9月22日、Euronewsが「AMD joins trillion-dollar chipmaker club as AI demand surges」と題した記事を公開した。NvidiaとTSMCが長らく独占してきた半導体業界の「兆ドルクラブ」に、AMDが新たに加わった。AI需要の爆発的な拡大を背景に、かつては「万年2位」とも評されたAMDが、ついに歴史的な節目を超えた。
「兆ドルクラブ」とは何か
時価総額1兆ドル超の企業群を指す「兆ドルクラブ」は、テック業界ではApple・Microsoft・Googleなどが名を連ねる。半導体業界に限れば、これまでNvidiaとTSMCの2社のみがその水準に到達していた。Nvidiaは生成AIブームを直撃する形でGPU需要が急騰し、現在の時価総額は約5.5兆ドル(約4.7兆ユーロ)に達する。TSMCは先端半導体の受託製造を独占する立場から安定的に評価を積み上げてきた。
そこに今回、AMDが加わったことで、半導体「兆ドルクラブ」はついに3社体制となった。これは単なる株価の話にとどまらず、AIチップ市場において競争の軸が変わりつつあることを示すシグナルとして注目に値する。
AMDが時価総額1兆ドルを突破
AMDは日本時間9月22日夕方時点で株価が9.4%高の612ドルを記録し、時価総額が1兆ドル(約850億ユーロ)を突破した。わずか1週間で約2,000億ドル(約170億ユーロ)の時価総額を積み上げた計算だ。
この急騰の直接的な引き金となったのが、OpenAIおよびAnthropicとの提携発表だ。生成AIを牽引する2大プレーヤーがAMDのチップを採用・検討する姿勢を示したことで、「NvidiaのGPU一択」という市場の固定観念に揺さぶりをかけた格好となり、投資家心理を大きく押し上げた。AMDのAIチップ製品群としては、データセンター向けGPUであるMI300Xシリーズが中心的な役割を担っており、大規模言語モデルの推論・学習ワークロードへの対応を強化している。
データセンター収益が急成長を牽引
AMDの2026年第2四半期(4〜6月期)の売上高は前年同期比50%増の115億ドル(約98億ユーロ)を記録した。その成長を力強く下支えしているのが、データセンター向け収益の2倍超という伸びだ。
AMDは8月初旬の決算発表時に「2026年下半期はデータセンター売上がさらに加速する」との見通しを示しており、市場の期待を一段と高めている。クラウド事業者や大手テック企業がAI投資を継続・拡大するなか、チップの調達先を分散させるリスクヘッジの観点からもAMDへの引き合いは強まっている。
Nvidiaとの差は依然大きい、それでも意味がある
ただし冷静に見れば、AIチップ市場でのNvidiaとの差は歴然だ。Nvidiaの時価総額は約5.5兆ドルであり、AMDの1兆ドルとは5倍以上の開きがある。AI学習・推論向けGPUのデファクトスタンダードとしてのNvidiaの地位は揺るぎなく、ソフトウェアエコシステム(CUDA)の優位性も短期間では覆せない。
それでも、AMDが1兆ドルを達成した意義は小さくない。主要なAI企業がNvidia以外の選択肢を真剣に検討し始めたこと、そしてAMDがその受け皿として実績を積み上げつつあることは、業界構造の変化を示す重要な兆候だ。
※編集部の考察:OpenAIやAnthropicとの提携が実際のチップ調達量に直結するかどうかはまだ不透明な部分もあるが、少なくともAMDがAIインフラのサプライヤー候補として認知されたことの市場へのインパクトは大きい。
詳細はAMD joins trillion-dollar chipmaker club as AI demand surgesを参照していただきたい。