9月29日、Mozillaが「The new Firefox design: More modern, more flexible, still Firefox」と題した記事を公開した。Firefox 157で全ユーザーに向けた新デザインが正式展開され、長年のユーザーから復活を求める声が絶えなかったCompact Modeが約5年ぶりに帰ってきた。
2021年のFirefox 89では「Proton」と呼ばれる大規模UIリニューアルが実施され、そのタイミングでCompact Modeが廃止された。「画面を広く使えなくなった」「情報密度が下がった」という不満はその後も根強く、Mozillaのフィードバックフォーラムでは復活を求めるスレッドが長期にわたって続いていた。今回の復活はユーザーの声が機能開発に直結した事例として、プロダクト開発の観点からも興味深い。
約5年ぶりの復活——Compact Modeと自動切替オプション
Compact Modeはタブとツールバーの表示サイズを縮小し、Webコンテンツに使える画面領域を拡大する機能だ。今回の正式版での復活に加え、小型ディスプレイでは自動でコンパクト表示に切り替わるauto-compactオプションも用意されている。情報密度を重視するエンジニアや開発者、ラップトップの限られた画面を最大限活用したいユーザーにとって、実用的な選択肢が戻ってきた形だ。廃止当時に大きな反発があっただけに、「設定から選べる」という形での復活はMozillaなりの落とし所と言える。

「再発明」ではなく「洗練」——デザイン刷新の方針
数ヶ月前からNightly版(Firefoxの開発最前線ビルド)でテストが重ねられ、ユーザーフィードバックをもとに継続的に改善されてきた今回のデザイン。Mozillaが掲げたコンセプトは「current, but not generic. Warm, but still precise.(時代に沿って、しかし没個性にならない。温かみがあり、それでも精緻に)」だ。
タブ、ツールバー、新しいタブページ、プライベートブラウジング画面に至るまで色・アイコン・テーマを一新しつつも、パフォーマンスへの影響はないとMozillaは明言している。またデスクトップとモバイルで共通のデザイン言語を採用することで、新機能を一貫した形で展開できる基盤を整えた。Mozillaはこの刷新を「reinvented(再発明)」ではなく「refined(洗練)」と位置付けており、オープンソース・独立した組織・プライバシー保護という根幹は変わらないと強調している。
テーマ・新しいタブページのカスタマイズ強化
新しいテーマピッカーが追加され、Firefoxの外観をより手軽にカスタマイズできるようになった。新テーマ・ウォールペーパーも加わっており、個人の好みに合わせた細かい調整が従来よりしやすくなっている。

新しいタブページでは表示するコンテンツを選択できるようになり、よく使うサイトのショートカットをピン留め固定する機能も追加された。スタートページをダッシュボード的に活用したいユーザーには特に便利な変更だ。

AIはあくまでユーザーが「選ぶ」
Chromeをはじめとする他ブラウザがデフォルトでAIを統合する方向へ進む中、MozillaはAI機能についても従来の姿勢を維持している。どのAI機能を表示するか、どのモデルを選ぶか、どのコンテキストを渡すか——これらの制御をユーザー側に委ねる設計だ。AI機能がデフォルトで有効化され、オプトアウトが面倒なブラウザが増える中で、「使うかどうかをユーザーが決める」という設計は、Firefoxを選ぶ積極的な理由のひとつであり続けている。
詳細はThe new Firefox design: More modern, more flexible, still Firefoxを参照していただきたい。