9月23日、Techstrong.aiが「Open-Weight AI Models Expected to Capture 41% of Enterprise Token Usage」と題した記事を公開した。エンタープライズにおけるオープンウェイトAIモデルの採用が急加速し、今後12ヶ月以内にトークン使用量の41%を占める見込みであることを、調査データをもとに詳しく伝えている。
1年でシェアが倍近くに――34%から41%へ
Enterprise Technology Research(ETR)が2025年9月に実施した調査(回答者200名)によると、オープンウェイトモデル(※)は現在、エンタープライズのAIトークン使用量全体の**34%を占めている。1年前は23%だったため、わずか1年で11ポイント増加した計算だ。回答者はこのシェアが今後12ヶ月以内に41%**に達すると予測している。
※ オープンウェイトモデル:モデルの重みパラメータが公開されており、自社インフラ上でのホスティングや改変が可能なAIモデル。LlamaやGemmaが代表例。クローズドなAPI経由でしか利用できないOpenAIやAnthropicのモデルと対比される。
ETRはエンタープライズITの購買動向を追跡する調査機関で、CIOやITデシジョンメーカーを主な回答者とする定点調査を定期的に実施している。今回の数値はその最新ウェーブから得られたものだ。
変化は数字以上に構造的だ。同調査によれば、オープンウェイトモデルを本番運用している企業のうち、**自社のAIトークン処理量の過半数をオープンウェイトに依存している企業が24%**に達した(前回調査時点では3%)。この比率は1年以内に34%に拡大すると見られている。
本番運用している企業の割合も**42%**(前回調査時点31%)まで上昇し、パイロット段階の企業は43%。「まだ評価もしていない」と答えた企業は3%に過ぎず、前回調査時点の11%から急減している。
なぜ今、オープンウェイトがここまで伸びているのか。背景には、Llama 3やGemma 2など主要モデルの性能がクローズドモデルに肉薄してきたことに加え、自社インフラでのホスティングコストの低下、そしてデータを外部APIに送信したくないという企業のガバナンス要件の強まりがある。特に金融・医療・公共分野では、データ主権の確保という観点からセルフホスト型オープンウェイトモデルへの関心が高い。
プロプライエタリモデルを「置き換える」わけではない
注意すべき点は、オープンウェイトモデルの台頭が必ずしもOpenAIやAnthropicのようなプロプライエタリモデルの縮小を意味しないことだ。
オープンウェイトを本番運用している企業のうち、60%が一部のワークロードをプロプライエタリから移行している。しかし一方で、93%がプロプライエタリモデルの利用も継続的に増加していると回答している。
つまり、「どちらか一方を選ぶ」ではなく、ワークロードの性質に応じてモデルを使い分けるマルチモデル戦略が主流になりつつある。調査回答者の49%が「新しいモデルが出るたびに継続的に評価している」と答えており、この傾向を裏付けている。
また、支出の面ではプロプライエタリモデルが依然として優位にあることも別の調査で示されている(関連記事)。高精度が求められる推論や外部公開APIにはプロプライエタリ、コストを抑えたい社内向けバッチ処理や反復タスクにはオープンウェイト、という役割分担が定着しつつある構図だ。
GemmaがLlamaを逆転、DeepSeekは採用率が低下
モデル別のシェアにも大きな変動があった。GoogleのGemmaが本番導入率を前回調査時点の35%から55%へと急伸させ、MetaのLlama(55%→35%)を逆転して最も広く使われるオープンウェイトモデルファミリーになった。パイロット段階でもGemmaは51%でトップだ。
また、今回初めて調査対象に加わったMicrosoftのPhiは、パイロットで47%、本番で39%という数字を記録した。GemmaとPhiの台頭により、これまでLlamaが独占していた市場でGoogle・Microsoftが存在感を高めている。
一方、中国系モデルは苦境に立たされている。DeepSeekの本番導入率は7ポイント減の25%、パイロットも10ポイント減の28%。GLMに至っては本番導入率が10%から1%へと急落した。調査では「輸出規制や制裁リスクへの懸念が主要な検討事項になった」という回答が前回比3倍に増加しており、これが一因とみられる。
採用を引き寄せるコスト、足を引っ張るセキュリティ
オープンウェイト採用の最大の動機はコストだ。本番運用ユーザーの**69%、パイロット実施企業の67%**がコスト削減を理由に挙げた。未採用企業でも74%が「コストが下がれば評価を始める」と回答している。
スイッチングの閾値は低く、同等の性能であれば25%以下のコスト削減でも移行を検討するという企業がパイロット実施企業の57%に上る。
一方、本番移行の障壁として最も多く挙げられたのがセキュリティ・コンプライアンスレビューの未完了(62%、前回比9ポイント増)、次いでセルフホスティングコスト(50%、同10ポイント増)だ。モデルの性能・品質を懸念する声はわずか10%に過ぎず、技術的な問題よりもガバナンス面が導入のボトルネックになっていることがわかる。
インフラの観点では、**セルフマネージドクラウドが46%、オンプレミスが42%**と、自社管理環境が中心だ。ハイパースケーラーのネイティブ推論が29%、マネージド推論プロバイダーは27%にとどまる。コスト削減とデータ管理の両立を狙うならセルフホストが有力だが、その運用コストが普及の足かせになっているという構図だ。
詳細はOpen-Weight AI Models Expected to Capture 41% of Enterprise Token Usageを参照していただきたい。