10月1日、Mike Vizardが「Survey Surfaces Sharp Increase in Amount of Code Written by AI」と題した記事を公開した。42%の開発者がコードの半分以上をAIに書かせているという最新調査の結果を紹介したもので、注目すべきは「AIで週13時間節約できた」という一方で「その9時間を新技術の学習に再投資している」という逆説的な実態だ。
調査概要:BairesDevの『Dev Barometer』とは
本調査は、アルゼンチン発のグローバル・ソフトウェア開発アウトソーシング企業BairesDevが世界705名の開発者とITリーダーを対象に実施したDev Barometer Q3 2026の結果だ。Dev Barometerはソフトウェア開発現場の実態を定点観測することを目的としてBairesDevが定期発行しているレポートシリーズで、今回のQ3版は開発者の役割変化とAI活用の実態に焦点を当てている。回答者の属性内訳や地域分布などの詳細な調査手法は元レポートに記載されている。
週13時間の節約、しかし9時間は学習に消える
AIシフトによって開発者は平均で週13時間のコーディング時間を節約できているとされる。しかし、同じ調査でAIツールや新技術の習得に週平均9時間を投じているという実態も明らかになった。「節約した13時間のうち9時間は学習に消えている」と読むこともでき、純粋な余裕時間は想定より大幅に少ない。
節約できた時間の使われ方は以下の通りだ。
- AIの出力レビュー:67%の開発者が取り組む
- AIが生成したコードのデバッグ:52%が実施
コーディングをAIに任せることで生まれた時間の多くが、AIの成果物を検証・修正する作業に再投入されている構図だ。
開発者の42%、コードの過半数をAIが生成
調査の核心となる数字として、42%の回答者が「AIが自分のコードの半分以上を書いている」と答えた。さらに、「週の半分以上をゼロからコードを書くことに費やしている」開発者は21%にとどまるという結果も出ており、開発者の主な仕事が「コードを書くこと」から変容しつつある実態が浮かび上がった。
約80%の開発者が週の半分未満しかコーディングに時間を使っていないという数字は、数年前には考えにくい水準だ。
一方で、学習投資は報酬に反映されつつある。AIツールの習熟度(29%)、システムアーキテクチャ(20%)、ヒューマンスキル(15%)が給与増加の主な要因として挙げられており、スキルの転換が収入に直結している構図が見える。
責任の所在と「ship判断」の自動化
コードの品質責任について、51%の開発者が「AIが生成したコードへの責任は自分個人にある」と回答した。AIが書いたコードでも、説明責任は人間が負うという意識が多数派だ。
リリース判断(ship decision)の委任状況は以下の通りだ。
- AIに完全委任(人間の関与なし):7%
- 開発者がループに入る形でAIに委任:32%
BairesDevのCTO、Justice Erolinは「AIがコーディングを変革した一方、ソフトウェア開発ライフサイクルの残りの部分はまだ変革の途上にある」と述べている。
DevOpsパイプラインへの影響
AIが生成するコード量の増加は、既存のCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインに負荷をかけ始めている。生成されるコードは確実に増加しているが、実際に本番環境にデプロイされる割合はチームによってばらつきが大きく、パイプライン全体の再設計が課題として浮上している。
Erolinは「エージェント型AIの時代において、人間はDevOpsループの中心にいるというより、AIエージェントの活動を観察・監督する役割に移行していく」と指摘する。人間がそのまま中間工程に留まれば、ソフトウェアの構築・デプロイを遅らせるボトルネックになりかねない、とも述べている。
その一方で「適切にガバナンスされていないAIエージェントは、DevOpsチームが単独では発見・制御しきれない形で暴走するリスクがある」とも警告しており、自律化と管理のバランスが今後の焦点となる。
役割の変化に対する当事者の受け止め方
こうした変化に対して、86%の回答者が「組織内での自分の役割がより充実している」と感じていると回答した。コーディング量の減少が必ずしも不満につながっているわけではなく、レビューやアーキテクチャ設計などの上位レイヤーの仕事にシフトしていることが背景にあるとみられる。「コードを書く人」から「AIの生成物を評価・統御する人」への移行が、現場レベルでは比較的ポジティブに受け止められている点は注目に値する。
詳細はSurvey Surfaces Sharp Increase in Amount of Code Written by AIを参照していただきたい。