9月28日、Cloudflareが「Introducing cf: the agentic CLI for the entire Cloudflare API」と題した記事を公開した。Cloudflare APIの全操作をエージェントから利用可能にする新しいCLIツール「cf」の正式発表だ。
AIエージェントがCloudflareのCLIWranglerを使う割合は、2026年3月の約25%から直近で48%へと急増した。エージェントは人間より1日あたりのコマンド使用種類が約2倍多く、6種類以上のコマンドを使う頻度は約4倍という。にもかかわらず、WranglerがカバーするのはCloudflare APIが提供する数千のオペレーションのうち約280に過ぎなかった。AIエージェントによるインフラ操作の自動化が加速する中、既存のCLIはその現実に追いついていなかった。cfは、この前提を根本から覆すために設計されたツールだ。
APIスキーマから3,000超のコマンドを自動生成
cfの核心にあるのが、CloudflareがOSSとして公開している自動生成パイプライン「Forge」(GitHubリポジトリ)だ。ForgeはCloudflare APIのOpenAPIスキーマを読み込み、CLIコマンドを自動生成する。これにより、手作業で実装していたWranglerの約280操作から、3,000以上のオペレーションすべてをCLI経由で利用できるようになった。
インストールは:
npm i -g cf
現在はオープンベータとして提供されており、正式リリースに向けて順次機能が整備される予定だ。
エージェントのためのコマンド探索機能
3,000超のルートを持つCLIを、エージェントがどうやって効率よく使うか。cf cli searchコマンドがその答えだ。自然言語で「やりたいこと」を入力すると、ローカルの検索インデックスがAPIの説明とパラメータをもとに適切なコマンドのリストを返す。--helpを初めて実行したとき、エージェントにこのコマンドの存在が自動で通知される仕組みになっている。
JSONファースト設計
Wranglerでは--jsonフラグを全コマンドに付け、さらにjq(JSONをコマンドラインで操作するツール)でフィールドを絞り込む運用が一般的だった。しかし--jsonに対応していないコマンドも多く、Unicodeのテーブル形式で出力されるものはエージェントにとってトークンの無駄遣いになっていた。
cfはこれを逆転させ、JSONをデフォルトの出力形式とした。人間向けにはpretty-print、エージェント向けには圧縮形式で出力する。
TypeScriptによる設定ファイル
新しい設定フォーマットcloudflare.config.tsはTomlやJSONCに替わるものだ。TypeScriptを採用したことで、エディタのLSP(Language Server Protocol)による補完が効く。Claude CodeやCodexなどLSPを活用するエージェントも同様の恩恵を受ける。
Cloudflare社内では、一部のWrangler設定ファイルが5,000行以上から40%削減されたという。複数の開発者環境をコピーペーストで管理していたものが、ファクトリ関数で動的生成できるようになったためだ。
設定の基本形はこうなる:
import { bindings, defineConfig } from "cf/config";
import * as entrypoint from "./index.js" with { type: "cf-worker" };
export default defineConfig(({ mode }) => ({
worker: {
name: "example-worker",
entrypoint,
compatibilityDate: "2026-09-27",
env: {
Environment: bindings.text(`This is ${mode} environment`),
},
},
}));
bindingsヘルパーを使えば、環境変数・KV・D1・R2・キュー・AI・Vectorizeといったすべてのプラットフォームリソースをオートコンプリート付きで記述できる。triggersヘルパーにより、ルート・キュー・スケジュール・メールトリガーを一か所にまとめて定義できるようになった。
Viteがデフォルトのビルドツールへ、HMRも利用可能
Wranglerはesbuildでバンドルしていたが、cfはViteをデフォルトに採用した。Viteのプラグインエコシステム、HMR(ホットモジュールリプレースメント)、RustベースのバンドラーRolldown(公式サイト)によるツリーシェイキングがそのまま使える。Cloudflare Vite PluginとVitest Pluginを組み合わせることで、Workersランタイムに合致したテスト環境も整う。
esbuildやRust・Python Workersなど、Viteへの移行が難しいケースではcfが引き続きWranglerに処理を委譲する。
Wranglerからの移行
cf migrate
このコマンド1つでWranglerの設定をcloudflare.config.tsに変換できる。オープンベータ終了後にはWranglerの最終メジャーバージョンがリリースされ、cfへの移行が促される予定だ。ベータ終了後18か月間はWranglerのメンテナンスサポートが継続されるため、既存プロジェクトを抱えるチームも段階的に移行できる。
詳細はIntroducing cf: the agentic CLI for the entire Cloudflare APIを参照していただきたい。