10月24日、TechRadarが「The beginning of The Matrix': Unitree is developing an AI system that will let humanoid robots self-improve」と題した記事を公開した。Unitree・Tesla・Figureの3社が進めるヒューマノイドロボットの自律進化・量産・高精度化に関する最新動向を伝えている。
ロボットがロボットを改善する「Unitree Rehearsal」
最も注目すべきアップデートはUnitreeからだ。Unitree Roboticsは中国・杭州を拠点とするロボティクス企業で、四足歩行ロボット「Go」シリーズや人型ロボット「H1」「G1」シリーズで知られる。比較的低価格帯での製品展開で世界市場に存在感を示しており、ヒューマノイドロボット分野でも急速に開発を加速させている。
同社は、ヒューマノイドロボットが人間エンジニアの介入なしに自律的に改善を繰り返すAIシステムを開発中であると発表した。このシステムでは、ロボット自身がコードとシミュレーションを生成し、いわゆる「自己進化」フィードバックループを形成する。なお、現時点ではあくまで開発・研究段階のプロジェクトであり、実用化に至っているわけではない点には留意が必要だ。
プロジェクトは「Unitree Rehearsal」と名付けられている。Unitree創業者のWang Xingxing氏は同社主催のAIカンファレンスでこう述べた。
「これまでは、ロボティクスエンジニアが一人ひとりコードを書き、手動でデバッグする必要があり、非効率だった。AIモデルが進化するにつれ、計画と反復作業の大部分をAIが担い、人間の介入を減らせると期待している。」
人間は引き続きフィードバックの提供と性能評価に関与するが、最終目標はアップグレードプロセスの完全自動化だという。これが実現すれば、実世界のロボットを制御するアルゴリズムの開発サイクルが大幅に短縮される。Wang氏は、この加速によって早ければ来年にもUnitreeのロボットが部屋の掃除をこなせるようになると述べている。
Redditのコメント欄では、この動向に対してやや懐疑的・不安視する声が上がっており、「これは『マトリックス』の始まりだ——人間が理解できないコードをロボットが書き始める」という反応も見られた。
TeslaのOptimus、週産2万台を目指す
Tesla Optimus(正式名称:Tesla Bot)は、Teslaが2021年に発表した汎用ヒューマノイドロボットだ。家庭や工場での反復作業を自律的にこなすことを目標に開発が進められており、Tesla自身の工場内での先行運用も始まっている。
イーロン・マスク氏は2026年第3四半期の株主向けアップデートの一環として、カリフォルニア州フレモントのEV工場を転用したOptimus生産ラインが稼働開始したと明らかにした。
マスク氏によれば、さらなるエンジニアリング作業を経て、2027年までに週産2万台へ生産を引き上げる計画だという。ただし、マスク氏自身もOptimusが現時点では多様なタスクを単独でこなすことに苦労していると認めている。環境の認識、動作計画、そして実際の動作実行という3つのプロセスを連携させる部分がまだ課題として残っており、安全性・信頼性の改善に向けた設計作業も継続中だ。
Figure、第4世代へ向けてロードマップを刷新
Figure AIは2022年創業のアメリカのロボティクススタートアップで、OpenAIやMicrosoftなどから大型の資金調達を実施したことで知られる。汎用ヒューマノイドロボットの商業展開を目指しており、BMWの工場での試験運用なども報告されている。
同社CEOのBrett Adcock氏は社内の全体会議の録画を公開し、「ロードマップがこの1年で完全に変わった」と述べた。現行モデルFigure 03の生産台数は4桁に達しており、第4世代ヒューマノイドの開発も進行中だ。
技術面での主な進展は以下の通りだ。
- 指先トラッキングの精度がミリメートル単位まで向上し、手先の器用さで人間に近づきつつある
- 人間の動作を録画してロボットの学習データとする専用アプリ「Index」への動画アップロード数が3,750万件に到達
- Figure 03が本社のトレッドミル上で9日間連続歩行を達成し、耐久性・安定性の向上を実証
3社の共通課題:ソフトウェアと自律性
Unitree、Tesla、Figureの3社に共通するボトルネックは、ハードウェアよりもソフトウェアと自律性の部分だ。Unitreeが「自己進化」の研究を追求し、TeslaがOptimusの環境認識と動作計画の連携に苦慮している点は、業界全体が直面する同じ壁を示している。大量の訓練データと継続的なアルゴリズム更新によって各社のロボットは着実に能力を高めており、来年には一般消費者向けの販売が現実味を帯びてくる可能性がある。
詳細は"The beginning of The Matrix': Unitree is developing an AI system that will let humanoid robots self-improve"を参照していただきたい。