10月1日、Cloudflareが「We want you to build the next Git platform on Cloudflare」と題した記事を公開した。AIエージェント時代に対応した次世代Gitプラットフォームの構築を開発者に呼びかけるコンペティションと、その基盤となる「Artifacts」のオープンベータについて詳しく紹介されている。
「次のGitHubは何か」——人間中心の前提が崩れ始めた
GitHubは人間が主役のコラボレーションツールとして設計された。ブランチ、コミット、プルリクエスト——これらはすべて、人間がコードを書き、レビューし、マージするという前提の上に成り立っている。
しかしその前提が急速に崩れつつある。AIエージェントがバグ修正、機能実装、テスト作成、依存関係の更新などを担うようになった今、数百〜数千のエージェントが同一コードベースで同時並行に作業するという状況が現実になりつつある。そこで浮かび上がるのが、既存のバージョン管理ツールでは答えられない問いだ。「エージェントは他のエージェントが何をしているかをどう把握するのか?」「競合する変更が発生したときどうするのか?」「変更の内容だけでなく、なぜその変更をしたかをどう記録するのか?」
Cloudflareはこの問いへの答えを開発者コミュニティとともに探るべく、コンペティションを立ち上げた。賞金1位はCloudflareクレジット2万5000ドルだ。
コンペティションの概要と審査の方向性
Cloudflareが明示しているのは「GitHubにエージェントを乗せただけのものは求めていない」という点だ。最低条件として複数エージェントの並行作業を示した上で、ブランチやプルリクエストといった既存の概念そのものを再発明することを期待している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 締め切り | 2026年10月14日 |
| 提出物 | 5〜10分のデモ動画、OSSライセンスのソースコード(MIT/Apache/BSD)、実行手順 |
| 1位の賞品 | Cloudflareクレジット2万5000ドル + サンフランシスコでのCloudflare Connectへの招待 |
| 上位3チーム | 各チーム最大2名をConnect会場に招待 |
記事では評価基準の詳細は明かされていないが、Cloudflareが強調するのは「エージェント同士の協調をどう設計するか」という設計思想の部分だ。既存のGitワークフローをそのまま踏襲した応募ではなく、ゼロから問い直したアーキテクチャが求められている。
基盤となる「Artifacts」がオープンベータに
コンペの核心を理解するには、まずArtifactsを知る必要がある。Cloudflareが公開したArtifactsは、Gitプロトコルに対応したバージョン管理付きファイルシステムで、数百万リポジトリ規模へのスケールを前提に設計されている。既存のGitクライアントやツールをそのまま使いながら、エージェント向けのAPI操作を重ねられるのが特徴だ。公式ドキュメントも整備されている。
今回のオープンベータに合わせて、いくつかの新機能が追加された。
Workers Buildsとの統合
ArtifactsリポジトリをCloudflare Workerに接続できるようになった。エージェントがコードをプッシュすると、Workers Buildsが自動でビルド・デプロイを実行する。本番ブランチ以外へのプッシュはWorkers Previewsとして独立した環境が自動生成され、本番反映前の検証が可能だ。
WorkerからArtifactsを直接操作
Artifactsバインディングを使えば、Worker内からリポジトリの作成・フォーク、ファイルやコミットの参照、リポジトリスコープのGitトークン発行などが行える。
以下は、新しいエージェントタスク用にプロジェクトをフォークし、AGENTS.mdから指示内容を読み取るコードサンプルだ。タスクごとにリポジトリを分岐させ、各エージェントに独立した作業空間を与えるアーキテクチャが具体的に見て取れる。
using project = await env.ARTIFACTS.get("my-project");
const { defaultBranch } = await project.info();
const workspace = await project.fork(`task-${crypto.randomUUID()}`);
using repo = await env.ARTIFACTS.get(workspace.name);
const instructions = await repo.readFile({
ref: defaultBranch,
path: "AGENTS.md",
});
const agentTask = {
remote: workspace.remote,
token: workspace.token,
instructions: instructions ? await instructions.text() : null,
};
イベントサブスクリプション
リポジトリへのプッシュ、クローン、フォーク、削除など、あらゆる操作をイベントとして購読できる。たとえば、プッシュのたびにコードレビュー用エージェントを自動起動するといったパイプラインを数十行で構築できる。エージェントによるCI/CDパイプライン全自動化の足がかりになる機能だ。
データ保存地域の選択
名前空間作成時に米国またはEUを指定することで、リポジトリデータの保存・処理場所を固定できる。GDPRなどのコンプライアンス要件が絡むプロジェクトで有効だ。
参加条件と利用料金
ArtifactsはWorkers Paidプランの顧客向けにオープンベータとして提供中だ。リポジトリの操作回数と保存データ量に基づく従量課金が予定されており、課金開始は2026年10月15日から。コンペ締め切りの翌日が課金開始日となる点は把握しておきたい。
ダッシュボードはこちらから確認できる。
詳細はWe want you to build the next Git platform on Cloudflareを参照していただきたい。