10月5日、GamesIndustry.bizが「Capcom aims to enhance its propriety RE Engine with AI to accelerate efficiency in QA, debugging, and data processing」と題した記事を公開した。注目すべきは、CapcomがAIをゲーム内アセット生成には使わないと明言しながら、エンジン開発の裏側——QA・デバッグ・データ処理——に限定してAIを組み込む「REXプロジェクト」を推進している点だ。開発効率化のためのAI活用と、ゲーム表現へのAI適用を明確に切り分けるというスタンスは、生成AI全盛期において逆説的で興味深い。
「ゲーム内のAI生成アセットは使わない」との立場は変わらず
Capcomは今年初め、「ゲームにジェネレーティブAIのアセットは実装しない」と明言している。あくまでAIは「開発効率・生産性の向上」に使うというスタンスだ。
「グラフィックス、サウンド、プログラミングを含む各部門で、さまざまな活用方法をテスト中だ」とも述べている。
※編集部の考察:別途報じられているように、『Resident Evil Requiem』はNvidiaのDLSS 5技術のデモに起用された際、キャラクターモデルのAI処理が一部ユーザーから批判を受けた経緯がある。エンジン内部のAI活用と、ゲーム表現へのAI適用を、Capcomが公式に線引きしている背景にはこうした文脈も影響している可能性がある。
RE Engineを「AIジェネレーションエンジン」へ
Capcomは、自社開発の**RE Engine**をAI統合型の「AIジェネレーションエンジン」へと進化させる多段階プロジェクトを発表した。
RE Engineは2017年リリースの『Resident Evil 7: Biohazard』向けに構築されたエンジンで、現在は2,000人以上の開発者が利用していると推定されている。
このプロジェクトの詳細は、Capcomが最近開催した年次技術カンファレンスで、プログラマーの石田聡氏が「REXプロジェクトの展望と未来 ― 次世代に向けたRE Engineのさらなる進化」と題したプレゼンテーションで発表した。
REXプロジェクトが狙う4つの軸
石田氏はREXプロジェクトの目標として以下の4点を挙げた。
- 開発速度の加速
- QA効率の向上
- 新人・海外スタッフの使いやすさ向上
- AIを生産ワークフローへ統合
具体的なシステムとして、以下の新コンポーネントが導入される。
| コンポーネント | 役割 |
|---|---|
| RE:Dox | 標準化されたデータ処理 |
| RE:UI | 開発ツールキットの高速化 |
| RE:Log | IDベースのロギング |
| RE:Flows | ビジュアルスクリプティングツール |
| RE:Runtime | 再設計されたランタイムコア |
| RE:C++ | 洗練された実行フレームワーク |
AIの役割:コード生成からプレイテスト自動化まで
エンジニア視点で注目したいのが、AIをデバッグ・QAの文脈でどう使うかという具体像だ。
石田氏によれば、RE EngineへのAI統合は以下を目的としている。
- 開発支援・コードの生成と解釈
- プレイテストの自動化によるデバッグ
- パフォーマンスの最適化
目指すビジョンは「AIと共にゲームを作る」未来だという。プレイテストの自動化は、QAコストが膨らみやすい大規模タイトル開発において実用的なアプローチだ。
また、一部の改善はオープンソースとして公開し、AIのトレーニングデータとして活用できるよう提供する計画も明らかにした。自社エンジンの改善をOSSにフィードバックするという判断は、エンジン開発コミュニティへの貢献という面でも注目に値する。
なお、元記事タイトルのURLには「propriety」というスペルが使われているが、これは「proprietary(独自仕様の)」の誤記と思われる。本記事ではタイトル・URLを原文のまま表記している。
詳細はCapcom aims to enhance its propriety RE Engine with AI to accelerate efficiency in QA, debugging, and data processingを参照していただきたい。