10月27日、Phoronixが「Initial Support For The Apple M4 & Apple A18 Pro Make It Into Linux 7.4」と題した記事を公開した。
Linux 7.4のSoC関連変更として最も注目を集めているのが、Apple M4およびA18 Pro(iPhone 16 Pro搭載チップ)の基本サポートがメインラインカーネルに取り込まれたことだ。ただし「対応」の実態は慎重に受け取る必要がある——現時点でできることは「カーネルをブートしてコンソールを表示する」程度にすぎない。
なお、Linux 7.x系はまだ開発中のシリーズであり、現在の安定版はLinux 6.x系である。7.4はリリース前の段階であるため、本記事で紹介する内容は将来の安定版に向けたマージ状況の話となる。
AppleシリコンのLinux対応がなぜ難しいかというと、Appleがハードウェア仕様を非公開としているためだ。Asahi Linuxプロジェクトがリバースエンジニアリングで仕様を解析し、ドライバを一から開発する必要があり、その成果が段階的にメインラインへ取り込まれていくというプロセスで進んでいる。今回のM4対応もその流れの一環だ。Wi-Fi・GPU・その他多くのペリフェラルはまだメインラインでは動作せず、直近のM3対応時と同じ段階にある。実用的なデスクトップ環境を構築できるまでには、まだ相当な道のりがある。
今回Device Tree(ハードウェア構成を記述する定義ファイル)が追加されたApple製品は以下のとおりだ:
- MacBook Pro(14インチ、M4、2024年)
- iMac(24インチ、USB-C×2、M4、2024年)
- iMac(24インチ、USB-C×4、M4、2024年)
- MacBook Air(13インチ、M4、2025年)
- MacBook Air(15インチ、M4、2025年)
- Mac mini(M4、2024年)
A18 Proについては、対応するDevice TreeのエントリにAppleの内部識別子とみられる「MacBook Neo」という名称が含まれていたと元記事は伝えている。これは現時点で未発表の製品に対応するコードネームとみられ、将来的な製品を先取りした形でDevice Treeが追加された可能性がある。ただし製品ラインアップへの言及はあくまでカーネルコード上の記述に基づくものであり、実際の製品名や発売については不明である。
Qualcomm関連では、コードネーム「Hawi」と「Nord」という2つの未発表SoCがLinux 7.4に追加された。両チップともカスタムOryon(オライオン)コアを採用しており、製品名が未発表の段階でリリース前から上流サポートが入るのは珍しい動きだ。Qualcommのサポート全体では22枚のボードが新たに有効化されており、その中にはQualcomm Dragonwing SoCを搭載したハンドヘルドゲーミングデバイス7機種も含まれる。
Google Tensor G5(コードネーム「Laguna」)もLinux 7.4でメインラインへの対応が追加された。Tensor G5はPixel 10(2025年リリース)に搭載されているSoCだ。スマートフォン向けSoCはメインライン到達まで時間がかかるケースが多く、開発者やLinuxコミュニティにとって前進を示す動きとなる。
そのほかの注目点としては、ValveのSteam向けVRヘッドセットのメインラインサポートが追加された。VRデバイスのLinuxサポートが公式カーネルに入るのは珍しい。RISC-V関連ではT-Head TH1520 SoCを搭載したMilk-V Meles SBCが追加されている。
一方、大量の32ビットARMコードの削除は先送りとなった。Linux 7.3または7.4のどちらがLTS(長期サポート)カーネルになるかが未確定であるためで、少なくともLinux 7.5まで待つことになる。
Linux 7.4のSoC関連変更の詳細はpull requestのメーリングリストでも確認できる。
詳細はInitial Support For The Apple M4 & Apple A18 Pro Make It Into Linux 7.4を参照していただきたい。