9月29日、The Next Webが「OpenAI and unions launch the American Infrastructure Alliance」と題した記事を公開した。この記事では、OpenAIや大手投資会社が米国の労働組合と連携し、各州で相次ぐデータセンター建設規制の阻止を目的とした政治ロビー連合を立ち上げた動きについて詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
AI基盤整備をめぐる政治戦が本格化
AIブームを支えるデータセンターが、今や米国の政治マターになっている。
OpenAI、Blackstone(米大手投資会社)、データセンター事業者QTS、そしてSoftBank Groupが、複数の米国労働組合と組んで「American Infrastructure Alliance(AIA)」を結成した。目的は明確で、各州でデータセンターの新規建設を止めようとする「モラトリアム(建設凍結)」に対抗することだ。
Axiosの報道によれば、AIAは2027年に州・地方当局とデータセンターに関する基準の合意を取り付けることを目標に掲げており、まずテキサス、ジョージア、オハイオ、アイオワ、ペンシルベニア、インディアナ、サウスカロライナの7州でキャンペーンを展開する。広報担当者はDaily Caller News Foundationに対し、これは「高額な8桁規模のキャンペーン」だと述べており、数千万ドル規模の政治活動になる。
労働組合を「盾」にした戦略
AIAの構成上、目を引くのが労働組合の存在だ。
電気工組合(IBEW)のKenneth Cooper氏はAxiosに対し、「必要なインフラへの一律禁止は経済を後退させ、中産階級の雇用を脅かす」と述べている。さらに、板金工組合(SMART)、断熱工組合(Heat and Frost Insulators)、鉄骨工組合(Iron Workers)、配管工組合(United Association)の計5つの労働組合が参加している。
組合員が地方官僚に直接働きかけ、「企業は責任ある形でデータセンターを建設できる」と説得することが戦略の柱だ。テック企業が単独でロビー活動を行うよりも、地元雇用に直結する労働組合を前面に出すことで、地域住民の反発を和らげる狙いがある。
AIAの公式サイトでは、大口電力消費者は自らインフラ費用を負担すべきとし、騒音・照明・建設工程・住宅からの距離などについて地域との合意形成を求める方針を示している。
反発の実態:世論は「7割近くが反対」
この連合が対抗しようとしている逆風の深刻さは、AIAが自ら実施したオハイオ州の世論調査に表れている。
800人の有権者を対象とした調査では:
- データセンターに「好意的」:18%
- 「否定的」:67%
- 自分の地域の近くに建設することへの反対:約75%
ただし、企業がインフラ費用を負担し、雇用を創出し、地方税を支払うと約束した場合、支持は**60%対34%**まで逆転する。つまり問題は感情論ではなく、費用負担と便益の分配に対する不満だ。
既に規制は動いている
各州の動きはすでに具体化している。
- ニューヨーク州:今年7月、新規データセンターを1年間凍結(詳細)
- テキサス州:Greg Abbott知事が8月に新規承認を一時停止(詳細)
- ペンシルベニア州:Josh Shapiro知事が同月、規制強化の行政命令に署名(詳細)
テキサス州のAbbott知事の報道官は、データセンターに課す条件として「電力インフラ費用の自己負担」「電力・水の自己調達・再利用」「テキサス州民の電気料金引き下げへの貢献」を挙げている。
一方、環境団体Food & Water WatchのMitch Jones氏は規制推進の立場から「モラトリアムの目的は、この産業が安全に規制できるかどうかを厳格に検討するための時間を確保することだ」と述べており、産業側の反攻に対する警戒感を示している。
AIインフラをめぐる議論は「電力をどこが負担するか」という実務的な問題と、地域住民の受容という政治的問題が絡み合っており、2027年の基準合意に向けた交渉の行方は予断を許さない。
詳細はOpenAI and unions launch the American Infrastructure Allianceを参照していただきたい。