9月29日、Abid Ali Awanが「5 Free Courses to Learn AI Engineering」と題した記事を公開した。LLM基礎からRAG・MLOps・ファインチューニングまでをカバーする無料コース5選を紹介した内容で、なかでも注目はLangChainなどの高レベルフレームワークをあえて使わず、モデルAPIへの生の呼び出しからエージェントループやRAGパイプラインを自力で組み上げる「AI Engineer Notebooks」だ。コースは難易度の低い順に並んでおり、順に追えばそのまま学習ロードマップとして機能する。
AIエンジニアとは、ゼロからモデルを訓練する研究者ではなく、既存のモデルを使って実用的なアプリケーションや自動化システムを構築する職種だ。モデルAPI、埋め込み(Embeddings)、ベクターデータベース、RAG(検索拡張生成)、AIエージェント、モデルのデプロイと監視——これらが主な守備範囲になる。
1. Hugging Face LLM Course(入門〜中級)
**Hugging Face LLM Course**は、LLMをこれから学ぶ人の出発点として推奨されている。Transformerの仕組みから始まり、Hugging Faceエコシステム(Transformers・Datasets・Tokenizers・Accelerate)の使い方、ファインチューニング、デモ構築、推論モデルの扱いまでを体系的にカバーする。
必要なのはPythonの知識のみで、PyTorchやTensorFlowの経験は「あれば望ましい」程度。完全無料かつオープンソースで、GitHubリポジトリ(huggingface/course)でも教材が公開されている。
RAGやエージェントなど上位レイヤーに進む前に「LLMが実際にどう動くか」を理解できる点が、このコースを起点に選ぶ理由とされている。
2. AI Engineer Notebooks(中級)——フレームワーク不使用が最大の特徴
実践志向のエンジニアに特に刺さるのが、**AI Engineer Notebooks**だ。Google ColabのノートブックをベースにしたMITライセンスのオープンソースカリキュラムで、AIエンジニアや「Forward Deployed Engineer(顧客先にデプロイを行う現場エンジニア)」の職種で求められるスキルを直接的に扱う。
最大の特徴はフレームワークを使わない設計にある。LangChainなどの高レベルフレームワークに頼らず、モデルAPIへの生のAPI呼び出しからエージェントループ・RAGパイプライン・評価システムを自分で組み上げる。フレームワークが内部で何をやっているかを理解しやすくなる、という狙いだ。
カリキュラムは以下をカバーする:
- モデルAPIと構造化出力
- ツール呼び出し(Tool Calling)
- RAG
- LLM評価(Evals)
- AIエージェント
- ファインチューニングとLoRA(大規模モデルを少ないパラメータ更新で効率的にファインチューニングする手法)
- プロンプトインジェクションとセキュリティ
- LLMOpsと信頼性
- モデルサービングと推論
- MLシステム設計
ノートブックは主に**無料のGroq API**で動作するよう設計されており、LoRAファインチューニングなどGPUが必要なトピックはColabのGPU演習がオプションで用意されている。
3. DataTalksClub LLM Zoomcamp(中級)
**LLM Zoomcamp**は、プロダクション品質のLLMアプリケーション構築にフォーカスしたコースだ。2026年版カリキュラムでは、Agentic RAG・ベクター検索・オーケストレーション・評価・モニタリングを扱い、最後にキャップストーンプロジェクトがある。
「モデル理論を学ぶ」のではなく「実際のシステムを一から組み上げる」構成で、検索・エージェント・評価・監視が本番システムの中でどう連携するかを体感できる。ハイブリッド検索やリランキングも扱う。
4. MLOps Zoomcamp(中級)
**MLOps Zoomcamp**は、「モデルの訓練後に何が起きるか」を学ぶコースだ。MLflow によるExperiment Tracking、モデル管理、パイプライン構築、オンライン・バッチデプロイ、監視、CI/CD、Infrastructure as Codeまでをカバーする。
Python・Docker・CLIツールと基礎的な機械学習の知識が前提。元記事(2025年9月29日公開)時点の情報として、2026年はライブコホートの予定はなく完全セルフペースでの受講となるとのことだが、最新スケジュールは公式リポジトリで確認することを推奨する。
5. Maxime Labonne's LLM Course(中級〜上級)
**Maxime Labonne's LLM Course**は、オープンソースLLMの訓練・圧縮・最適化に踏み込みたい人向けの上級コースだ。カリキュラムは「LLM Scientist(モデルを作る側)」と「LLM Engineer(アプリを作る側)」の2トラックに分かれており、以下を扱う:
UnslothやAxolotlを使ったファインチューニングのノートブック、各種量子化フォーマットへの変換、モデルマージの実験など、実践的な教材が充実している。
学習ロードマップのまとめ
記事では最後に、以下の順番で学ぶことを推奨している:
- Hugging Face LLM Course でTransformer・トークナイザー・推論・ファインチューニングの基礎を固める
- AI Engineer Notebooks と LLM Zoomcamp で実際のLLMアプリ構築を経験する——特にAI Engineer Notebooksはフレームワーク不使用により、各レイヤーの仕組みを深く理解する場として機能する
- MLOps Zoomcamp でデプロイ・監視・パイプラインを学ぶ
- Maxime Labonne's LLM Course でファインチューニング・量子化・推論最適化を深める
AIがコード生成を補助する時代でも、「コードを理解し、障害をデバッグし、アーキテクチャを決断し、本番に持ち込む」エンジニアリングの基礎は引き続き必要だ——というのが記事の締めくくりだ。
詳細は5 Free Courses to Learn AI Engineeringを参照していただきたい。