9月24日、CNBCが「Mark Zuckerberg debuts $1,299 Meta VR Glasses and Muse Charm pendant amid AI agent push」と題した記事を公開した。スマートフォンを経由せずにAIエージェントへアクセスする専用ハードウェア、そしてQuest系ヘッドセットの約4倍にあたる1,299ドルという価格設定のVRグラス——Meta Connectカンファレンス2026でZuckerbergが披露した二つの発表は、Metaがハードウェア戦略の軸足を大きく転換しつつあることを示している。
AIエージェントを「身につける」時代へ
今回の発表で最も注目すべき変化は、VRデバイスの刷新よりも、AIエージェントとハードウェアの融合という方向性にある。
Metaは9月21日に個人向けAIエージェント「Muse」をリリースしたばかりだが、Connect 2026ではそのMuseと連携する専用ハードウェア「Muse Charm」を発表した。ペンダント型のハンドヘルドデバイスで、Zuckerbergは「スマートフォンのロックを解除したり、アプリを開いたりすることなく、Museに話しかけたり、周囲の状況を見せたりできる」と説明した。
「このデバイスで、あなたのMuseと話す最速の手段になる」とZuckerbergは述べた。
Muse Charm固有の特徴として注目されるのが、カメラによる「周囲の状況の共有」機能だ。ユーザーが目にしている物理的な環境をそのままMuseに渡すことで、AIエージェントが文脈を踏まえた応答を返すことができる。単に音声でコマンドを送るだけでなく、視覚情報を含めたリッチなインタラクションを実現している点で、Amazon EchoやGoogle Homeといった据え置き型の音声AIデバイスとは一線を画す設計思想といえる。
なお、価格や詳細な仕様は現時点では未公開だ。2026年12月のホリデーシーズンに向けて出荷予定とのことで、購入を検討している読者は正式発表を待つ必要がある。
Meta VR Glasses:Quest系譜からの転換
もう一つの発表が「Meta VR Glasses」だ。従来のQuest系ヘッドセットと比べて薄型・軽量化されたVRデバイスで、価格は1,299ドル、発売は2027年春を予定している。
直近の比較対象はMeta自身が2024年9月に発表したQuest 3S(299ドル)で、価格は約4倍に跳ね上がっている。エントリー層を広げる方向とは逆に、高価格帯のプレミアムデバイスとして位置付けることで、VRヘッドセット市場におけるMetaのブランド戦略が変化しつつあることが窺える。
アーキテクチャの特徴
Meta VR Glassesはプロセッサとバッテリーを外付けの「パック」に分離するという構成をとる。Qualcomm製プロセッサを搭載したこのパックがミニコンピュータとして機能し、グラス本体の軽量化・小型化を実現している。グラス本体には視線追跡・手の動き追跡のセンサーが内蔵されており、コントローラーなしでの操作が可能だ。
Zuckerbergは「高解像度ディスプレイと周囲の世界のビューを、初めて本当の意味でグラス型のフォームファクタで実現した」と述べた。
「メタバース」とAIの二正面作戦
MetaはVR/ARと生成AI・エージェントを並行して推進している。Muse Charmは、そのAIエージェント戦略をスマートフォンの外に持ち出す試みとして位置付けられる。
Jefferiesのアナリストであるbrent Thillは、MetaのMuse AIについて「ハイプに応えている」と評価しており、投資家サイドの期待値も高い。
一方、Connect直前にはAmazonとのMuseをめぐる対立が報じられた。この対立の背景にあるのは、AIエージェントがECや配送などの実行系サービスと直接連携する際の主導権争いだ。ユーザーがMuseを通じてショッピングや注文を完結しようとしたとき、その取引をどのプラットフォームが仲介するかという問題は、MetaとAmazonの利害が真っ向から衝突する領域となっている。AIエージェントが「スマートフォンのアプリストアを迂回する」存在になるとすれば、プラットフォーム間の対立はさらに激化していく可能性が高い。
詳細はMark Zuckerberg debuts $1,299 Meta VR Glasses and Muse Charm pendant amid AI agent pushを参照していただきたい。