10月20日、Browser Useが「The Best MCP Servers to Control a Browser From Your Coding Agent (2026)」と題した記事を公開した。この記事では、Claude CodeやCodex、CursorといったAIコーディングエージェントからブラウザをMCP経由で操作するための主要ツール5種を紹介し、うち4ツールを実測評価した結果について詳しく解説されている。
結論:スコアはほぼ横並び、差はコストに出た
AIコーディングエージェントにブラウザを操作させる需要が高まるなか、MCP(Model Context Protocol)対応のブラウザ操作ツールが複数登場している。記事の著者らはその中から4ツールを実際に評価した(残る1ツール・Browser MCPは紹介のみ)。
評価環境は統一されている。Codex CLI 0.144.6 + GPT-6 Luna(medium reasoning)を使い、BU Bench V2.1の100タスクを各ツールで実行した。なおGPT-6 LunaはOpenPAIが提供する推論特化モデルとされており、一般的な知名度はまだ高くないため、実際の挙動や特性については元記事および公式情報を確認されたい。ブラウザはBrowser Useのクラウドブラウザ(USプロキシ)を毎タスク新規で用意した。
結果は以下のとおりだ。
| ツール | スコア (0-100) | 完全解決率 | 中央値 入力トークン | 中央値 ツール呼び出し | 中央値 エージェントコスト | 中央値 所要時間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Browser Harness (CLI + skill) | 60.4 | 11% | 2.1M | 42 | $0.042 | 9.0分 |
| Playwright MCP | 60.0 | 11% | 4.4M | 57 | $0.066 | 8.3分 |
| Chrome DevTools MCP | 61.0 | 11% | 6.7M | 67.5 | $0.097 | 8.7分 |
| agent-browser (CLI + skill) | 56.3 | 9% | 3.3M | 45 | $0.056 | 11.3分 |
スコアは統計的にすべて誤差の範囲内(各ペアの95%信頼区間がすべてゼロを含む)。つまり「どれが一番賢いか」は今回の評価では判別できない。一方でコストの差は明確だ。Browser Harnessの中央値$0.042に対し、Chrome DevTools MCPは$0.097と約2.3倍。トークン消費量も2.1M対6.7Mと3倍以上の開きがある。
なお評価はツールごとに1回実行のみで、200タスク中100タスクのみ、かつ毎回クラウドブラウザ(ログイン済み自分のChromeではない)を使用している点は留意が必要だ。
なぜトークン数にこれほど差がつくのか
記事では「はっきりした原因は不明」としつつも、MCPオーバーヘッドの可能性を示唆している。Playwright MCPの公式READMEも「CLIからの呼び出しはサイズの大きいツールスキーマをスキップできる」と述べており、MCP経由の呼び出しがトークン消費を増やす一因になっている可能性がある。ただしagent-browserもCLIでありながらBrowser Harnessの約1.6倍のトークンを消費しており、CLIかMCPかだけでは説明しきれないとも指摘している。
各ツールの特徴と使い分け
Browser Harness(自作ツール)
Browser HarnessはBrowser Use製のオープンソースツール。Playwright不使用でCDP(Chrome DevTools Protocol)を直接使い、今開いているChromeにそのまま接続する。ログイン済みセッションをそのまま使えるのが最大の利点だ。
Claude CodeやCodexへの導入はエージェントに所定のプロンプトを渡すだけでよい。Cursor等のMCP専用クライアント向けにはbrowser-harness-mcpも用意されている:
claude mcp add browser-harness -- uvx --from 'browser-harness[mcp]' browser-harness-mcp
注意点: エージェントがログイン済みのChromeに全アクセスできる。複数エージェントを同時実行するとタブの競合が起きる。デフォルトでテレメトリが有効(browser-harness telemetry disableで無効化可能)。パッケージはまだalphaマーク。
Playwright MCP
Playwright MCPはMicrosoftが提供するMCPサーバー。ページ読み取りをスクリーンショットではなくアクセシビリティツリーで行うため、ビジョンモデルが不要。Firefox・WebKitにも対応。毎回クリーンなブラウザが必要な場合は--isolatedフラグを使う。
claude mcp add playwright npx @playwright/mcp@latest
記事では「コーディングエージェントにはPlaywright CLI+スキルの組み合わせの方が良い場合もある」と公式READMEを引用して言及している。
注意点: デフォルトのツールセットに含まれるbrowser_run_code_unsafeはREADMEが「RCEと同等」と明記している。
Chrome DevTools MCP
Chrome DevTools MCPはChromeDevToolsチーム製。パフォーマンストレース、Lighthouseオーディット、ネットワーク検査、ヒープスナップショットといった開発者向け機能が充実している。今回の評価でスコアは最高値(61.0)だったが誤差範囲内。トークン消費は最多(6.7M)。
claude mcp add chrome-devtools --scope user npx chrome-devtools-mcp@latest
注意点: デフォルトでGoogleに使用統計を送信(--no-usage-statisticsで無効化可能)。コンテナ・CI環境でChromeのサンドボックス制限に引っかかる場合がある。
agent-browser
agent-browserはVercel Labs製のRust製ネイティブCLI。Node.jsデーモンが不要。暗号化された認証情報ボールト(エージェントにパスワードを見せずにログイン可能)、ドメイン許可リスト、アクションポリシーといったセキュリティ機能が特徴的だ。
npm install -g agent-browser && agent-browser install
注意点: ドメイン許可リスト(--allowed-domains)と自分のChromeへの接続(--auto-connect)は併用不可。MCP経由ではデフォルトで認証・Cookie・ネットワーク系のツールが無効。
Browser MCP
Browser MCPは1タブを手軽にエージェントへ渡したい場合に最速の選択肢だが、npmリリースが2025年4月以降止まっていると記事では指摘している。今回の実測評価対象からは外れており、採用時はメンテナンス状況の確認が必要だ。
どれを選ぶか
記事の推奨をまとめると:
- 自分のログイン済みChromeをそのまま使いたい → Browser Harness(コスト最安)
- 毎回クリーンなセッションが必要、またはFirefox/WebKit → Playwright MCP
- パフォーマンス計測・ネットワーク解析・Lighthouse → Chrome DevTools MCP
- ドメイン許可リストや認証情報の保護が必要 → agent-browser
- 手軽に1タブだけ渡したい → Browser MCP(ただしメンテ停滞に注意)
なお、Browser HarnessはBrowser Use自身が開発したツールであり、同社が自社ツールを最初に紹介している点は記事内で明示的に開示されている。
詳細はThe Best MCP Servers to Control a Browser From Your Coding Agent (2026)を参照していただきたい。