同様に大きく、このスコアの高さはGoogleのリリース戦略における慎重な段階展開の背景にもなっていると見られる。

Gray SwanのIndirect Prompt Injectionベンチマークでは、Argonの攻撃成功率0.7%を**0.0%**に低下させ、テストしたすべての操作試みをブロックしたとGoogleは述べている。ただしプロンプトインジェクション全般が解決したわけではなく、このテスト自体が飽和状態(天井に達している)とみるべきだ。
社内ベンチマークでは、CarbonがArgonより2倍以上の頻度でセキュアなコードを生成するとしており、GoogleのChromeチームによるテストでは、名前を伏せた競合モデルと比較してセキュリティパッチの記述で10倍以上の性能を発揮したという。ただし、これらの内部評価は独立検証できない。
段階的ロールアウトとコスト
現在Carbonは段階的に公開されており、まず選定されたサイバーセキュリティ専門家へのアクセスが今週から始まった。Google DeepMindの**Fairwindプログラム**を通じて、その後より多くのパートナーへ展開する。Fairwindプログラムは、能力の高いモデルを一般公開前に限定パートナーと段階的にテストするGoogle DeepMindの枠組みで、今回のようにセキュリティ上の懸念が高いモデルのロールアウトで特に活用されている。一般の開発者・企業・コンシューマー向けは、フィードバック収集と安全ガードレール調整後に順次提供予定だ。また、米国政府のプレリリーステストプロセスにも参加している。
価格はArgonと同じ入力$2/100万トークン、出力$10/100万トークン(2026年末まで50%の導入割引あり)。キャッシュ済み入力は通常価格から95%割引となる。
Artificial Analysisの計算(定価ベース)では、タスクあたり**$7.76となりArgonの$7.68とほぼ同水準。Claude Opus 5.5 Max($10.04)より約23%安く、GPT-6 Astra Max($6.25)より約24%高い**。
詳細はGoogle Deepmind releases Gemini 4 Carbon just two weeks after Argon with gains across the boardを参照していただきたい。