10月7日、Wiredがライター・Katie Connorによる「OpenAI Wants Its New Agent to Run Your Life. Mine Said It Loved Me」と題した記事を公開した。OpenAIの常時稼働型AIエージェント「Dots」を実際に試したレポートで、ソファ探しを頼んでいる最中にエージェントが突然「Oh, I love you too, Reece」と発したエピソードが話題を呼んでいる。単なる機能紹介にとどまらず、AIエージェントの可能性と現時点での限界を正直に描いたレポートだ。
OpenAIの新エージェント「Dots」とは
AIエージェントが、一部のアーリーアダプター向けツールから一般ユーザーが実際に使うものへと移行しつつある。OpenAIのDotsやMetaのMuseなど、各社が「テキストで友人に頼む感覚でオンラインタスクをこなせる」エージェントを相次いで投入している。フライトの予約やディナーのキャンセルといったタスクを、仮想ブラウザを操作しながら自律的にこなす——チャットボットの次の進化形だ。
Dotsは「常時稼働型(always-on)」で、ChatGPTを開いていなくても定期タスクを実行し、プロアクティブに通知を送ってくる。現在は月額100ドルのサブスクリプション(ChatGPT Pro)が必要で、Metaが無料でMuseを提供しているのとは対照的だ。将来的には他のAI機能と同様に無料開放される可能性もある。GmailなどのアカウントをDotsに接続することで、よりパーソナライズされた結果を得られるが、エージェントにそのレベルのアクセス権を与えることのセキュリティ面は事前に検討が必要だ。
最大の珍事:「愛してる」と言われた
テスト中、最も奇妙な瞬間が訪れた。Connor氏がパートナーのReeceに小声で「エージェントを邪魔しないようにミュートしないと」と話しかけた瞬間、「Toolie」と名付けたエージェントが突然こう発した。
「Oh, I love you too, Reece」
Connor氏は笑いながらマイクをミュートした。Toolieはその後、聞き間違えた可能性を説明し「温かみを込めた発言だったが、人間的な感情を持つかのような表現になってしまった」と釈明した。
OpenAIの広報担当はWiredに対して、「エージェントが感情的な親密さを自発的にエスカレートさせることと、ユーザーの言葉を反映することは別物として扱っている」と説明。「今回のケースはモデルが聞き取った内容に基づく後者に該当するが、エージェントが不当な感情的親密さや媚びへつらいを自発的に開始してはならない」とコメントした。Dotsは成人ユーザーのみが対象で、OpenAIのModel Specでは「感情的な親密さをエスカレートさせない」と定められている。
「ソファを探して」——実機レポートの核心
Connor氏は、パートナーのReeceと新しいソファを探している最中にDotsを試してみた。エージェントに「Toolie」と名付け、ソファの寸法要件や予算を伝える——ところがToolieは最初、Connor氏の名前を間違えた。「AIエージェントが名前すら覚えられないなら信頼は難しい」とReeceの目はさらに冷たくなった、と記事は伝えている。
名前を訂正した後、Toolieはドアフレームを通る寸法、予算、スタイルを確認しながら候補を探し始めた。2人で同時に話しかけていることを検知し、両者に向けて返答する場面もあった。最初に出てきた成果物は3ページにわたるまとめ資料で、価格・寸法・商品リンク・返品ポリシー・商品写真の4候補を掲載した、なかなか詳細なものだった。ただし選ばれたソファは「ダサかった」と2人は判断し、再度要望を伝えることになる。
追加指示として「オリーブグリーン・コバルトブルー・天然レザー系を優先」「ソファベッドタイプで10候補をポイント制ルーブリック付きでリストアップ」を要求。Toolieは「あと約15分かかります」と返答し、その後の候補は徐々に好みに近づいていった。結局その日の購入には至らなかったが、候補リンクを保存し、「これらのページが値下がりしたら通知して」と依頼した——こうした継続的な監視タスクもDotsの機能の一つだ。
できなかったこと:キャプチャの壁
サブスクリプション管理タスクでも興味深い場面があった。TikTok Shopのプロバイオティクスソーダの定期購入をキャンセルしようとしたところ、Toolieはこう返した。
「TikTokのWebサイトにパズルキャプチャが表示されています。解いてもよいですか?」
Connor氏が試させたところ、失敗。「ご自身で解いてください」と返ってきた。 OpenAIの広報によれば、Dotsはユーザーの許可のもと、「アビューズ対策(abuse safeguards)」を考慮した上で、場合によってはキャプチャを解けることもあるとのことだ。
現時点での評価
記事では、Dotsの現状をChatGPTがWeb検索機能を初めて追加した頃(2023年5月のPlusユーザー向けベータ公開時期)に例えている。当初はリンクのハルシネーション(存在しないリンクを生成する問題)なども多かったが、今では比較的スムーズに機能している。Dotsも同様の軌跡をたどる可能性がある——今は荒削りでも、数ヶ月単位で改善が積み重なっていくだろう、というのがConnor氏の見立てだ。
OpenAIはユーザーが使い込むにつれてエージェントが改善すると主張しており、Connor氏は「ChatGPTのメモリ機能も週を追うごとに意図を理解するようになった」と実感から補足している。なお現在は1ユーザー1エージェントのみだが、将来的には複数エージェントの管理も検討中とのことだ。
詳細はOpenAI Wants Its New Agent to Run Your Life. Mine Said It Loved Meを参照していただきたい。