10月27日、Futurismが「It Appears That the AI Bubble Has Just Burst in China」と題した記事を公開した。中国のAI関連株が過去4か月で40%下落し、約4800億ドル(約70兆円)もの時価総額が消失したとするReutersのレポートを取り上げたものだ。注目すべきは、中国政府が国営投資家を通じてボラティリティ抑制に動いたにもかかわらず、下落を食い止められなかったという点である。単なる株式市場の調整ではなく、AIへの実需がまだ投資額に追いついていない可能性を示す出来事として、西側の投資家にとっても無視できない内容だ。
4か月で40%崩落、「バブル崩壊」との声
Reutersのレポートによれば、中国のAI・半導体企業で構成されるSTAR50指数(上海証券取引所のSTARマーケット(科創板)における主要50銘柄で構成される指数で、中国版NASDAQとも呼ばれる)が過去4か月で40%下落し、時価総額にして4800億ドルが消失した。
北京を拠点とするファンドマネージャーのDong Baozhenは、Reutersに対して次のように語っている。
「株式市場はその後、投機的な狂乱相場へと変貌した。そして今、バブルが弾けるのを目の当たりにしている」
個別銘柄でも具体的な打撃が出ている。注目を集めていたロボティクス企業・Unitreeは、8月のIPO後に株価が半値まで下落。半導体メーカーのCXMTも過去1か月で4分の1以上の価値を失った。
Goldman Sachsによれば、AI関連株は中国の株式市場の時価総額の**約42%**を占めているとされており、その規模の大きさがダウンサイドリスクの深刻さにもつながっている。
それでも資金は流れ込む
株式市場の急落にもかかわらず、個別企業レベルでの大型調達は続いている。この点が今回の状況を単純な「崩壊」と断言しにくくしている部分でもある。
中国の有力AI企業であるDeepSeekは、同国史上最大級となる150億ドル(約2兆2000億円)の資金調達をBloombergが報じた。またHuaweiは、AIチップ購入に充てるため、中国の銀行から23億ドル(約3300億円)の融資を取り付けたとも伝えられている。
株価の崩落と大型調達の並走という矛盾した光景は、「資金が集まる先」と「市場が評価する先」が乖離し始めていることを示唆している。投資家が「AIは今後も重要だ」と信じながらも、現時点での収益化シナリオには疑問を持ち始めた、という段階に差し掛かっている可能性がある。
米国による締め出しという変数
中国特有の事情として、米国による継続的な圧力がある。関税に加え、光トランシーバー(AIが必要とする大容量データを光速で転送するための光通信部品)を製造するZhongji Innolight(中際旭創)など、中国企業がデータセンター向け機器を供給することを米国が全面禁止しようとする動きも出ている。
Futurismは、今回の市場下落が単なる「市場の驕り」だけによるものではなく、中国がAI製品を海外に売ることを阻まれていることの影響が過小評価されている可能性を指摘している。外需が見込めない状況で国内需要だけを根拠に積み上げられた期待値が、現実と照合されたときに生じた落差——それが今回の下落の一因だという見立てだ。
西側でも他人事ではない
中国の状況は、西側の経済圏にとっても無関係ではない。Futurismの記事では、AI大手企業においても収益化の見通しが立たないまま投資だけが膨らんでいる構図が、中国と地続きであると示唆している。
※編集部の考察:元記事にはAnthropicの具体的な損失額や投資計画の数字は記載されていないため、該当データを本記事では引用しない。ただし、米国でもAI投資対収益のギャップが議論になっていることは念頭に置いておきたい。
中国政府は、急激な株価上昇局面で国営投資家が利益を確定売りすることで、ボラティリティを抑制しようとしてきた。しかし国家の介入をもってしても、AI製品への需要がまだ投資規模に追いついていないという問題は覆い隠せなかった。Futurismはこの状況を「バブルが弾けた」と表現しているが、同時にDeepSeekへの巨額調達が示すように、AIそのものへの期待が消えたわけでもない。崩落した株価と続く資金調達——この矛盾した現実の中に、AI産業の現在地がある。
詳細はIt Appears That the AI Bubble Has Just Burst in Chinaを参照していただきたい。