10月25日、Los Angeles Timesが「As vote nears, Trump's AI gamble fuels economic uncertainty」と題した記事を公開した。トランプ政権のAI優先政策が米国経済に構造的なリスクをもたらしており、世界的な投資家や経済学者がAIバブル崩壊への警戒を強めているという内容だ。
データセンター建設が米国経済成長をほぼ独占
独立した分析によれば、昨冬から今春にかけてのデータセンターインフラへの支出が、米国の経済成長のほぼすべてを占めたという。これを除けば、成長率は数分の一パーセントポイントにまで落ち込み、経済はほぼ停滞状態だったことになる。
AI一極集中の構造は、チップやエネルギーを他のセクターから吸い上げており、コスト上昇の一因となっている。トランプ政権はこのAIデータセンター建設拡大を主導してきたが、党を超えた反対世論が広がっていることが内部調査でも明らかになっている。
「AIバブル」に世界の大物投資家が警鐘
ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者のレイ・ダリオは、AI関連株がファンダメンタルズから乖離し、市場を危険な水準まで押し上げていると警告している。世界最大の富裕層向けヘッジファンド運営者であるケン・グリフィンも先週、AIが「ほぼ確実に」バブルを形成しており、崩壊の瀬戸際にある可能性があると発言した。
Nasdaq 100は**インデックスウェート(指数における各銘柄の構成比率)の約70%**が半導体メーカー、Big Tech、クラウドプラットフォーム、ソフトウェアプロバイダーなど、AIに依存する企業で占められている。Anthropicは来月IPOを予定しており、OpenAIも来年の上場を見込んでいる。両社の株式公開がバブルへの懸念をさらに高める可能性がある。
経済学者が試算する「株式市場30%超下落」シナリオ
ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は厳しい見通しを示す。
「トランプ大統領は任期中に金融危機に直面する可能性が十分ある。株式市場が30%以上下落するシナリオは十分に現実的だ。AIに依存した経済構造の下では、それが容易に景気後退と広範な金融不安につながりうる」
さらにロゴフ教授は、国家債務が持続不可能な軌道にある現状では、政府が金融セクターを救済したり景気後退に対処したりするための手段が、リーマンショック時と比べて大幅に制約されると指摘した。長期国債の金利が下がる保証がない以上、財政の余地は限られる。
デルフト工科大学のセルヴァース・ストーム経済学者も、AIバブル崩壊は「差し迫ってはいないが近づいており、トランプ大統領の任期終了前に起きる可能性が高い」と述べた。同氏によれば、MicrosoftやMeta、WalmartといったAI早期採用企業は、従業員がエラー修正や低品質アウトプットの整理、セキュリティ対応に時間を取られすぎているとして、AI活用の縮小に動いている。
トランプ政策が自らのAI成長戦略を阻害する構図
記事が指摘する皮肉な構造がある。トランプ政権が推進する関税政策は、輸入チップ・サーバー・ネットワーク機器・金属・電子部品のコストを引き上げており、AI産業に必要な素材を直撃している。ビザ規制は、AI企業が世界的な人材を確保しようとする動きに制約をかける。財政赤字の拡大は長期金利を押し上げ、すでに債務を抱えるAI企業への圧力となっている。
加えて、**インフレは現在3.7%**(バイデン政権末期の2.9%から再上昇)に達しており、FRBは高金利を維持せざるを得ない状況だ。10年物米国債利回りは2000年代初頭以来の水準に達している。
大手AI企業は、AI関連危機が1年以内に発生することを想定した「day-after訓練」(危機発生翌日の対応を想定したシミュレーション演習)をすでに実施していると、Axiosが報じている。
有権者の経済評価は厳しく、専門家は「危機は予測不可能」と釘を刺す
Fox Newsの世論調査では、米国人の77%が現在の経済を「並み以下または悪い」と評価している。CNBCの調査ではトランプ大統領の経済運営への支持率はわずか34%で、共和党内でも35%が不支持——党内では過去最高の不支持率だ。
こうした数字が示す民心の離反は、AI成長戦略への政治的な逆風として作用しうる。一方で、スタンフォード大学のダレル・ダフィー教授は「金融危機は本質的に予測不可能だ。もし近い将来の危機が確実にわかっていれば、市場はその危機を今この瞬間に前倒しする」と述べ、危機が認識された瞬間にパニックが連鎖する市場の特性を指摘した。投資家・経済学者・有権者の三者がそれぞれ不安を高める中、AI依存の成長構造が抱えるリスクは、市場・政策・政治の複数の軸で同時に問われている。
詳細はAs vote nears, Trump's AI gamble fuels economic uncertaintyを参照していただきたい。