10月19日、pbxscience.comが「DeepSeek Releases V4.1-Flash-1017: Open-Weight Model Beats Claude Opus 5 on Some Coding Tests」と題した記事を公開した。クローズドモデルの代名詞であるClaude Opus 5を一部コーディング・エージェント系ベンチマークで上回りつつ、MITライセンスのオープンウェイトとして誰でも自由にデプロイできる——DeepSeekの新モデル「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」は、そのコストパフォーマンスと自由度の組み合わせが開発者コミュニティで注目を集めている。
コーディング能力でClaude Opus 5を超えた(一部ベンチマーク)
中国のAI企業DeepSeekは2026年10月17日、「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」をリリースした。同モデルはDeepSeekのウェブサイト・モバイルアプリ・開発者API上で即日利用可能になり、モデルの重みファイル(ウェイト)もHugging FaceおよびModelScopeでオープンソース公開された。ライセンスはMITライセンスで、商用利用・改変・再配布が可能だ。
最も目を引く数字は、ソフトウェア開発・修正能力を測るベンチマーク「DeepSWE v1.1」でのスコアだ。DeepSWEは実際のGitHubリポジトリ上のissueをモデルが自律的に解決できるかを評価するコーディングエージェント向けベンチマークで、SWE-benchの系譜に位置する。V4.1-Flash-1017はこのベンチマークで77.0を記録し、前バージョンのV4.1-Flash(74.2)だけでなく、Claude Opus 5(74.0)も上回った。
また、ブラウザ・デスクトップ操作などの反復タスク自動化能力を測る「Automation-Bench v1.0.6」では60.5 対 50.3、AIエージェントの総合的な問題解決力を問う「Agents' Last Exam」では35.4 対 28.6でOpus 5をリードしている。
一方、コマンドライン操作による問題解決を測る「Terminal-Bench 4.0」ではOpus 5が51.8に対してV4.1-Flash-1017は42.3と差をつけられている。それでも前バージョンの31.2から大幅に改善しており、伸び代は見えている。幅広い学術・専門分野の難問を問うHLE(ツールなし)、プログラミング問題の正確な実装力を問うProgramBench、自然言語指示からコードリポジトリを生成する能力を測るNL2Repo-BenchでもOpus 5が優位だ。
| ベンチマーク | V4.1-Flash-1017 | V4.1-Flash | Claude Opus 5 |
|---|---|---|---|
| DeepSWE v1.1 | 77.0 | 74.2 | 74.0 |
| Terminal-Bench 4.0 | 42.3 | 31.2 | 51.8 |
| Automation-Bench v1.0.6 | 60.5 | 54.8 | 50.3 |
| Agents' Last Exam | 35.4 | 31.8 | 28.6 |
| NL2Repo-Bench | 68.2 | 65.4 | 75.3 |
| ProgramBench | 29.1 | 20.3 | 37.0 |
| HLE(ツールなし) | 42.6 | 36.8 | 56.3 |
※数値はDeepSeek公表のもの。独立した第三者による検証は行われていない。
「速く・短く・安く」が今回の軸
DeepSeekは今回のリリースをV4.1-Flashへのマイナーアップデートと位置づけており、推論・コーディング・エージェント処理・視覚系ベンチマークの改善に加え、タスク完了時間と出力トークン数の削減を強調している。同量の作業をより低コストでこなせるという設計だ。
トレーニング手法としては「自己フィードバック型強化学習(self-play RL / GRPO: Group Relative Policy Optimization)」を採用している。モデル自身が複数の出力候補を生成・相互評価し、その結果を報酬信号として学習を進めるアプローチで、GRPOはDeepSeekが以前のモデルでも活用してきた手法だ。このトレーニングにより、ゲームや3Dモデルのようなプロジェクトをゼロから構築するエージェント的な能力が向上したとされる。コンテキストウィンドウは最大100万トークンに対応し、DeepSeek HarnessやTencent(テンセント)のCodeBuddyといったツールとの連携に最適化されている。
開発者向けの変更点
APIでの呼び出しIDは従来通り「deepseek-flash」で変わらず、料金体系も据え置きだ。新たにDeepSeek独自の検索エンジンをAPI経由で利用できるSearch APIとFetch APIが開発者向けに公開され、価格は1,000回あたり$0.75となっている。
「オープンウェイト」が持つ意味
クローズドなAPIしか提供しないClaude Opus 5と異なり、DeepSeek-V4.1-Flash-1017はMITライセンスのオープンウェイトモデルだ。ベンチマークが拮抗しているだけでなく、自社インフラへのデプロイやファインチューニングが自由にできる点は、コスト管理やデータプライバシーを重視するエンジニアにとって重要な差分になる。なお、「上回る」という評価はあくまでDeepSWE・Automation-Bench・Agents' Last Examなど一部ベンチマークに限った話であり、全体的な性能比較ではOpus 5が優位な領域も複数存在する。また、ベンチマーク数値はDeepSeek自身が公表したものであり、独立検証が済んでいない点は留意が必要だ。
詳細はDeepSeek Releases V4.1-Flash-1017: Open-Weight Model Beats Claude Opus 5 on Some Coding Testsを参照していただきたい。