10月5日、Etiido Ukoが「Amazon warns $68 billion in blocked data centers threatens US AI lead」と題した記事を公開した。2026年第2四半期だけで680億ドル相当のデータセンタープロジェクトが住民反対によって阻止され、全米で100件以上の建設モラトリアム(一時禁止)が検討中という状況を受け、AWSのCEO Matt Garmanが約3,000語に及ぶ長文投稿で正面から反論した。「AIをリードする国がAIを形成し、最大の恩恵を受ける。集中力や意志が途切れれば、取り返しのつかない形で後れをとる」——その警告は、地政学的競争を念頭に置いた強い危機感に裏打ちされている。
680億ドル分のデータセンターが地域の反対で阻止された
Garmanが投稿を公開したのは10月2日。AIの経済的インパクトを交通インフラやインターネットになぞらえつつ、データセンター建設への地域的反発に真っ向から反論した内容だ。
Garmanの主張は明快だ。「AIをリードする国がAIを形成し、最大の恩恵を受ける。今日の選択がその結果を決定し、国家としての集中力や意志が途切れれば、取り返しのつかない形で後れをとる可能性がある」。そして現在の状況を「米国が自ら負け票を書いているようなものだ」と表現し、その影響は「世代をまたいで続く」と警告した。
「神話」への反論と、その限界
Garmanは反データセンター派が挙げる懸念を「神話」と位置づけ、以下の3点を中心に反論している。
水の使用量:「データセンターが消費する水は、他の産業と比べてごくわずかだ」と主張。Amazonの以前の試算では、同社のデータセンターが消費する水は「米国人が芝生や庭に使う水の0.075%に過ぎない」としている。
電力料金への影響:電気代を押し上げているという批判に対し、Garmanは「誤解を招く都合のいいスケープゴーティングだ」と反論。電力インフラの拡張はAIとは無関係にいずれ必要だったものであり、「グリッドが拡張されれば、将来的には電力料金は横ばいか低下するはずだ」と述べた。ただし、この主張は一部の独立した調査と矛盾している。AIデータセンターが電力料金を76%押し上げるという試算も存在し、米下院はデータセンター事業者にグリッドアップグレード費用を負担させる法案を可決したが、上院で否決されている。
汚染・排気ガス:大型ディーゼル発電機による汚染については、「バックアップ電源の使用頻度は極めて低い」と主張する。ただし、この反論はオフグリッド型データセンターでガスタービンを使用するケースへの懸念には直接答えていない。Elon Muskの「Colossus」データセンターで無許可のガスタービン使用が問題となった件(2025年初頭に報じられた)は、その象徴的な事例として広く知られている。
地域への利益と「Built Together」イニシアティブ
「データセンターは地域に何も還元しない」という批判に対し、Garmanはインディアナ州セントジョセフ郡への推定30億ドルの税収、全米コミュニティへの10億ドル超の既存拠出、1万人以上が参加する教育プログラムなどを挙げた。
さらに今後の取り組みとして、「Built Together」イニシアティブを発表。今後5年間で10億ドル超を追加拠出し、教育・職業訓練・エネルギー負担軽減・水と電力の保全・地域課題への対応を、地域コミュニティ主導で進めるとしている。
「外国からの情報操作」という主張
Garmanの投稿で最も踏み込んだ主張の一つが、反データセンター運動の一部に外国の関与があるという指摘だ。元記事によれば、Garman自身が投稿の中で次のように述べている。
「この建設はあまりにも地政学的に重要なため、さまざまな国が米国内でデータセンターに関する偽情報を意図的に流布し、米国の歩みを遅らせようとしているという広範な報告がある」
この発言は、反対運動を国内の正当な民意として見るか、地政学的な脅威として見るかという解釈の分断をさらに深める可能性がある。データセンター批判派は「問題はAIそのものではなく、建設の進め方だ」という立場を崩していない。
詳細はAmazon warns $68 billion in blocked data centers threatens US AI leadを参照していただきたい。