9月23日、CBS Newsが「Andreessen Horowitz launches AI school as college alternative」と題した記事を公開した。シリコンバレーの大手VCとして知られるAndreessen Horowitz(通称:a16z)が、大学進学を迷う若者向けに"大学代替"を謳うAI特化型スクールを設立したという内容だ。認定資格なし・授業料無料・定員50名という異色の設計が、米国の高等教育のあり方に一石を投じている。
正式名称と概要:Andreessen Horowitz Academy
a16zが設立したのはAndreessen Horowitz Academyという名のAI特化型スクール。舞台はサンフランシスコで、1年制、授業料無料、2027年秋の入学枠は50名のみという小規模・実験的な設計だ。現在すでに応募受付を開始している。
カリキュラムの中身:テスト不要、実プロジェクト重視
このアカデミーは認定資格のない(unaccredited)プログラムだ。米国において「unaccredited」とは、連邦政府が認定した機関による審査を受けておらず、修了しても大学の学位としては認められないことを意味する。また、連邦学生ローン(FAFSA)などの連邦奨学金の対象外となるため、日本でいう「専門学校の資格」に近い位置づけとは異なり、米国では制度的に大学と並列には扱われない点に注意が必要だ。
その一方で、教える内容は徹底的に実務志向だ。主なカリキュラムは以下の通り。
- AIシステムの設計
- スタートアップへの資金調達(ファンドレイジング)
- 事業の売却方法
- ストーリーテリング(事業や製品の伝え方)
テストも宿題もなく、学生は実際のプロダクトやサービスをゼロから構築することに集中する。講師陣はテック起業家が中心で、**OpenAIのCEOであるSam Altmanも講師または特別講演者として名前が挙がっている**。
出資陣:AIブームの中心プレーヤーが勢揃い
このプログラムの設立に際して出資した企業・投資家のリストが圧巻だ。Anthropic、Google、Meta、OpenAI、Nvidia、PalantirといったAI産業の主要プレーヤーが複数社にわたって参加し、合計4,200万ドル(約62億円)を投じてプログラムをシードした。特定の1〜2社ではなく、業界横断的な支持を集めている点が際立つ。
a16z自身も、2025年8月にAIインフラ投資に特化した新ファンドで10億ドルを調達したと発表しており、AI分野への本格的なコミットが続いている。
対象は「エリート大学中退者」も含む
アカデミーのターゲットは、高校を卒業したばかりの若者、または「エリート大学」で最大2年間の履修を終えた学生。つまり大学を途中で辞めて参加することも明示的に想定されている。
設立背景についてa16z共同創業者のBen Horowitzはこう述べている。
「産業革命向けのトレーニングがAI革命に完全に適合するわけではない。この新しい世界に向けた人材育成の方法を誰かが切り開かなければならない」
今後の展望:2028年から2年制プログラムへ
現行の1年制プログラムに加え、アカデミーは2028年秋から2年制プログラムの開始に向けて規制当局の認可取得を目指す予定だ。2年制プログラムの学費は「エリート私立大学並み」を想定しているとしており、初年度の無料モデルとは大きく異なる。
認定資格なしのままで社会的・就職市場での評価を得られるか、また将来的に認可を取得できるかが、このアカデミーの成否を左右する最大の焦点となる。大学の学費高騰と就職市場の変化が続く中、AIスキルに特化した実践型教育への注目は高まっており、a16zの実験がひとつの先例となる可能性は十分にある。
詳細はAndreessen Horowitz launches AI school as college alternativeを参照していただきたい。