9月26日、The Stackが「Akamai signs $11.6bn cloud deal with Anthropic, its largest ever」と題した記事を公開した。Akamaiが116億ドル(約1.7兆円)というかつてない規模の単一契約をAnthropicと締結したことは、CDN企業というイメージを脱却しクラウド・セキュリティ企業として再定義を進めてきた同社の戦略が、AIインフラ需要という追い風と合致した瞬間として注目に値する。
AkamaiがAnthropicと史上最大の契約を締結
サイバーセキュリティ・クラウド企業のAkamaiが、AIスタートアップAnthropicとの間で116億ドル(約1.7兆円)の複数年にわたるインフラ契約を締結した。Akamaiにとって史上最大の単一契約となる。
契約の内容は、AnthropicのCPUワークロードを支える分散AIインフラおよびソフトウェアの提供だ。Akamaiはこの契約を履行するために55億ドルを投資する見込みとされており、単なる受託にとどまらない資本コミットメントとして、同社のクラウドビジネスへの本気度を示している。
AkamaiのCEOであるTom Leighton博士はThe Stackに対し、クラウド事業が「急速に拡大している」と語り、この契約を「非常に強力な実証例であり、収益加速を助け、プラットフォームをさらに拡充していく」と述べた。
Anthropicの巨大なクラウド調達戦略
今回の契約は、Anthropicが積み上げてきた大規模なクラウド調達戦略の一端に過ぎない。同社の契約済みクラウド支出はすでに5000億ドル超に達しているとされる。
これほどの規模でインフラを確保し続ける背景には、Claudeシリーズのモデル展開拡大に伴う推論コンピューティング需要の急増がある。大規模言語モデルの推論処理は、学習時とは異なりCPUリソースへの依存度も高く、分散されたインフラで処理をさばく必要がある。Akamaiが持つ分散ネットワーク基盤は、そうした要件と適合しやすい。
過去の主な調達事例として、ネオクラウド(新興クラウド事業者)のNscaleとの450億ドルのコンピューティング契約(2024年8月締結)が知られているが、今回のAkamai案件はそれらとは桁違いの規模感を持つ。
なお、元記事ではAnthropicが特定データセンターを借り受けた事例についても言及されているが、当該記事の詳細部分はサブスクライバー限定となっており、各契約の条件・構成の詳細については購読が必要となる点に留意されたい。
Akamaiにとっての意味——CDNからクラウド・AIインフラへ
今回の契約規模は、Akamaiが2026年までに締結したそれ以前のクラウド契約の合計の4倍以上に相当するという。
AkamaiはもともとCDN(Content Delivery Network)——ウェブコンテンツをユーザーの地理的に近いサーバーから配信することで高速化・負荷分散を実現するネットワーク技術——で知られる企業だ。世界中に分散配置されたエッジサーバー群が同社の強みであり、その基盤はかつてウェブ高速化・動画配信の領域で絶大な競争優位をもたらした。
しかし近年、CDN単体の市場はCloudFrontやCloudflareなどとの競争激化により収益成長が鈍化しつつある。そこでAkamaiは、クラウドコンピューティング(Akamai Cloud)およびセキュリティ事業を成長の柱として強化してきた。2022年のLinode買収によるクラウドコンピューティング基盤の取得はその象徴的な動きだ。
今回のAnthropicとの契約は、そうした戦略転換が大手AIラボの需要と合致した結果といえる。同社のクラウド部門にとって、AI企業向けの大規模インフラ提供という新たな収益柱が明確になった格好だ。
AI時代のインフラプロバイダー競争という文脈
今回の契約が示すのは、Akamaiの個別戦略にとどまらない。AIラボがGPUクラウド大手(AWS・Google Cloud・Azureなど)以外の調達先を積極的に開拓しているという構造的なトレンドだ。
大手ハイパースケーラーへの一極集中を避けつつ、コスト・可用性・地理的分散の観点から多様なプロバイダーを組み合わせる動きは、Anthropicに限らずOpenAIやその他AIラボでも見られる。Akamaiのような「第二層」のクラウド・インフラ企業がAI需要の受け皿として台頭しつつある点は、業界全体の注目点となっている。
記事の詳細部分はサブスクライバー限定となっており、資金調達の仕組みやインフラ構成の詳細については購読が必要だ。
詳細はAkamai signs $11.6bn cloud deal with Anthropic, its largest everを参照していただきたい。